小説
- ナノ -


お風呂に入ろう



【現パロ】で二人がお風呂に入るだけの話。若干の下ネタ要素あり。でも健全。そんな平和なお話。





 軽快な音楽が部屋に鳴り響く。どうやら風呂が沸いたらしい。

 祖国であるインドから来日して早数年。日本での生活にも慣れてきた。その中でも特に気に入ったのがこの『風呂』だ。インドでは日本のように常に蛇口を捻ればあたたかな湯が出てくるような国ではない。むしろシャワーからお湯が出ない。などは割と茶飯事だ。しかもそれを大きな桶に貯めて全身を浸からせるなど……驚いたものだ。
 更には全国津々浦々には『温泉』と呼ばれる入浴施設まである。まだ数回しか行ったことはないが、実に素晴らしい場所だった。いつか家族を招待したいものだ。
 しみじみと実感していると、湯沸かし器の音楽を聞きつけたのだろう。部屋からのっそりと、ぼさぼさ頭をそのままにしたジナコが出てくる。

「お風呂、沸いたんスか?」
「ああ。そのようだ」
「ふぁあ……じゃあお先に貰いますね。珍しくキリがいいとこで終われたんで」

 大きな欠伸を零しつつ、ずれた眼鏡を指先で押し上げたのはジナコ=カリギリだ。彼女とは来日してからの付き合いだ。何せ俺の居候先が彼女の家だったからな。
 初めは日本に定住することを決めた時に引っ越した方がいいかと考えたりもしたのだが、ジナコは実に怠惰な人間だ。俺がいなければ掃除、洗濯、炊事をまともに行わない。これでは折角ご両親から健康的な肉体を与えられたというのに早死にしてしまう。それはあまりに勿体ない。だから俺は早々に彼女の健康と言う名の人生を守ることに決めた。
 そんな彼女ではあるが、幾ら怠惰であろうと仕事をしていないわけではない。詳しく知っているわけではないが、どうやらゲーム会社に勤めているらしい。
 とはいえ彼女が家から出ることはない。『在宅ワーカー』なのだと言っていた。家でも仕事が出来るのは便利かもしれないが、その分ジナコは怠惰に拍車が掛かっている。真面目な顔をしている時はゲーム中か、好みの映画やアニメを見ている時だけだ。彼女の好きなものを否定するつもりはないが、もう少し日光を浴びた方がいいと俺は思っている。

「……カルナさん。さっきから何なんッスか。視線が煩いんですけど」
「ん? ああ、すまない。つい『今日もジナコは外に出なかったのだろうか』と考えていてな。まさか視線になってお前に訴えかけているとは思ってもみなかった」
「……うぜえ……カルナさんのそーいうとこ、マジでウゼェ……」

 何だか今日のジナコは殊更疲れた表情をしている。好きなものでも長時間行い続ければ流石に疲れるのか。俺にはゲームの良さはあまり分からないが、先にも言った通り彼女の好むものを否定するつもりはない。しかもそれで収入を得、生計を立てているのだ。ならば文句を口にすべきではない。
 それに今は風呂が沸いたばかりなのだ。日本に来て初めて『日本式入浴』なるものに挑戦しようとした時、彼女は俺にこう言った。

『お風呂は心の洗濯ッスよ、カルナさん』

 と。
 誰かの受け売りだったらしいが、俺はその言葉に深く感動し、感銘を受けた。実際湯船に浸かった時の心地よさは、正に『目から鱗』という言葉がピッタリとあてはまる心地だった。
 風呂は良い。実に良い文明だ。俺は心から風呂を愛している。何せ日本に定住することを決めたのも『いつか全国の温泉巡りをしたい』からだ。それぐらい風呂が好きなのだ。そしてその風呂に入る理由も、何も『心地好い』からだけではない。

「ちょ、カルナさん! 何入ってきてるんスか!」
「いや、俺も入ろうかと……」
「何でアンタはそんなに混浴が好きなんスか?! 言っときますけど、ボクそこいらの女子とは違ってムダ毛の処理とかしてねーッスから。見たら幻滅しますよ?」
「別にそんなものでお前を厭うたりはしない。そもそも体毛というものは人体に必要なものだ。そして『守らなければならない』部分に生える。それを否定するのは戦士に『防具を捨てろ』と言っているも同然。俺はそんな非道な行いを良しとはしない」
「いや、そうじゃねえ。そうじゃねえッス」

 何故か項垂れるジナコ。うむ。何故だ。俺はきちんと理由を述べたつもりなのだが。出会ってすぐに彼女から『カルナさんは言葉が足りなさすぎるんスよ! コミュ障か!!』と的確な助言を貰ってから気を付けているというのに。まだ伝わり切れていないのだろうか。

「ジナコ。俺はあるがままのお前で良いと思っている。お前が他人と自分を比べるのは自由だが、その見識に俺の意識が介入するのは間違いだ」
「はいはい。もーいいッス。カルナさんは尻毛まで愛せる猛者なんだとジナコさんしっかり学びましたから」
「ああ。そうだな。俺はジナコの尻毛ごとお前を愛そう」
「わざわざ宣言しなくていーんスわ!! そもそも尻毛とか単なる例えだから!」
「何だ。そうか」

 一通り発言してスッキリしたのだろう。ジナコはふう、と息を吐きだすと衣服を脱ぎ始める。

「あーもー……何でボクがこんな目に……」
「二人で一緒に入ると電気代、その他諸々の節約になると先日テレビで言っていただろう?」
「もういい。もういいッス。ほら、早く入ってください。風邪引きますよ」

 未だ下着姿のジナコに背を押され、既に裸になっていた俺は言われるがまま浴室に入る。湯船の蓋を取れば、途端に白い湯気が上半身を覆い隠す。
 ああ。今日もいい湯加減だ。

「カルナさーん。ボク先に洗いたいんで、お湯被ったら湯船浸かってください」
「承知した」

 炊事洗濯、その他家事全般を担っているのは俺だが、世帯主はジナコだ。元々この家は彼女の実家でもある。家主の言葉に従うのは当然のことだ。そして何より俺は一番風呂を楽しめることが心から嬉しい。だから反論するつもりも、異を唱えるつもりも毛頭なかった。

「はあ……実にいい文明だ……日本に来てよかった……」

 日本に来たのは偶然だった。国を出たのは両親の一言が切っ掛けではあるが。
『一度祖国を出て見ろ。視野を広げて来い。人生が豊かになるぞ』
 そう言われ、背を押された。
 弟のアルジュナからは『貴様がまともに異文化交流できるとは思えないがな』と笑われたが、どうやら俺には幸運の女神がついているらしい。
『不正なく留学先を選べるように』と目隠しした状態で、壁に広げた世界地図に投げたダーツは日本に当たっていた。そのおかげで俺はジナコにも風呂にも出会えたのだ。これを『幸運』と言わずして何と言おう。
 湯船に浸かりながらそんなことを考えていると、用意が済んだのだろう。ジナコがおずおずと入ってくる。

「……やっぱり慣れないッスわ。コレ」
「? 何がだ?」

 ジナコは己の裸体を恥ずかしがるように手を交差させているが、豊満な体がたった二本の腕で隠せるわけがない。大きく膨らんだ胸も腹も、むっちりとした尻も太もも、すべてしっかりと俺の目に映った。

「あんまり見ないでくださいッス!」
「承知した」

 言われるがままに視線を外す。天井のシミ、はないので、ジナコが蛇口を捻る『キュッ』という音。それからシャワーから出てくる水の音。それが床に当たって弾け、飛び散る音。ジナコの口から零れる、小さな『ぷはっ』と言う吐息。呼吸の音。それらを目を閉じながらじっくりと拾い上げ、味わう。

「……カルナさーん? もしかして寝てんスか?」
「いいや。起きている。お前が『見るな』というから、目を閉じていた」
「ああ、そういう……じゃあもう暫くそのままで」
「承知した」

 そういえば、日本では眠れない時には『羊を数える』と教えてくれたのもジナコだった。何故羊なのかは分からないが、とにかくそういうものなのだ。と甲斐甲斐しく日本の文化や伝統について教えてくれた。思えば留学した当時からジナコは常に俺を導いてくれた。時には実の親以上に俺を叱り飛ばし、背を押してくれた。……良い女だと思う。怠惰なところを除けば、だが。いや、それも含めて『ジナコ=カリギリ』だ。そんな彼女を、俺は愛している。

「ふぅ。カルナさん、交代ッス」
「ん? ああ、分かった」

 ザバリ、と湯船から上がれば白い肌が赤くなっていることに気付く。だが痛くも痒くもない。むしろ血行が良くなった証だ。今日も俺の肉体は健康で何よりだ。

「カルナさんって、本ッ当お風呂好きですよねェ〜」
「ああ。実に良い文明だ。日本はもっと誇るべきだな」
「いや、既に立派な収入源として活躍してますから」
「む。そうだったか。それはすまない」

 日本は風呂好きというだけあり、その設備も多岐にわたる。シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ボディソープ、石鹸。それにも様々な種類がある。勿論香りやメーカー、成分にもこだわっている。そして驚いたことに、身体を洗うタオルにまでその職人気質が現れているのだから驚きだ。本当にこの国の人間は『入浴』という行為に対して並々ならぬ情熱を傾けている。だがそのおかげで俺はこうして『入浴』という行為、そして『風呂』という存在を心から楽しむことが出来ている。
 ああ……祖国の民も皆こうして湯に浸かることが出来れば、さぞ幸せだろうに。

「カルナさん、いい加減シャワーで流さないと全身泡で見えなくなるッスよ」
「む。しまった。つい」

 シャンプーにしろボディソープにしろ、つい泡立ちがよくて流すまでに時間がかかってしまう。それにしても何故この泡たちはこうも滑らかなのだ。まるで生クリームだ。滑らかで、繊細で。絹のようでもある。
 勿体ない。流すのが勿体ない。初めてこの泡の滑らかさを体感した時に強く感じた。それ程までにこの『泡』は心地いい。祖国に持って帰りたいぐらいだ。

「カルナさん。まーた妙なこと考えてますね?」
「いや……そういうわけでは……」
「はいはい。お風呂は心の洗濯。シャワーで悩みもストレスもぜーんぶ流してしまいましょう」
「……それもそうだな」

 悩みも、ストレスも。俺はさほど感じてはいない。だがジナコは違うのかもしれない。アルジュナも、両親も。その手の話はあまりしなかったから分からないが、もしも家族がこの『風呂』に、そして『泡』に出会ったら。俺以上に嵌ってしまうかもしれないな。

「じゃあボクはこれで……」
「待てジナコ。もう少し浸かるべきだ。肉体疲労を癒す効果が湯船にはある。この間学んだからな」
「だーっ! もう! あんまり浸かると逆上せるんスよ?!」
「問題ない。そうなる前に引き上げる」
「何で主導権をカルナさんが握ってんスか! 家主はボクっスよ?」
「家主の健康管理を守るのは俺の務めだ。ジナコ。お前の疲労はまだ回復しきっていないと判断する。故に、もう暫く浸かることを推奨する」
「……はあ。コレ絶対譲らない顔じゃん……はいはい。分かりましたよ」

 嫌がるジナコではあるが、彼女も風呂が好きなのだろう。何だかんだ言いつつ湯船に腰を下ろす。だが流石に向かい合って入れるほど広くはないので、俺は彼女を後ろから抱える形で入浴する。

「いや。本当何でこうなったし」
「? 何がだ?」
「……はあ……もういいッス……」

 何故か項垂れるジナコではあるが、無理矢理出ていく素振りはない。やはり彼女も入浴が好きだということだ。気が合うな。
 それにしても、だ。

「ジナコの肌は、意外と生ぬるいな」

 そうなのだ。彼女に触れるまで知らなかったが、どうやら豊満な体の女性たちの肌は意外とヒンヤリとして冷たいらしい。てっきりもっと熱を孕んでいるものだと思っていた。

「そりゃそうッスよ。熱量が高いのは筋肉で、脂肪はその真逆ッスから。つか何スか。ボクの体型をディスりたいんスか」
「いや? 誰もそんなことは言っていないが」
「じゃあどういう意味で言ってるんスか? カルナさんの思考回路、特殊すぎて読めないんッスけど」

 ジナコの顔は、生憎と見えない。だが常に無造作に下ろされている髪は黒いゴムで一つに纏められ、普段は見ることの出来ないうなじやら肩のラインがよく分かる。俺ほどではないが、彼女も色が白い。そんな彼女の肌が赤く染まっているのを見つめながら、彼女の質問に答える。

「俺はあまり女性の肌に触れたことが無くてな。殆どジナコが初めてと言ってもいい」
「お、おう……?」
「そして俺自身は平熱が高い。三十七度が平均だ」
「はあ。多くの人間にとっては微熱と言える体温ッスね」
「ああ。だから、人は皆無条件に『あたたかい』のだと思っていた」

 だが実際は違った。初めてジナコの素肌に触れた時。そのもっちりとした吸い付くような肌質にも驚いたが、何よりもその冷たさに驚いた。氷のように冷たかったわけではない。だがまるで風にあたってわざわざ肌を冷やしたかのように、彼女の肌はどこか冷えていた。

「まぁ、脂肪は冷えやすいッスからね。カルナさんみたいにガリガリに見えて実は筋肉ある人から見れば冷たいでしょうよ」

 こうして湯船に浸かっていても、彼女の肌は俺ほどの熱量を持ってはいない。相変わらずどこか生ぬるい。だが、それが何故か心地いい。初めは心配したものだが。

「……つか、カルナさんどさくさに紛れてどこ触ってんスか」
「む。腹だ」
「人の肉をしっかり掴んでんじゃねーッスよ!!」

 叫びつつもがくジナコではあるが、俺が手を退ける気がないと悟ったのだろう。すぐに抵抗を辞めた。

「ていうか何で腹……」
「掴み心地が良くてな」
「バイクのハンドルか、っつーの」
「そこまで細くはないだろう」
「腹立つ〜」

 バイクのハンドルのように細くはない。だが安定感は確かにある。少し指先に力を入れれば、中にぎっしりと詰まったモノを感じることが出来る。試しにそのまま持ち上げ、下ろしてみる。
 グッ、と持ち上げた時に出来る横腹の皺も、指先に当たる丸いヘソの形も。肌の表面に生えたうっすらと感じ取れる産毛の感触も。生きているからこそ輝くものだ。確かに彼女の健康状態は気になるが、これはこれで……愛しいものだ。

「胸より先に腹を揉むのは人類でカルナさんぐらいッスよ。きっと」
「そうか? どこを好むかは人によって違うだろう」
「カルナさんは腹がいいんスか?」
「そうだな……考えたこともなかった」

 人の体のどこが好きか。今まで考えたこともなかった。だが、これを機に考えるのも悪くはない。ジナコの言うように腹だろうか。それとも、赤く染まった耳だろうか。白いうなじだろうか。ああ、うなじに張り付く後れ毛も、中々どうして色っぽい。あとは、丸い肩のラインから見下ろせる、豊かな乳房だろうか。そういえば、ここは腹同様に柔らかく、ハリがあって触りがいがある。

「うおわっ! 今度は胸ッスか?!」
「そういう意味ではなかったのか?」
「進んで“セクハラしてくれ”って頼む女なんていねーッスよ!!」
「む。恋人同士の触れ合いを“セクハラ”と呼ぶのは些か失礼ではないか?」
「う、うるさいッ! こい、恋人とか、そんなの二次元の中でしか知らないからいいんスよ!」

 よく分からない原理ではあるが、ジナコの中では繋がっているらしい。
 ふむ。ここは彼女の意思を尊重すべきなのだろうか。
 一瞬悩んだが、すぐに気づく。ここは俺の祖国ではない。ならばこの国で生まれ育った彼女の倫理観に従った方が無難だろう。

「だが、そうだな……俺はお前の胸も腹も好いている。もう少し痩せた方が長生きできるのは事実だがな」
「一言少ないのか余計なのか、本当どっちかにして欲しいッス……」

 掌に収まらないほど豊かな乳房から手を離すのは正直惜しい。ハリがあるのに指先を動かせば途端に形を変える柔らかさ。ずっしりと重たい果実の中心は、柔らかな実とは違って硬く尖っている。
 ……ああ。実に良い。離しがたい、他にはない魅力を持っている。だが例え同じようにたわわな実を持つ女性が現れたとしても、きっと俺はこの胸を思い出し、想いを馳せ、戻ってくるのだろう。

「も、もう上がるッスよ!! これ以上は逆上せるので、強制退室ッス!!」
「そうか。分かった」

 特に力を込めていたわけではないので、ジナコが立ち上がれば自然と胸から手が離れる。本音を言えばもう少し触っていたかったが、時間だ。彼女が逆上せてしまうのは本意ではない。

「まったく……顔に似合わずセクハラ魔人なんスから……」
「何だそれは。俺は魔人ではなく地球人だぞ」
「もう! 一々突っ込まなくていいッスから! 早く体拭く!」
「分かった」

 ジナコは予め用意していたタオルを投げつけてくると、自身の髪や体も拭き始める。だがすぐさま何かに気付いたらしい。勢いよく振り返ってくる。

「だッ……! なッ……!!」
「ん? どうした、ジナコ」

 わなわなと震える体。もしや冷えたのではあるまいな、と手を伸ばそうとした瞬間、ジナコは大きく口を開け、叫んだ。

「なんで、何で……! たってるんですかーッ!!」
「……ん?」

 立っている。それは、うん。そうだろう。体を拭くのに座っていては非効率だ。そもそも俺達二人が座れるほど脱衣所は広くはない。だがジナコは「そっちじゃない!」と叫び、こちらを見ないように顔を背けたまま指を下に向ける。

「ソッチ! ソッチのことを言ってるんっスよ!!」
「ああ。コッチか」

 それは、まあ。そうだろう。生理現象だ。仕方あるまい。

「俺も男だからな。惚れた女に触れば勃つ」
「どおおおおおおお!!!!! もっと恥じらいとか、いや、そもそもソレ、そのままでもいいんスか?!」
「ああ。問題ない。放っておけばそのうち収まる」
「雑! 思ったより対処の仕方が雑!!」
「そう言われてもな……」

 あくまでコレは生理現象。玉ねぎを切っていると涙が出るように、勝手にこうなってしまうものなのだ。止めようと思って止められるものでもない。

「ジナコ。あまり長いこと裸でいると風邪を引くぞ」
「あーもう! 分かりました! 分かりましたよ!!」

 一人で騒ぎつつも下着を手に取り、それを着ける。そんなジナコの姿をちらりと横目で伺い、それから天井へと視線を移す。

「……逆上せたか……?」

 いつもより頭がふわふわとし、身体が熱い。だが倒れるほどではない。脱衣所から出たらしっかり水分補給し、早めに休もう。そう決めた夜だった。


end


この後いかがわしいことは起きず、そのままぐっすり朝まで快眠します。カルナさんだけ。ジナコさんは一人で悶々としつつ、そのうち寝落ちて朝ごはん作ったカルナさんから「起きろ。ジナコ。朝だぞ」って起こされると思われ。
このカルナさんは精神的に『その気』にならないと事を成そうとしないタイプだといい。理性が強すぎるとも言う。なのでちょっとした『生理現象』程度では彼の鋼鉄の理性をはがすことは不可能。しかし『精神的に』「ジナコを抱きたい」と思った時には行動に移す男だといい。そんな読めないタイプだから、ジナコさんは常に『ヤるんスか?! どうなんッスか?!』って日々戦々恐々としていたらいい。処〇のような非処〇。勿論ファーストキスも処〇もカルナに捧げた。もうお前ら早よ結婚しろタイプ。末永くお幸せに。


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