小説
- ナノ -






一度果てたサクラの膣は、未だ愛液を滴らせ口を開けひくついている。
我愛羅は再びサクラを寝かせ枕の位置を正すと、自身の下着を脱ぎ去り一糸纏わぬ姿になる。
思わず我愛羅の下腹に目をやれば、初めて見やる男の欲望に顔が赤くなる。
自分の体で我愛羅がこんなになっているなんて、とあの冷静沈着を体現する男の隠された部分を目の当たりにしたサクラの下腹に再びじわじわとした熱が広がっていく。

「…あまり見るものではないと思うんだが…」
「我愛羅くんだって私の見たじゃない」

我愛羅の引き締った体に浮かぶ割れた腹筋の合間を、一筋の汗が流れ落ちていく。
そのしっとりと濡れた肌が月夜の光に照らされ、名のある芸術家が彫った彫刻のように妖しく濡れ光る。
その皮膚の下に息づく筋肉は野生の獣のようにしなやかで美しく、サクラを見つめる瞳は今は熱く雄の本能に色めいている。
我愛羅の体がこんなにも色気を放つものだったなんて、と無意識にこくりと喉を鳴らすとサクラはその欲望に触れる。

「どういう風にさわったら気持ちいい?」
「…それはまた後で教えてやる」

とかく今はこの熱を何とかしたい。
我愛羅は再び閉ざされているサクラの太ももを撫で擦り、左右に開き体を押し入れる。

「生憎急なことだからまともな避妊ができんが…」
「大丈夫。後で自分で薬を飲むわ」

我愛羅の至極真っ当な言葉に苦笑いし、今は行為を続けてくれとその手を撫でる。
己の手を愛撫するようなその手を捉え握り返すと、我愛羅はもう一度サクラの唇に口付け、片手でサクラの腰を浮かせ欲望で花弁を撫でる。

「んんっ」

指とは違う、硬く熱いまるで楔のような欲望を直に感じ、サクラの体が熱を帯びていく。
暫く腰を揺らし花弁を愛撫し、サクラの愛液で欲望を濡らした後、我愛羅はいくぞ、と告げ花弁を押し開いていく。

「あうっ…!」

先程指で慣らされたものとは違う、圧倒的な質量をもった熱が狭い膣口を押し広げていく。
けれど先に指で広げられ、花開いたそこはあまり痛みを伴わず太い部分を飲み込み、我愛羅は一気に腰を押し進め膣内に欲望をすべて潜り込ませる。

「ああっ…!!」

体の中に杭を打ち込まれたような、そんな衝撃を受けながらもサクラは思っていたよりも痛みのないことに安堵する。

「はっ…く、サクラ、大丈夫か…?」

初めて男を受け入れる膣内のキツイ締め付けに我愛羅の眉間に皺が寄るが、それでも我愛羅の口からはサクラを気遣う言葉がついて出る。
そんな我愛羅にサクラは大丈夫よ。と返し、そっと自分の腹に手を当てる。

「血は…出てないみたいだな」
「ん…痛くもないよ…」

サクラは安堵したように瞼を伏せる我愛羅に、本当に自分の初めてがこの男でよかったと思う。
そうして暫く我愛羅はサクラの膣が己の欲望に馴染むよう、腰は動かさずサクラの体を愛撫し始める。

「ん、あうっ、」

豊かとは言い難い、我愛羅の掌の中にすっぽりと納まってしまう胸を愛撫され、サクラは思わず我愛羅の名を呼ぶ。

「やっぱり、我愛羅くんも、おっきいほうが、すき…?」
「は?」

かりかりと指の腹で乳首を引っ掻いていた我愛羅の指が止まり、お前は何を言っているんだ。という表情をサクラに向ける。
情緒とはまるでかけ離れたその顔にサクラは思わず視線を逸らしたくなるが、自身の平たい胸を見つめ再び我愛羅に視線を戻す。

「私の…その、おっきくないから…」
「ああ…別にいいんじゃないか?」

無駄についているより慎ましい方が愛らしい。
そう我愛羅が零せばサクラの膣がきゅっと締り、思わず呻く。

「…サクラ、」
「ご、ごめんっ」

我愛羅が必死に欲望と闘っていることを、我愛羅の額に浮かぶ玉のような汗が語っている。
そしてサクラの膣も我愛羅の欲望の大きさに慣れたのか、徐々に息をするように蠢きだす。

「あの、もう…本当に痛くないから…大丈夫よ?」
「…先程も言ったが、動きだしたら止められないからな」

確認するように我愛羅に告げられ、サクラはうん。と頷く。
それを見届けると、我愛羅はゆっくりと腰を引き膣から欲望を抜き出していく。

「んんっ…!」

身体の中を出入りする、不思議な感覚にサクラが呻くような声を上げ、我愛羅は浅く引き抜いたそれを再び押し込む。
それを何度か繰り返し、徐々にサクラの膣が広がっていくのを確認しながら腰を揺らしていく。

「ん…ふっ…あう、ん…」

初めは慣らす様に浅く腰を押し引きしていた我愛羅も、サクラの膣が蠢きだすようになると徐々に動きを大きなものに変えていく。

「あっ…くっ…ぅん、んん」

ずるりと我愛羅の欲望が抜けていく度に不思議な喪失感を感じ、逆に押し込められれば内臓を押し上げられる感覚に自然と声が漏れる。
気持ちいいとは形容できない刺激にサクラの声はくぐもったものになる。
それを感じ取った我愛羅はサクラの足を抱えていた片方の手を離すと、再び膨れた突起を優しく摘む。

「ああっ!!」

途端、サクラの体は打ち上げられた魚のように跳ね、膣はぎゅうと我愛羅の欲望を痛いほどに締め付ける。

「ぐっ…!」

流石の我愛羅もそれには呻くが、蠢きだした膣の収縮は止まらない。
我愛羅はサクラの呼吸に合わせ腰を揺らし始め、指で突起を優しく撫でていく。

「ああっ!あっ、だめっ!いやぁっ!!」

突起を撫でられサクラの全身に再び燃えるような熱が広がっていく。
そして我愛羅の欲望の太い部分がサクラの膣のイイ所を擦り上げると、サクラは脳天まで駆け抜ける快楽の熱に高く叫ぶ。

「あっあぁあ…!!」

そうなるともう互いに止まることはできず、我愛羅はサクラの腰を抱えると深く腰を打ち込んでいく。
その力強い衝動にも似た刺激にサクラは揺すぶられるままに声をあげ、貪るように唇を求める我愛羅に応えて舌を絡め、汗で滑る手で必死に我愛羅の背にしがみつく。

「サクラ、サクラっ…!」
「あっ、あぁ…!が、あらく、ひあぁ!!」

滅多に掻かぬ我愛羅の汗がサクラの肌に落ち、互いの頬に触れ合う髪は汗で張り付き濡れている。
そうして幾度か我愛羅が腰を打ち付け、サクラが身悶えていると再び体の奥であの熱がはじけ、我愛羅の欲望が抜けていく。

「はぁ…はぁ…」
「はっ…はっ…」

どさりとサクラの横に倒れるように横になった我愛羅の荒い呼吸を聞きながら、サクラは今一度果てた余韻に体を預ける。
そうして互いに暫くの間息を整えていると、先に我愛羅が体を起こし部屋に備えていたちり紙で欲望の残骸を拭き去る。

「…サクラ、」
「うん…」

ふうふうと未だ荒い呼吸を繰り返すサクラを見つめ、我愛羅はサクラの頭を撫で、髪を梳き、頬に口付る。

「…すごかった…」
「俺もよかった。ありがとう」

サクラが無意識に呟いた言葉に我愛羅も頷き、汗ばむ身体を合わせるようにサクラの体を抱きしめ額に口付る。
熱くても心地のいい、しっとりと重なり合う肌の滑らかさを味わうようにサクラの肌を撫で、余韻に浸るサクラを抱き続ければ、次第にサクラの瞼がうとうとと落ちていく。

「疲れただろう。このまま眠るといい」
「でも…」
「気にするな」

おやすみ。とサクラの額に口付てやれば、サクラはことりと気を失ったかのように我愛羅の腕の中で穏やかな寝息をたてはじめる。
暫く我愛羅は腕の中で眠るサクラを見つめた後、そっと身体を離し寝台から立ち上がる。
さて。この部屋の処理はどうしたものか。
確実にいろんなもので汚れたシーツは洗わねばならぬもの順位でいうとナンバーワンだ。
だがシーツを洗うとなると理由がな…と思いつつ下着に足を通す。
だが結局疲れた頭では何も思い浮かばず、まぁどうにかなるだろうと我愛羅は備え付けの風呂場へと足を運ぶ。
何はともあれ、先にサクラの体だけでも拭いてやらないと、と気遣う我愛羅は存外紳士であった。



「ん…」

そしてサクラが翌日目を覚ますと我愛羅の姿はなく、寝台から起き上がれば体中に鈍い痛みと倦怠感があり昨夜の情事を一気に思い出させた。
何はともあれ初の色の任務で処女を散らすことにならずよかったと身を起こせば、体にはバスローブが巻かれており、シーツも綺麗なものに変えられていた。
何から何まで我愛羅が処理して行ったのかと思うと申し訳ないやら恥ずかしいやら、けれど大切にされているようで嬉しいやらでサクラは思わず枕に顔を埋める。

「…今朝どんな顔して会えばいいのかしら…」

いつもより掠れた声に気づき、喉の渇きを覚え寝台から立ち上がる。
だが思った以上に足に力が入らずこけてしまい、本当にここに我愛羅がいなくてよかったとサクラは床にうずくまりながら思うのであった。


だがその後特に我愛羅と気まずい空気になることも無く、サクラは砂隠を離れ任務遂行となった。
そしてその後初めての色の任務も問題なく遂行し、任務完了した。
正直言うと初めての色の任務相手は我愛羅と違い、とても独り善がりで即物的な行為だった。
もしこの男で自身の処女を散らしていれば今頃どうなっていたかと思うとゾッとする。
本当に初めての男が我愛羅でよかった。
そんな昔のことを思い出しつつ物思いにふけっていると、馬車がようやく避暑地の門前までやってくる。

「もうすぐ着きますからね」
「はい」

馬車を引く老齢の男性にサクラは返答し、熱さの残る里から随分離れた避暑地を見やる。
そしてここで再び彼と会い見えることになるとは、この時のサクラは夢にも思っていなかった。



第一部【回顧】了

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