小説
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我サクへのお題:愛情のあかし/「なんで?好きだよ?」/成分表の約3割はあまいもの

我サクお題※パティシエパロ

彼の愛情表現はお菓子作りだ。
店頭に並べるものから私のために作ってくれるものまで、彼の作品には愛が篭っている。時折失敗したと出来上がったお菓子をしかめっ面で見下ろしている時もあるが、私からしてみればどれもこれも美味しいので文句のつけようがない。

「正直お前の口に合わないと思うんだが…」
「何で?私この味付け好きよ?」

珈琲の香りがふんわりと香る、ちょっと大人なビターなケーキを頬張りむふふと笑う。

「苦いだけじゃなくてちゃんと甘さもあるもん。私これ大好き!」

そんな彼に返せる愛情は、彼が作ったお菓子を食べること。
彼の沢山の思いが詰まったお菓子を食べることは、彼の心を食べることと一緒なのだ。

「んふふ〜幸せ〜」

あなたの愛を余すことなく食べてあげる。だから心配しないでね、と照れたように彷徨う頬に口付けた。

end
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