小説
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○月×日今日は晴れ





我愛羅くんは意外とモテる。
そりゃあ学年のアイドルであるサスケくんまでとはいかないが
『あのクールな眼差しがたまらない』『話してみれば結構優しい』
などの理由で陰ながら人気だ。
サスケくんも大体人気の理由は我愛羅くんと一緒だけど、彼の場合はクールさが際立っているうえに、あの涼しげな眼差しや雰囲気がたまらないのだ。

ようは夢を見ているのよね。
と思いつつ私は目の前で日誌を書き綴る我愛羅くんを眺める。

「まだ?」

問えば我愛羅くんはまだ。と返してくる。

むう。暇である。

私はシャーペンを手に取ると、彼の書く日誌の空欄部分に
もっとかまってくれてもいいのよ。
と書けば、我愛羅くんが笑うのがわかってしたり顔。
でもすぐさま手の甲で口元を隠すから、彼の笑った顔はちょっぴり貴重だ。

ひまーひまひまひーまー。
続けて書けば、彼は暇人。と笑う。
お手紙かいて。
と書けば
白ヤギさんに頼むがいい。
と書き返されて思わず笑う。

そういえばそんな童謡あったねぇ。なんて思いながら
じゃあ我愛羅くんは黒ヤギさんね。
と書けば彼はまた口元を隠して笑う。でも少しだけ見えた。
隠れていないほっぺたが笑ったせいでいつもより赤いのも可愛らしい。
うふふ。と私が笑えば彼は消しゴムで私たちの落書きを消しながら何?と聞いてくる。
秘密。って言えばじゃあしょうがない。と返してくるのも彼らしい

おなかすいたね。
ってまた真っ白になったところに書けば、彼はコラ。
と書いた後(結局我愛羅くんも書いてるのね)じゃじゃん。と擬音語を書き綴ってから私の前にコロリと一つ飴を転がしてくる。

わ!と私が声をあげれば
食べてもいいよ。
と猫さんの顔に吹き出しを付けて書いてきたから
もう可愛いのと嬉しいのと彼が好きだなぁ、っていうのともうなんかいろいろぐちゃぐちゃになって
我愛羅くん大好き!!
って書けば猫さんに新しく吹き出しが増えて、にゃー♪って書いた時はさすがに笑った。
彼は確かにクールに見えるけど、結構お茶目なのだ。きっと、私しか知らないと思うけど。


end


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