- ナノ -

悲しい


本当に悲しい。
二ヶ月かけて書いてた、まだ未完成の同人誌のデータが破損して完全にぶっ飛んだ。復旧も不可能。どんなに頑張ったけど、色んな方法試したけど、全部ダメだった。
一部戻っても文字化けしてて読めないし、それをどうにかしようとしたけどダメだった。

7万8千文字、80P。文字するとなんだか薄っぺらいし、そこまで書いていないような気になるよね。でも頑張ったし、気持ちを込めて書いてたんだよ。
それがさ、一瞬で消えた。新しいUSBに保存してたから、他の媒体に保存してなかったんだ。完全に油断してた。

自分で書いたんだから書き直せるでしょ? って言われたら、そりゃあ出来ると思うよ。
でも一言一句同じ文章は絶対に書けない。
その時の自分じゃなきゃ書けない言葉たちだったし、気持ちだって込めてた。
全部データ消えた後でさ、どんな気持ちでまた同じ話を書けって言うの?

そりゃあデータ飛ぶのはこれが初めてじゃないよ。復元出来なかったデータも今回以外にもある。
でも、だからと言って慣れるわけじゃない。毎回辛いし、毎回「なんで」「どうして」って思う。
我が子を事故で喪った親みたいな感覚って言ったら伝わるかな。
もう本当に涙が溢れて止まらない。
どうでもいい話ならこんな風にはならないだろうけど、どうでもいい話ならそもそも書かないんだよ。
休日の空き時間全部つぎ込んで、何度も何度も書き直して、それでもまだどこか修正出来る場所があるんじゃないか、って思いながら修正入れて、また文章が浮かべば続きを書いて……。その繰り返しで7万8千文字も書いたんだよ。

7万8千文字なんてすぐ取り戻せるじゃん、って思うかもしれない。
でも休日を丸一日創作にあてたとしても(大体10時間ぐらい)私が書ける文章の最大量は3万文字なんだよ。
だったら2日とちょっとあれば書き直せる、って思うかもしれない。
でも、それは頭を悩ませながら書かずにいた時だよ。元の文章を8割から9割、ほぼ完ぺきに覚えてたらいけるだろうね。
でも流石に私はそこまで記憶力よくない。

確かに流れは覚えてる。「こういうネタでこういう風に展開して……」って、そういうのは覚えてるし言えるよ。
でもね、全く同じ文章は、同じ人間であっても書けないんだよ。私は機械じゃないから。

もう本当に辛い。
辛くて悲しい。悲しいのに、どんなに泣いてもデータは戻ってこない。
書いている当時は楽しかったけど苦しいところもあって、だけどどうしても「書きたい!」「形にしたい!」って気持ちが強くて、その情熱だけでPCに齧りついて指を動かして、頭を動かしてた。

でも、それらが一瞬でぶっ飛んだわけだよ。

もうどうすりゃいいんだろうね。

悲しくて悲しくてしょうがない。こんなに泣いたのいつぶりか、ってぐらい泣いてる。今も涙が止まらなくて前が歪んでちゃんと見えないよ。


「たかが同人誌如きで」って思う人もいるかもしれない。
でも、私にとって『小説を書く』って行為は、人生をかけた趣味なんだよ。
どうでもよくないんだよ。『ごとき』で済むものじゃないんだ。大切なものなんだよ。

それが一瞬で消えた悲しみや苦しみを、どう処理して消化すればいいのか分からない。

何度体験しても慣れないよ。辛いんだよ。本当に。

あー……。どうしてこうなったのかなぁ……。USB新品だからって油断せず、色んな場所にバックアップ取っていれば一番よかったんだろうけど、してなかった自分が一番悪いんだろうなぁ……。
自業自得。そうだね。

でも簡単に割り切って気持ちを切り替えることは出来ないよ……。

本当に辛い。


2023/09/01 18:19
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