小説
- ナノ -






深く重ねられた唇が僅かに離され、ふと目を開けようとしたサクラはべろりと濡れた感触が唇に這わされ思わず身を固くする。
驚きのあまり閉じていた唇を開ければ、その隙間からぬるりと我愛羅の舌が入り込んでくる。
本当に舌が入ってきたと焦るサクラとは裏腹に、我愛羅は慣れた動作で奥に引っ込む舌を優しく愛撫する。
舌同士の不慣れな感触に指に力が入るが、それは嫌悪感からではなく、まるで蝕むようにじわじわと広がっていく痺れのような感覚に驚いていたからだった。

(何だろうコレ…我愛羅くんの舌、まるで別の生き物みたい…)

いつの間にか我愛羅に絡め取られた舌は、動きに合わせ徐々に絡まっていく。
舌が絡まることで淫猥な水音が頭の中に響き、サクラの全身にぞくぞくとした、今までに感じたことのないさざ波のような感覚が広がっていく。
気持ちいいかも、と思っていれば徐々に息が苦しくなり、ついには耐え切れずに我愛羅の背を叩く。

「ふぁっ」

我愛羅の舌が抜け唇が離れた途端、どうにも間の抜けた声を出してしまい赤面するが、我愛羅は軽く頬を緩めただけで特に気にした様子はない。
そうして髪を梳かれながら再び嫌だったか?と問われた時には、思わずどう返答していいか分からず、正直によく分からない。と答えた。

「その…私キスしたことないから…」
「みたいだな。ガチガチに体が固まっていた」

撫でさするように頬や首筋、肩を撫でられビクリと体を跳ねさせる。

「そ、その…」
「安心しろ。無理強いはしないから、無理だと思ったら言ってくれ」

後キスしている時は鼻から息をするといいぞ。
と至極手慣れた様子でサクラに提示してやりながら再び唇を重ねてくる。
だが今度は軽く触れ合わせるだけのもので、ちゅっ、とリップ音を立てて離れていく。
うわあぁ、と恥ずかしさに顔を覆えば、我愛羅は悪戯が成功した子供のようにくつくつと笑う。

「か、からかったの?」
「いいや」

笑う我愛羅を睨んでみるが、我愛羅はひょいと視線を外しサクラを抱き込む。

「この体制で体重をかければお前は潰れてしまうだろうな」
「そこまで柔じゃないわよ」
「ほう?では試してみるか?」


耳元でそう返されたと思えば、我愛羅は徐々に体重をかけてきて思わずうぐっ、と唸る。

「ま、まだまだ…」
「負けず嫌いだな」

ずっしりと圧し掛かる重さについにギブアップしそうになったところで、突然我愛羅の指がサクラの脇腹をくすぐる。

「ちょっ、やだ、あはははは、やめ、やめてよ我愛羅くん…!」

ベッドの上を逃げ惑うように転がるサクラに、我愛羅も楽しげに頬を緩め逃げる体を追う。

「くすぐったがりだな」
「やだもう、本当何なのよぉ」

くすぐられることに弱いサクラがひとしきり笑っていれば、我愛羅はサクラの隣に寝転び後ろからサクラを抱きしめる。
途端に笑いは引っ込み心臓は跳ね、体温が急速に上がっていく。

「サクラはいい匂いがするな」
「そ、そう…?」

我愛羅の鼻先が後頭部に当たり、吐息が髪をくすぐり唇が耳の後ろを滑る。
先程までの遊びとは違う、抱きしめたサクラの腕を撫でる指先が熱を帯びたように熱い。
唇から熱い吐息が漏れ始めれば、我愛羅はサクラの耳の裏に軽く口付る。

「あっ!」


途端にぞわりとした悪寒にも似た震えに肌が戦慄き体が震える。
だが我愛羅は止めることなく何度もサクラの耳や頭に唇を落とす。

「やっ、ま、まって、待って我愛羅くん…」

思わず己の腕を撫でる我愛羅の手を掴めば、我愛羅は耳元で嫌か?と問う。
そのいつもより甘く、掠れた声に体は切なく疼き思わず首を振る。

「ち、ちがうんだけど、その、」
「何だ?」

耳元で喋られると、変になっちゃう。
途切れ途切れにそう伝えると、我愛羅はふと笑うように吐息を零しサクラの体から離れる。
ほっとしたような、寂しいような。
後ろにいる我愛羅を仰ぎ見れば、月明かりに照らされた我愛羅は思ったよりも優しい顔をしていた。

「少しずつでいい…人の体温に慣れることが大切だ」
「う、うん」

そうだ。自分は処女を捧げるが、性行為の内容も覚えなければいけない。
彼に翻弄されてばかりではダメだと気持ちを入れなおすと、我愛羅に向かって手を伸ばす。

「そ、その…よろしくお願いします」
「こちらこそ」

サクラが伸ばす腕の中にまっすぐ降りてきた我愛羅は、その背に手を差し込み抱きしめながら唇を重ねてくる。
それはしっとりと重なりあい、サクラの体に再び甘い痺れが走った。



「はぁ…ん…我愛羅くん…」
「何だ?」

ゆっくりと、後ろからサクラを抱き込んだ我愛羅の右手が微妙な指圧で肌を撫でていく。
それはマッサージのような、けれど掠める指先は悪戯に衣服の隙間を出入りする。

鎖骨の窪みをなぞり、谷間まで降ろされるが再びその手は首元まで戻される。
それだけでちりちりとした感覚が全身に走り、指先が震える。

戸惑うように彷徨うサクラの視線に気づきながら、我愛羅はあえて何も言わず肌を撫でていく。
開いた襟元から手を差し込み、首を撫で肩甲骨をなぞり、裸の肩をなぞりブラの肩紐を遊ぶように指先で辿りカップをなぞる。
んんっ、とサクラの鼻に掛かったような甘い声に、我愛羅は指先だけをカップの中に滑りこませ柔らかな乳房のまわりをくすぐるように撫でていく。

「あっ!ん、それ、だめっ」

びくりと肩を跳ねさせ身を捩るサクラに、我愛羅はすぐさま指を引き抜き肩を撫で手を離す。
荒くなった息を整えるように深く息を吸い込むサクラに、我愛羅は顔を寄せ頬に口付る。

「何がダメだった?」
「う…そ、れは…」

サクラを見つめる我愛羅の瞳は一見凪いだ水面のように穏やかだが、その奥には雄の色が見て取れる。
思わずサクラはぶるりと身震いし、体の中でくすぶり始めた熱に神経が過敏になっていくのが分かる。

「だめっていうか…」
「嫌じゃないならやめない」

サクラの釈然としない言葉に我愛羅は先手を打つと、再び肌に手を這わす。
今度は指先でなく、掌全体で胸の周りを撫でていく。

「ん、」

触られそうで、触られない。
触ってほしいような、触ってほしくないような。
そのもどかしい愛撫に体はもぞもぞと蠢き、サクラを抱きかかえる我愛羅の唇は動きに合わせて皮膚を食む。

もっと決定的な刺激がほしいと、身をよじりながら考えていれば、まるでそれを分かっていたかのように我愛羅の手がブラの中に入り込み乳房を包み、指先が硬くなった乳首を掠める。
それだけであっ、と高い声をあげ身体を跳ね背を反らす。

「あっ…あぁ…」

我愛羅の存外大きな掌が慎ましい胸を円をなぞるように優しく愛撫する。
そうして時に掠めるように指先が乳輪や乳首を撫で、ひっかき、転がしていく。
サクラは身悶えるように体をくねらせ、思わず我愛羅の腕を掴むが、力の入っていない手は掴むというより添えている形に近い。
思わずいやいやと首を横に振っても、我愛羅は構わずサクラの左胸を丹念に愛撫し続ける。
暫くすると徐々に触られていない反対の胸まで疼いてきて、無意識にこっちも触ってほしいと思い出す。
そっと己を抱き込む我愛羅の左手に指を馳せれば、その手はサクラの指を撫で、手の甲を愛撫しサクラはいやと首を振る。

「ん…そっちじゃ、」
「ん?」

サクラの言葉に我愛羅の手は止まり、それではとゆっくりと服の上から下腹部を撫で、指先で臍をくすぐる。

「だから、違うってばぁ…!」

羞恥に頬を染め、それでも確かな刺激が欲しくて身悶えるサクラに我愛羅はいじめすぎたか、とようやく未だ触られていない右胸に触れ、下から持ち上げるように揉みしだく。

「あっ」

途端にびくりと体を跳ねさせ上体を反らすサクラに、我愛羅はご褒美と言わんばかりに乳首を摘みうなじに舌を這わせ皮膚を食む。

「あぁ…!」

徐々に浅く早くなっていく呼吸に合わせ、我愛羅はサクラの顔を優しく誘導し唇を重ねて舌を絡める。

「んんぅ、んっ…ぅ、ん、」

最初の時とは違い、蠢く我愛羅の舌に合わせて舌が無意識に動き、淫猥な水音を奏でていく。
そうして必死に口付に応えていると、我愛羅はそっと右手を胸から離し衣服のジッパーに手をかける。
ゆっくりと、ジッパーを下げる音を聞かせるようにしながら焦らすようにそれを降ろしていけば自然とサクラの視線がそちらに向く。

「あ…や、みないで…」

徐々に露わになる自らの体に頬を染め、我愛羅の視線から逃れるように身を捩るサクラに我愛羅は嫌だと返す。

「嫌なことはしないって言ったのに、」
「それとこれとは別だろう」

左右に開かれた衣服を合わせようと手を伸ばすが、それより先に我愛羅の指先が敏感になった乳首を摘み身悶える。

体を丸め我愛羅の腕から逃れるような動きをしたサクラだが、それを見越していた我愛羅に素早く服を脱がされてしまう。

「や、やだっ」

ぎゅっと己の体を抱きしめるように丸くなる背中は、月明かりに照らされ青白く輝いている。
まるで芸術品のような滑らかな肌に我愛羅は無意識に唾を飲みこむと、指先でその背を辿る。
そのじれったい触れ方も刺激になるのか、サクラが再び押し殺した吐息を零せば、我愛羅は未だ誰も触れたことがない背に唇をあて舌を這わせる。

「が、我愛羅くんっ」

サクラの僅かに上ずった、焦ったような声音すら耳に心地よく、しっとりと肌に吸い付く皮膚の感触を楽しむように掌で撫で、唇で皮膚を甘く食んでいく。

「ねぇ、本当、ちょっと、まって…ねぇったら…」
「うん?」

音を立てて口付けていると、サクラの心底焦ったような声に我愛羅の手はようやく止まり、肌を辿っていた唇も離される。

「何だ?」
「そ、その…もうちょっとゆっくり進んでほしいかなって」

浅い吐息に上下する肩。
我愛羅は思わずしまった。と暴走し始めていた自分に気づきぐしゃりと髪を掻き乱す。

「すまん…お前の肌が綺麗だったからつい」
「!そ、そう」

反省する我愛羅の口から何気ない体で零された言葉に、思わず羞恥に頬を染めるが暗がりのため気づかれていない。
暗くてよかったと思ったのも束の間、突如ブラの金具を何の脈絡もなく外され今度こそ本気で焦る。

「えぇええ?!いや、いやいやいやちょっと待って?!なんで取るの?!」
「つけたままする気か?」
「いやそうじゃなくて!」

慌てる姿は色気の欠片もないが、我愛羅は気にせず淡々とブラジャーの紐をサクラの肩を撫でながら落としていく。

「サクラ」
「はい?!」

肩紐を落とすか落とさないか、お互いの指先で小さな攻防を繰り返している狭間に、我愛羅はサクラの名を呼ぶとそのまま後ろから覆い被さるように抱きしめる。

「これは卑怯だって!」
「サクラは可愛いな」
「お願いだから会話して!!」
「いい匂いがする」
「あああもうイジワル!!」

泣き叫ぶサクラに我愛羅は小さく笑いながら、ついに体からブラジャーを取り外しひょいと高く掲げる。

「おあずけ」
「バカ!我愛羅くんのバカ!デリカシーなさ男!!」
「はいはい」
「うぅ〜!我愛羅くんのイジワル!すけべ!えっち!」
「助平もエッチも同じ意味だろう」
「揚げ足とるな!」

ベッドの上でするやり取りではない、まるで子供のような言葉遊びに我愛羅は軽く笑うと、余裕のないサクラの背に再び口付た後視線を外す。

「しかしサクラのブラは可愛いな」
「?!何見てんのよバカああああ!!!」

我愛羅の突然の言葉に振り返れば、サクラを抱きしめつつじっくりとブラジャーを眺める我愛羅が目に入り奪い返そうと身を乗り出す。
だがそれを狙っていた我愛羅はしたりと笑むと、まるで獣のように口を開けサクラの慎ましい胸に噛みつき舌を這わせる。

「んあ!?」

指とは違う、熱くぬめった舌が己の皮膚を這いまわる感触に肌は粟立ち全身に焼けつくような刺激が走る。
散々手で嬲られた胸は既に敏感になっており、舌全体を使って愛撫される感覚に甘い声を上げる。

「あ、や…それ、やだ、だめっ」
「じゃあこれは?」

首を振るサクラに、言葉と同時にかりっ、と乳首を甘噛みすれば、ますます高い声を上げ背を反らせる。
それが余計に我愛羅に胸を押し付ける格好になってしまうことに気づかぬまま、我愛羅の舌に翻弄されるように甘い声を上げる。

「だめ、だめぇ…」
「わがままだな」
「あぁ…しゃべっちゃだめっ」

ちろちろと舌先で嬲られながら喋られると、その振動と掠める吐息だけで感じてしまう。
サクラは我愛羅の手から逃れるように身を捩らせるが、そうはさせまいと言わんばかりに強く抱き込まれてしまう。

「片方だけじゃ物足りないだろう?」
「ひっ!」

ずっと舌先で愛撫されていた左胸にばかり気を取られていたが、反対の胸に掌を這わされひくりと喉が震える。
もし両方弄られてしまったら、自分はどうなってしまうのかと僅かに恐怖を覚え首を横に振るが、我愛羅は構わずぴんと硬く立ち上がったサクラの乳首を指先で捏ねる。

「ふぁあ!あぁ!」

足先まで痺れるような快感が走り、サクラの額に汗が浮かぶ。
片方は舌で愛撫され、もう片方は掌で揉みしだかれ指先で乳首を弄られ、徐々に思考すらままならなくなっていく。
びくびくと体が跳ねる中、下腹にざわざわとした熱くむず痒いような感覚が広がり、じわりと股の間が潤っていくのが分かる。
恥ずかしいと、足を閉じるように腿を擦り合わせれば、それに気づいた我愛羅の片手が胸から離れ、まっすぐ臍を通り下腹を軽く押し、その真下へ這わされる。
いや、と口にしたが本気で嫌がっていないことが分かり、我愛羅は一度止めた指先を再び走らせる。

「ああっ…」

何時の間にか膝立ちになっていたサクラの背を、もう片方の手が撫でさすり、腰を辿り臀部側からスパッツの中に掌を入れてくる。
ひくりと震える胸は口で愛撫したまま、我愛羅はショーツの上から柔らかな尻を揉み指先でくすぐっていく。
指先の動きと胸への愛撫に身悶えながらつい助平と文句を言おうとしたが、そういう行為をしているのだから文句も何もないだろうと口を閉じる。

「サクラ」

我愛羅に名を呼ばれ、サクラの視線が落ちる。
すると目に入ったのはいつの間にか太ももの途中まで降ろされたスパッツと、熱を帯びた我愛羅の瞳。
サクラは無意識にこくりと喉を鳴らし、太ももを撫でる掌に肌を戦慄かせながらゆっくりと自らスパッツを脱ぐ。
本当ならば羞恥のあまりいやだと抵抗したかったが、ここまで来て今更止めれるわけがない。
それに自分から言い出したことなのだからと、サクラなりに腹を括っていることを示すように足からそれを抜き去れば、我愛羅は露わになった足の付け根に口付る。

「ん!くすぐったい、」

ゆっくりと太ももを撫でられ、足先まで痺れるような快感が走り逃げるように腰を揺らす。
我愛羅はそんなサクラの腰を掴んで引き戻すと、片手をサクラの背に回し、反対の手で頭を支えながらゆっくりと寝台の上に押し倒していく。

「…怖くないか?」
「平気よ…ちょっと恥ずかしいけど…」

頼りない、ショーツ一枚だけの姿になったサクラは恥ずかしそうに膝をたて、胸を隠すように両腕で己を抱きしめると視線を逸らす。
我愛羅はサクラに恐怖を与えないよう優しく掠めるだけの口付を繰り返し、ゆっくりと手を重ね握りしめる。

「我愛羅くん…」
「ん?」
「その…私だけ脱ぐっていうのは…」

うろうろと視線を彷徨わせるサクラに、我愛羅は首元を緩めただけの自身の衣服に視線を落とし再びサクラを見つめる。

「お前が怖くないと言うなら脱ぐが…」
「だ、大丈夫よ!むしろ私だけその、こういう姿の方が恥ずかしいし…」

もじもじと膝を擦り合わせ顔を逸らすサクラに、我愛羅はそれではと自身の衣服に手をかける。
すぐ傍で聞こえる衣擦れの音と、床の上に衣服が投げ出される軽い音に徐々に緊張していく。

やっぱり恥ずかしいかも。
ぎゅっと目を閉じていれば我愛羅の手が顔のすぐそばに降ろされ、熱を持った肌がサクラの肌にピタリと重なる。

「ぁ…」

小さくサクラの声から零れる声に軽く笑み、己の肌に吸い付くように汗ばんでいる体を抱きしめ口付る。
我愛羅との口付にも慣れてきたサクラが我愛羅の背に手を回し口付に応えれば、殆ど隙間なく二人の体は重なり徐々に体温が馴染んでくる。

「我愛羅くんって、結構筋肉あるんだね」
「男だからな」

サクラは一度も触れたことの無い我愛羅の裸の背を撫でながら、己とは違う男の硬い皮膚を味わうように抱きしめ吐息を零す。
重なる体は程よく引き締り、服の上からでは分からなかった筋肉をなぞるように指を這わせれば我愛羅がくすぐったそうに吐息を零す。
それがやけに厭らしく聞こえて、知らずサクラの体も熱くなってくる。

暫くそうして互いの体温を感じあうように抱き合っていれば、体から不思議と力が抜けていき、無意識に我愛羅の肌を撫で始める。
人肌とはこんなに心地いいものだったのかと感動のような感嘆のような感想を抱いていれば、そろそろと我愛羅の指が動きサクラの肌に再び愛撫を施していく。
だが今度はそれに恥じることはなく、むしろ自分も真似るように我愛羅の体に手を馳せる。

「ん、我愛羅くん」
「サクラ、」

名前を呼び合い口付れば、身体の奥からあたたかい何かが込み上げてくる。
舌を絡めれば体温はあがり、胸を愛撫されれば全身に走る快感に体が自然と汗ばんでくる。
初めての行為であったが、恐怖感も嫌悪感もなく、どこか満ち足りた気分でもあった。

我愛羅の手が胸から腹を辿り、臍をくすぐり下腹を撫で、そうしてついに秘所へと指が這わされる。
思わずぴくりと体を跳ねさせたが、我愛羅の指を止めることはなく、ゆっくりと上下する指の動きを甘受する。

「ぁ…ん、はぁっ」

いつもの自分の声とは全く違う、甘えたような高い声が恥ずかしく指を噛めば、我愛羅はその声が可愛いと囁き骨ばった指で己の指を絡めとると、そのままぎゅっと握りこむ。
その手を握り返しながら、徐々に荒くなる息と上がる嬌声に合わせて体を捩る。

「サクラ…綺麗だ…」
「あっ」

我愛羅の体が徐々に下にずれていき、握っていた手はするりと離れサクラの胸を愛撫し、唇は肌を辿り優しく、時に味わうように食み、舌で愛撫する。
徐々にサクラの体に愛撫による悦びを教え込んでいく我愛羅の手に、サクラの体はすっかり熱を帯び疼く下腹に比例するように秘所が潤っていく。

初めは上下左右に、くすぐるような、あやすような指圧で秘所を撫でていた我愛羅の指に次第にもどかしさを覚え腰が揺れてくる。
それに気づいた我愛羅が、ショーツの上からでも分かるほどに潤ったサクラの膨らみ始めた突起に指の腹を当て、くるりと円を描くように優しく撫でた。


「ああっ!」

途端、全身に抗いがたいほどの痺れが広がり、顎を仰け反らせ高く喘ぐ。
その刺激から逃げようと腰を捻るが、足の間に我愛羅の体が入り込んでおり叶わない。
いやだと言いたくとも断続的に突起を撫でくすぐられ、形容できない刺激にすっかり翻弄されてしまい、喘ぐしかできない。

与えられる刺激におかしくなりそうだと悶えていると、ようやく我愛羅の指が秘所から離され、サクラのシーツを握る指から力が抜ける。
荒い呼吸を繰り返すサクラをあやすように、我愛羅の掌がゆっくりと太ももを撫で、内腿に唇を当て痕は残さぬように軽く食む。
その僅かな刺激にでさえ背を反らせ僅かに腰を浮かせると、我愛羅はその隙間に腕を入れ腰を抱き、その下に枕を差し込む。

「え、なに?」

我愛羅の行動の意味が分からず問うサクラに、我愛羅はこうしたほうが負担が少なくていい。と説明し、頷いたサクラの片足を掴み高く掲げる。
恥ずかしい、と視線を逸らす中、我愛羅の赤い舌が内腿に這わされ、そのままふくらはぎから足首まで味わうように舐められる。
その刺激に震える声を零し、我愛羅は引き締ったふくらはぎを揉むように掌全体で愛撫し、唇で肌を食み舌で何度も愛撫する。
サクラの足はその都度緊張と快楽で強張り、弛緩し、またきゅっと力が籠められ呼吸に合わせて鼓動する。
その様が淫らで美しいと我愛羅は熱い吐息を零しながら、足に気を集中させているサクラの秘所に向けてゆっくりと舌を這わせていく。

「あっ!だめっ!」

触られただけでも恥ずかしかったそこに、我愛羅の頭が寄せられサクラはカッと全身を羞恥の色に染め上げ逃げ腰を打つ。
だがそれを見越していた我愛羅に腰をしっかりと掴まれ阻止され、終いにはショーツの上から割れ目に唇を落とされ、あまりの羞恥に目の前が真っ赤に染まる。

「いや、だめっ、そんなとこ…」

首を左右に振り、押し返すように我愛羅の肩に手をやるサクラに我愛羅はふと視線をあげると、目を細めまるで見せつけるかのようにサクラの両足を広げ足の付け根に噛みつく。

「んぁ!」

びくりと足が跳ね、きゅっと内腿に力が入る。
そして我愛羅は浮いた腰に合わせるようにショーツの隙間に指を滑り込ませ引っ掛けると、するりとショーツを下し掲げた足からそれを抜き去ってしまう。

「だめ!見ないで!」

足を閉じようとしても我愛羅の体が挟まって出来ず、手を伸ばしても絡め取られ押し返されてしまう。
恥ずかしさのあまり目に涙が浮かぶサクラに悪いと思いつつ、我愛羅は淡く柔らかな茂みまで濡れそぼった秘所に視線を落とす。

「我愛羅くんのバカぁ…」

ぎゅっと目を瞑りついにほろりと涙を零すサクラに、我愛羅は劣情を煽られるが頭を振ることでそれを消し去り、かわりにサクラの頬を伝う涙を唇で掬い取る。

「泣くなサクラ」
「だって…」
「お前を傷つけるわけにはいかない」

優しく顔中にキスの雨を降らせてくる我愛羅の言葉に、閉じていた瞼を開き潤んだ瞳で我愛羅を見つめる。
すると我愛羅はサクラに向かって安心させるように口の端を緩めると、お前を大事にしたいんだ。と続ける。

「初めての行為だから恥ずかしいだろうが、我慢してくれ。お前の体に傷がつくのは不本意だ」
「でも…」

赤くなった顔を俯かせれば、己の潤んだ秘所が目に入り恥ずかしさに狂いそうになる。
やっぱり恥ずかしいと首を横に振るが、我愛羅はそれには目を瞑り軽くサクラの目尻に口付を落とすと、再び秘所へと手を這わす。

「んっ…!あ、んん…」

濡れそぼった茂みを優しくくすぐり、人差し指と中指でゆっくりと膨らみ始めた花弁の淵をなぞっていく。
微弱な振動を与えるように指が小刻みに震えるたびに濡れた音が響き、羞恥と言い様のない熱に全身が色づいていく。
サクラの淡雪のような肌が赤く燃え上がり、花の名を体現するかの如く色づいた肢体を美しいと思いながら、同時にもっと淫らな姿が見たいとも思う。

「ああ…だめ、だめっ」

我愛羅の指に追い立てられ、うわごとの様にいやだだめだを繰り返すサクラの秘所は、すっかり愛液が溢れ後ろの蕾にまで伝っている。
そのあまりにも淫猥な光景に自然と喉が鳴り、暴走しそうになる熱を抑え付けるよう一度目を閉じ、深く深呼吸する。
そうでもしなければ、痛いほどに存在を主張してくる下腹の熱を、すぐにでもサクラに突き立て貫いてしまいそうだった。
そんな我愛羅の葛藤など露知らず、サクラは全身に広がるやり場のない熱に呼吸を乱し震えていた。

「はっ、ふっ…はぁ…」

ぐったりと寝台の上に体を投げ、荒い呼吸を繰り返す体が忙しなく上下し、時に震える。
飛ばしすぎただろうか、と一度欲望を落ち着かせた我愛羅がサクラの頬に張り付いた髪を指先で払ってやれば、その刺激にでさえサクラは小さく喘ぐ。

「サクラ、」
「ん…へ、いき…」

我愛羅の声に応えるサクラの瞳は、いつものような凛としたものではなく、すっかり熱に浮かされ甘く蕩けた色をしている。
その瞳に捉えられ、我愛羅は知らず荒くなっていた己の呼吸を整えるようにもう一度深く深呼吸をする。
暴れ狂う下腹の熱は収まる気配はないが、優先順位はあくまでサクラだと何度も言い聞かせ、心頭滅却を心がける。

束の間の、小休憩のようなこの間でようやくサクラも徐々に視界がはっきりし始め、目を閉じ僅かに浅い呼吸を繰り返す我愛羅をぼんやり見上げる。
そしてふと我愛羅の汗ばむ上半身から視線を落とせば、はっきりと見てわかるほどに膨らんだ下腹に目が入りどくりと心臓が強く脈打つ。

(そうだ…私、これからアレをいれられるんだ…)

それを意識しただけで、未だ清いままの子宮が甘く疼く。
アレを入れられたらどうなってしまうのだろう。
サクラが再び浅くなる呼吸を繰り返していると、どうにか己の欲望を抑えつけることができたらしい我愛羅が閉じていた瞼を開ける。

「サクラ、大丈夫か?」
「うん…」

サクラの耳に届く我愛羅の声は、熱っぽく掠れ、脳髄に甘く響く。
無意識に我愛羅へと腕を伸ばせば、気付いた我愛羅が上体を曲げサクラの頬や鼻先に口付け、唇を重ね合わせる。
すっかり我愛羅との口付に慣れた己の舌を、我愛羅の口内に潜り込ませ深く絡ませ合う。
まるで貪るかのような口付に、口の端から唾液が零れ、口内に溜まったものはこくりと音を立てて飲み下す。
熱く燃える互いの体をまさぐるように掻き抱きながら、我愛羅はサクラの濡れた秘所に再び指を当て、ゆっくりと膣に指を一本入れていく。

「んんっ…!」

溢れる愛液のぬめりと、熱く締め付けてくる膣内の淫猥な動きを感じながら、指を深く突き入れ馴染ませるように指の腹でナカを擦る。

「ん、ん、ふっ、ぁんっ…」

埋め込まれた異物感と、慣れぬ刺激に僅かにサクラの眉間に皺が寄るが、痛みはないようで我愛羅の指を受け入れている。
我愛羅はサクラの反応を見逃さぬようしかと見つめながら、徐々に指を抜き差しし始める。

「あ…な、に…なん、か、へん、だよっ」

身体の内側を指の腹で擦られ、円を描くようにゆっくりと指を回転させられ、サクラは未知なる感覚に身悶える。
痛みはないかと問えば、痛くはないが変な感じだと答え目を閉じる。
それならばと、我愛羅は埋め込んだ指を一旦引き抜くと上体を下げ秘所に顔を近づける。
一体何をする気なのかと、サクラが蕩けた視線で我愛羅を追えば、我愛羅はそろりと赤い舌を伸ばしサクラの膨らんだ突起を包み込む。

「いやぁっ!」

途端に広がる電流のような衝撃が全身を貫き、サクラは大きく背を仰け反らせる。
だが我愛羅は尖らせた舌先で突起の周囲を突いた後、柔らかく広げた舌全体で優しく突起を包み嬲る。
荒れ狂う濁流のような快感がサクラを襲い、訳も分からずいやいやと泣き叫ぶ。
サクラの秘所に再び愛液が溢れだし、我愛羅は広がる花弁に指を這わせつつ、それをそっと左右に開けば、ひくつく膣口が目に入りごくりと喉を鳴らす。

「いや…いやぁ…」

指で広げた花弁は煽情的な緋色で、それを彩る愛液は淫猥な香りを放ち我愛羅を誘惑する。
香り立つ女の匂いに堪えきれず口を開けると、花弁に口付け音を立てながら溢れる愛液を舐め啜る。

「ああっ!だめっ、我愛羅くん、だめぇ!!」

塩辛く、ねっとりとした愛液を飲み込めば我愛羅の下腹が暴れそうなぐらいに疼きだす。
それでも我愛羅はその欲望には従わず、サクラのふっくらと花開いた花弁に舌を這わせ、膣口に指を宛がい深く侵入させていく。
下腹から襲ってくる体験したことのない刺激に、サクラの体は跳ね、反り、張りつめる。
じっくりと時間をかけて膣内を愛撫し続ければ、次第に膣内が緩み逆に我愛羅の指を飲み込むかのように収縮し始める。

我愛羅は二本目の指を宛がい、傷つけぬよう再び膣内に揃えた指を埋め込んでいく。
僅かに増えた圧迫感にサクラがんん、とくぐもった声を上げるが、広がった膣はすぐさま我愛羅の指を貪欲に飲み込み締め付けていく。

「痛くないか?」
「うん、」

我愛羅の問いに頷くサクラに、抜き差ししていた指を一度奥まで入れ、ぐるりと回転させ鉤状に指先を曲げると指の腹でナカを刺激していく。
今までにない指の動きにサクラが閉じていた目を開ければ、途端に目の前が真っ白になるほどの刺激が走り身体が大きく跳ねる。

「…?な、に…?」

一瞬で全身を駆け巡った強い刺激に目を白黒させていると、我愛羅は再びそこを狙って指を曲げ、ひっかくようにそこを掻く。

「んん!!」

またもサクラの体に衝撃のような強い快感が走り、ぎゅっと強くシーツを握りしめる。
我愛羅は強く鼓動し始めた膣が十分に広がったことが分かると、ずるりと愛液が滴る指を抜き去る。

「サクラ、一度果てておくか?」
「ふぇ…?」

我愛羅の言ったことが理解できず、ぼやけてはっきりしない視界で我愛羅の顔を見上げるサクラに、我愛羅は一度知っておいた方がいいと告げるや否や、再び突起に舌を這わせる。

「あぁ!!だめっ!」

サクラの高くひきつるような声が我愛羅の耳に届くが、我愛羅はサクラの膣内に再び指を入れると、先程と同じ場所を指の腹で何度も引っ掻く。

「ああああ!!だめ、いやっ!!ああっ!おかしくなるっ!!」

サクラのイイ所を二点、同時に嬲られ、愛され、サクラはなりふり構わず泣き叫び、寝台に体を押し付け、暴走する熱に脳まで溶かされるような錯覚に陥る。

「いやっいやぁあ!!やめて、あ、だめっ…!」

右も左も分からなくなったころ、サクラの内側で熱いなにかがはじけ、脳が焼けつくような熱を帯び、全身がぴんと張りつめる。

「はぁ…はぁ…」

そうして気づけばぐったりと、サクラは生温い寝台の上に横になっていた。
あの瞬間、自分の身に何が起きたのかと考える間もなくただ荒い呼吸を繰り返していると、我愛羅がサクラの頬を流れる汗を指先で掬い、張り付いた髪を優しく払いのけた。

「大丈夫か?」
「な…に…?いまの…」

荒い呼吸の中、ぼんやりと問われた言葉に今のが果てるというものだ。と教えてやれば、あれが…とサクラは呟く。
まるで脳が焼けつくようだったと、全身が濁流に揉まれた時のような倦怠感を味わいながら我愛羅を見上げれば、我愛羅はほっと息をついた。

「意識をやってしまったらどうしようかと思った」
「…しぬかとおもったわ…」

性行為は時に生死の狭間を行き来する。
色の任務に就く前に読んだ教書に載っていた一文を思い出し、確かにその通りだと頭の片隅で思う。
そうしてようやくサクラが落ち着いた頃、サクラは我愛羅の下腹に目をやりそこに触れる。

「っ、」

サクラの指が触れたことで、我愛羅の必死に押さえつけていた欲望が頭をもたげてくる。
思わずその手首を掴めば、サクラは緩慢な動作で体を起こし、我愛羅を見つめる。

「我愛羅くん、私に教えて」
「な、にをだ」

ゆっくりと下から上へ欲望をなぞられ、我愛羅の背に焦燥のような快感が走る。

「我愛羅くんを…知りたいの」

サクラにそう告げられ、我愛羅は思わず自身の顔を覆った。
暫く無言を貫く我愛羅を根気強く待てば、ようやく顔をあげた我愛羅は知らんぞ。と呟いた。

「男は走り出したら止まれなくなるからな」
「うん。だってさっきも止まってくれなかったもんね」

サクラのからかうような言葉に我愛羅はうぐ、と言葉に詰まり、今度は痛いかもしれんぞ。と続ければサクラは構わない。と答える。

「だって私の処女、もらってくれるんでしょ?」

男に二言はないわよね。
したりと笑むサクラに我愛羅は再び顔を覆った後、分かった。と頷く。

「だが正直…お前に対して本当に優しくできるかは分からん」
「うん…それでもいいよ」

私の初めては我愛羅くんにあげるんだって、そう決めたんだから。
そう言って我愛羅の背に腕を回し抱きつけば、我愛羅はまるで腹を空かせた獣のように口を開け、サクラの唇に噛みついた。



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