小説
- ナノ -



サソサクお題【本当の君はどこにいる】

初め会った時はヤバい奴。少し慣れてくると何だコイツ。色々話すようになるとムカつく奴。
初対面の時は猫被ってた癖に、今ではすっかり化けの皮を脱ぎ捨てて私に悪戯をしかけてくる。
年上の癖に年下みたい。男っていつまでたっても本当にガキなんだから。
そう思いつつ今日も気持ち悪い虫を捕まえてデイダラを追いかけ回す赤毛のの男を見つめる。
悪人なのか子供なのか。よく分からない男を眺めつつ、自分に被害が及ぶ前に立ち去った。
後ろから聞こえてくる声に耳を塞ぎながら。

end

猫かぶりで子供な旦那に呆れるサクラちゃん。
本性が掴めてない話。


サソサクお題【そう、全てが終わる前に】

全てが終わる前にしなきゃいけないこと。
考えれば考える程沼地に沈むようで終わりがない。だからこれはもう行動で示すしかないなと腹を括り、木の葉に忍び込んだ。

「だからって誘拐してんじゃないわよ!!」

騒ぐ声を無視しつつ、小娘を抱えて走り出した。

end


サソサクお題【ピアノを弾いてほしいとせがまれる】

そりゃあコイツは結構憎たらしい所が多いけれど、手先が器用というか、認めたくないけど天才的な部分がある。
だからって神様はこんな奴にこんな特技与えなくてもいいと思うんだけど…

「ピアノ弾いてみてよ」
「あ?じゃあ依頼料百億万円な」

はい。と差し出してきた手に思いっきり掌を打ち返し、喚く男に舌打ちを零した。
だから、何でこいつにこんな特技を与えたのだ、神様は。

end

喧嘩っぷるのように見えて付き合ってないサソサク。(´ω`)


サソサクお題【君のかわりに、泣いてあげる】

「泣きたくても泣けないんでしょ」

隣に座ってきた小娘にかけられた言葉。意味が分からず睨むように視線を移せば、図星。と見当はずれな言葉を紡がれ舌打ちする。

「別に泣きたくねぇ」
「日本語変。もっと勉強しなさいよ」
「…チッ」

口煩い女の横顔に走る一筋の道。
知らぬふりをして瞼を落とせど、その先に見えるものなど何もない。

「…素直じゃないんだから」

鼻声交じりの濡れた声。どうせなら雨でも降ってりゃよかったのにな、と憎いほどに晴れ渡った空を見上げた。
傀儡の瞳でも、空は青く映るものなんだなぁ。

end


サソサクお題【好きって言ってもらえる度に、嘘をつかせてごめんなさい、って思ってる】

「すきよ、サソリ」

耳元で囁かれる甘い言葉。視線を向ければ蕩けた顔の女が一人。
木の葉から攫ってきた俺の玩具。強くて凛々しい、俺だけの玩具。
初めは教え込むのに苦労したが、今じゃすっかり俺のもの。

すきスキ好きすきスキ好きすきスキ好き…

毎日繰り返される蜂蜜のような甘言。口を開いてその言葉に答える度、昔心があった部分がチクリと痛む。
何故。どうして。自ら進んで行ったことなのに、何故成功したのに喜べないのか。
傀儡のような瞳をした女はひそりと笑う。互いの気持ちは見えぬまま。

end


サソサクお題【好きって言わせるたびに…】のサクラちゃん視点

まぁ最初は言わされてる感半端なかったけど、一緒にいるうちに色々と見えてくるわけで。
コイツの情けない所とか、だらしない所とか、子供みたいな所とか、心が狭い所とか。
愛情を欲している所とか。
だから、別に無理やり言わされてるわけじゃない。今は、だけど。
でもそんなこと言うつもりもないし、気づいてほしいわけでもないし、知らないままの方がいいんじゃないかと思う。
傀儡の瞳に何が映っているのか。私の心が見えないお人形さんに心を与えるため、今日も私は心を与えるのだ。

end


サソサクお題【足を一本差し出さないと出られない部屋】

「よしキタ」(バキイィイイイ!!!)
「俺の足いいいいいいいい!!!!」
「いいじゃない足の一本や二本くらい。どうせスペアあんでしょ?」
「スペアって言うな!俺の体の一部だぞ?!」
「よし帰ろー」
「聞けよ!!!」

end

−上記のおまけ。ドSなサクラちゃん−

桜「はあ?どうせそこら辺の木拾って削ってくっつけてるような足でしょ?何人間様のような台詞吐いてんのよ」
蠍「え…ちょ、俺これでも一応にんげ…」
桜「は?(威圧)」
蠍「…」
桜「どこもかしこも替えが聞く体持ってる奴が人間面してんじゃないわよ」
蠍「…すんませ……」

とか。

桜「どうせなら酸素吸って二酸化炭素吐くんじゃなくて、二酸化炭素吸って酸素吐きだすならまだ救いようがあったのに。そうすれば人間にも地球にも有益な生物と認めてあげたのに」
蠍「え?俺もしかして今無機物扱いなのか?」
桜「あ〜。でもあんたの口から吐き出された酸素吸って生きるぐらいなら鰓呼吸ができるような両生類に産まれることが出来たらよかったのに。地上でしか生きられないなんて本当不便よね」
蠍「さりげなく心を抉る口撃やめね?」
桜「はっ、脆い心ね」
蠍「…すんませ…」

楽しい。(笑)


サソサクお題【痛い、けど、気持ちいい】

正直旦那はドMだと思う。うん。何故かって?それは…

「いででででで!!ギブギブ!離せ小娘ぇぇええ!!」
「えぇ?何?聞こえなぁい」
「いでででで!折れる!俺の腕が!足が!!今ビキッって言ったから!バキって言ったからあああ!!」

(自称)愛する女性にプロレス技かけられて「痛い!」って叫んでるのに顔は笑顔だから。

「…っていうのがデイダラからの報告なんだけど」
「…その報告書は捨てて置け」

サソサクとデイダラと時々ペインと小南。

end


サソサクお題【夢でしかお前に会えない】

戀と言う字は解体すると、いとしいいとしいとこころがいう。と書く。だが果たしてこれは戀と呼ぶのだろうか。分からず唸る俺の反対側で、デイダラが白い目を向けてきた。

「…お手製の抱き枕作っておきながらよく言うぜ…うん…」
「うるせえ黙ってろ」

嫌そうな顔したデイダラには分からないだろう。
夢の中でしか逢えない女の存在など。
だから俺は夢の中いがいでも会えるように、こうしてマイ枕に彼女を写すことにしたのだ。

「一寸のブレもなく書き上げた俺様の画力、芸術じゃねえか」
「…何で旦那って殺されないんだろうな、うん…」

ぼやくデイダラの腹に一発決め、俺は愛しい女が微笑む枕を抱きしめた。

「はぁ…罪な小娘だぜ、まったく…」

気持ち悪ぃ。
聞こえてきた悪態に蹴りを入れ、俺はゆっくり目を閉じた。
春を呼ぶ女は未だ振り返らない。

end

サソ→サク+不憫デイダラ。楽しすぎる。



サソサクお題【重ねた手のひら】

彼の手は冷たい。当たり前だ。傀儡なのだから。
血の通っていない体。心がないと偽る躰。嘘ばかり吐く唇に指を這わせ、そのまま喉を辿り鎖骨を辿り、肩を辿って腕を辿った。どこもかしこも冷たく硬い体。耳を傾けても音のしない躰。
なのに、嗚呼、何故、どうして。
この手に自分の手を重ねると何とも言えない気持ちになるのか。
寂しいような、心地好いような。満たされるような、与えているような。不思議な気持ち。まるで穏やかな海に浮かんでいるような。
寝たふりをする男の手は動かぬまま、けれど指だけが動いて私の手を閉じ込めた。硬い掌は、今も硬いまま。

end


prev / next


[ back to top ]