小説
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学パロ我サクちゃん

「ねぇ我愛羅くん、キスしよっか」
「…ん?」

特に何かをしていたわけでもない。互いにペンを片手に勉強をしていたはずなだった。
だがサクラの唐突な発言に頭が追いつかず思わず顔を上げれば、常とは違い何を考えているのか分からない顔がこちらを見ている。

「…言ってる意味がよく分からないんだが…」

俺の聞き間違いではなかったらサクラは『キス』と言ったはずだが、それは接吻のことなのか魚のことなのか。
いや、現実逃避はやめよう。しよう、と言われたのだから接吻のことだろう。
だが何故今ここで、しかも俺が相手なのかとそれが分からず首を傾ける。だがサクラは特に説明するでもなく立ち上がると、俺の隣に座り直しん、と腕を向けてくる。
全くもって意味が分からない。

「キス、しよ」

どこかの恋愛ゲーム、もしくは小説などのタイトルになりそうなことを言ってくる。
サラリと流れる髪からシャンプーの香りとサクラ自身の香りが漂ってきて、硬直した体はそのままサクラの柔肌を受け入れてしまう。

「…」

重ねあわせただけの、映画とは違うキスと呼んでいいのかもわからない稚拙な触れ合いは時間を数える間もなく終わってしまう。

「…キスって案外普通なのね」

何が普通なのかは分からなかったが、お前の思考だけは普通じゃないと思う。
だがそんなことを口にすれば何を言われるか分からないので、ただ呆れた吐息を零してサクラと少しだけ距離を空けた。

「お前の思考回路がよく分からん」
「あら。その言葉熨斗をつけてそのままお返しするわ」

先程とは違い、いつものように頬を緩めたサクラに後ろ頭を掻く。どうにも調子が狂う。
思わず生理でも来たのかと聞いてやろうかと思ったが、そんなことを聞けば確実に張り手が飛んでくるので黙っておく。女とは男の理解が追いつかない生き物なのだ。

「さ、課題の続きしましょ」
「放り投げたのはお前が先だろう…」

よく分からないが気が済んだらしい。
あっさり立ち上がり再び対面に座ったサクラに再び呆れてしまう。だが問いただす気にもなれなかったので互いに放り投げたペンに手を伸ばした。

「…サクラ、それ俺のペンだぞ」

伸ばした指先が所有物に触れる前に奪われる。思わず顔を上げた先で、対面に座る彼女はふふんと悪戯っ子のような笑みを浮かべた。

「知ってる」

どうやら俺のものをそのまま使う気らしい。本当に我儘な女だと思いながら、俺は仕方なくサクラが使っていた桃色のペンに手を伸ばした。
か細いそれは自分の指には不釣り合いで、やはりこういったものは女の方が似合うと思う。

「〜♪」

機嫌よさ気に鼻歌を歌いながら俺のペンをくるくる回すサクラは絶好調だ。全くもって理解できないと、俺はしょうがなくエアコンの温度を下げた。
夏は終わったというのに何故か無性に体が熱かった。


end

まだ付き合ってないけどお互いに好きかも?レベルな我サクちゃん。
サクラちゃんのそれは好意+好奇心=プライスレスな行動。(笑)



我サク小ネタ

「カラコンかぁ…」

女性誌の最後の方にずらりと掲載された広告ページをなんとなしに眺めていると『デカ目効果抜群!』と銘打たれたページで目が留まる。
そこに載っていたのはカラーコンタクトの一覧で、随分種類が増えたものだとカラーパレットのようなそれらを眺める。

「まぁちょっとは興味あるけど…」

自分がつけるなら何色にしようかなと考えていると、トントンと階段を上がってくる音がする。

「おかえり〜」
「ああ、ただいま」

ゲームに負けた罰ゲームでお菓子と飲み物を買いに行っていた我愛羅くんが戻ってくる。

「アイスあった?」
「ああ、これだろ?」
「それそれ!ありがと〜」

頼んでいたアイスを片手にベッドに腰掛けると、開いたままだった雑誌を彼が手に取り視線を落とす。

「…いつも思うが女は見た目を磨くのに忙しいな」
「皮肉?それとも喧嘩売ってる?」

拳を握る私に彼は視線を逸らす。
喧嘩なら買うわよと微笑めば、彼は別にそういうわけじゃないんだがな、と答えてジュースの蓋を開ける。

「お前には必要ないものばかりだと思ってな」

口説いているわけでもなく、買ったばかりの冷たいジュースに口をつける彼に思わず固まる。アイスが歯に沁みる。
けれど驚いた体は指一本動かずに、ただ何をバカな、と思うことしかできなかった。

「あと何だ?カラーコンタクト?こんな物つけて何が楽しいんだ?親から授かった瞳が一番美しいに決まっているだろう」

広げた雑誌を眺めながら淡々と零される言葉はもはや爆弾だ。
私はようやく力の抜けた体を彼の隣に落とし、雑誌を捲る彼の肩に頭を預けた。

「何だ?」
「何でもないわよ…バカ」

心底不思議そうな声音で尋ねてくる彼に悪態をつき、それでも嬉しいと思う気持ちは止められない。だから今はこうして言葉を使わず甘えてやろうと固い肌に頬を擦り付けた。


end



学パロ我サク

白と黒の絶妙なコンストラクション。清楚で厳かなそれにそっと指先を乗せ、少しばかり力を乗せればそれはポーンと高い音を奏で辺りに響かせる。

「ピアノ、弾けるの?」

音楽室の掃除当番だった俺に話しかけてきたのは、同じく音楽室前の廊下を掃除していたサクラだった。
勿論他にも男子女子それぞれ数人いたが、教師がいない掃除場所は格好の遊び場だ。まともに掃除をする人間などそういない。そして自分もその一人だ。だからこうして鍵盤に触れている。

「いや…弾けない」

白と黒だけで構成された、幾つもの音を奏でる打弦楽器から手を離す。
埃ひとつ被っていないそれは酷く美しかった。

「でも我愛羅くんならすらすらっと弾いちゃいそうだね。そんな気がする」

そう言いながら隣に並んだ彼女の白い指先が、彼女よりも白いそれに触れてポーンと音を奏でる。喧噪に紛れぬその音は、彼女の存在の如く煌びやかだった。

「…そうか」

嘘だった。本当は少しばかりなら弾ける。ただ、彼女の前で弾くにはあまりにも勇気が足りなかった。格好つけたいと奢る男の矜持が嘘を選んだだけの話なのだ。

「もし…もし弾けるようになったら…その時は聴いてくれるか?」

ほんの少しの冗談と、ほんの少しの本気を混ぜて。
呟いた言葉は震えてはいなかっただろうか。

「勿論!我愛羅くんなら器用だからすぐ弾けるようになるわよ、きっと」

そう言って微笑む彼女に頷いて、久しぶりにピアノソナタの練習でもしようと白い鍵盤を撫でた。
いつかそのメロディーにのせて君への想いを届けられるように。


end



彼が私に隠れてこっそりタバコを吸っていることなど知っている。
独り暮らしのマンションの、小さなベランダで夜空を肴にタバコを吹かす彼の背中を黙って見つめる。
寝そべった体にはブランケットがかけられており、彼の匂いが移ったそれはとてもあたたかい。

(別に私の前で吸っても怒らないのにな…)

街灯の明かりが到底届きはしない、遥彼方の夜空に白い煙がゆらりと揺れる。
緋色の髪が風に揺れる度、彼の指に挟まれたタバコの煙が姿を消す。赤く灯った火が一層強く色づき、それが消えると同時に彼の唇から呼気と共に煙が吐き出される。

(あ…そろそろ戻ってきそう)

彼のズボンのポケットにはいつも携帯灰皿が入っていることを私は知っている。案の定そこに手を伸ばした彼はタバコの火を消すと、すんすんと服の匂いを確認してから戻ってきた。

「…風呂入るか…」

ほんの少し近づいた気配がすぐに遠ざかる。
私に気づかれたくないのか、それとも匂いを移さないようにしているのか。分からないけれどそれが何だか少しだけ寂しかった。

「私、知ってるのに」

脱衣所の扉が閉まってから呟く私は彼と同じでとても臆病なのだ。思っていても踏み出す勇気がない。

「…我愛羅くんのばーか」

好きでもなければこんな遅い時間まで男の部屋になんかいるもんかと、日付が変わる音を聞きながらブランケットに包まった。
彼の匂いが移ったそれには、確かにタバコの苦い香りが染みついていた。


end

詰めが甘い我愛羅くんとそれを許容しちゃうサクラちゃん。



サ「モテマスカラ…」
我「俺以外にモテる必要はないからそれは必要ないな(ひょい)」
サ「あ。何言ってんのよ。あなたにモテ続けなきゃいけないから必要なのよ(ひょい)」
我「む…(思案中)」
サ「はい、買い物終わり!帰るわよ〜」
我「…俺以外にモテるのは許さんぞ…」
心狭っ!



ちびっこで我サク

サ「みてみてがーらくん!くまさんにリボンつけてあげたわよ!」
我「あ、ありがとう…(ドキドキ)」
サ「どーいたしまして!そうだ、がーらくんにもリボンつけてあげる!」
我「えっ、ぼ、ぼく男の子だからいいよ…はずかしいし…」
サ「大丈夫!頭につけないから!」
我「う、うん…(不安げ)」
サ「んーと…じゃあ、手だして」
我「手?」
サ「うん。えーとね…はい!これだったら恥ずかしくないでしょ?」
我「…サクラちゃん…」
サ「うん?」
我「…あの、僕も悪いんだけど…その…」
サ「何よぅ」
我「ひ、左手の薬指は、ちょっと…(真っ赤)」
サ「…!!あ、いや!ちがうの!さかさだったからわかんなかったの!」
我「ご、ごめん」
サ「もう!なんであやまるの?ワルいのはサクラなんだからきにしないの!」
我「う、うん」
四風「我愛羅、帰るぞ」
我「あ…はい」
サ「あっ…じゃあ、ばいばい、がーらくん」
我「うん。バイバイ」
四風「…そのリボンはどうした」
我「えっ!?あ、えと、ぷ、プレゼント…」
四風「そうか。では次にあの子に会った時にお返しをしねければな」
我「うん。サクラちゃんはお花がすきなんだ」
四風「成程な。では母に相談してみなさい」
我「はい!」
※皆生きてる設定でした。

ほんでこの後加瑠羅さんにいろいろ聞いてサクラちゃんにお返しする我愛羅くんとかな。
ちっちゃいこかわいい。



サクラちゃんにほっぺたつんつんされる我愛羅くんとかアホ可愛いと思う。
チヨバア様に頬びろーんってされてた我愛羅くんだからつんつん如きじゃ動じないと思うし。

サ「我愛羅くんのほっぺたって意外と柔らかいわよねー(ツンツンツンツンツン)」
我「…そうか…(やられ放題)」
とか。





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