小説
- ナノ -


優しく彩って



 全身どこもかしこも真っ白なアナタ。
 本当に全部真っ白なのかとその瞳を覗けば、意外や意外。左右非対称の蒼紅が驚いたようにこちらを見返す。

「カルナさんってオッドアイだったんっスね」

 漫画みたい。と、取れない宝石を見つめれば、彼はコトリと首を傾けアタシの髪を押し上げる。

「ジナコの瞳は大地の色だな」
「せめてもっとロマンのある言い方してくれません?」

 土気色ってあまりいい気がしないんだけど。土の色とは正反対の、雲みたいに真っ白な姿を詰ってやる。すると白い人は数度瞬いて、そういう意味ではないと首を横に振る。

「大地がないと人は生きていけない。立って歩くことは勿論だが、土に抱かれた作物を食べて人は生活をする。つまり人の体には欠かせないものだという意味だ」
「つまり、どういうことッスか?」

 回りくどい台詞は求めていないのだと暗に伝えれば、子供のような無垢な瞳がはちみつみたいにトロリと蕩けた。

「俺にはお前が必要だということだ」

 ロマンがあるのかないのか。よく分からない男だ。それでもこんな立派な英雄がアタシを必要なのだと言うのなら、まぁ、そう悪い気がするものでもなく。

 仕方なくアタシはため息一つで彼の細い腕に抱かれてやるのだ。
 あーもう本当、ジナコさんったら優しいわ。



end



CCC軸のカルジナはポップでキュートでたまらんです。


prev / next


[ back to top ]