07.緑の目の導き




「マグパイ……財団の邪魔をするのは、もういい。けれど一般女性を巻き込むな」

 一層鋭さを増した彼女の視線に、マグパイは意味深に微笑むだけだ。その膠着状態を解いたのは、ロマンさん……LINKWOODさんだった。

「まぁまぁ2人とも。……そこの魔術師はともかく、もぶ山さんたちがそんなに急いでた理由を俺は知りたいな」



07.緑の目の導き



「……なるほど、君は『向こうの世界』に帰るため、その青い羽根の持ち主を探している、ってわけか」
「そうです」
「で?マグパイはその手伝いをしている、と」
「そういうことー!!!」

 事情を話すと、どうやら納得はしていただけたようで。MATIASさんは深い溜息を吐いた後にひとつ頷いて、私の方を向いた。

「君が探しているその青い羽の持ち主が見つかるといいな」
「見つけないと帰れないので……頑張ります」
「私はそろそろ1度店に戻らないと。外を見回っていたのはいいが、そろそろ店をどうにかしなければ」
「ごめんね☆」
「本当はそこのマグパイに全てどうにかして欲しいところだが…君のその探し物の手伝いには、彼が必要なのだろう?」
「……はい」

 私ひとりで探すなんて、とてもじゃないけど無理だろう。それに、本当の気持ちは、本当に私が望んでいるのはーー…
 一瞬浮かんできた考えをブンブンと頭を振って消し去る。それは、ダメだ。

「LINKWOOD、私は先に戻る」
「うん、俺も後ですぐ行くよ」
「…では失礼する。もぶ子さんの行く先に、幸あらんことを」

ふっ、と笑って彼女はクラブキノタケの方へと歩いていってしまった。残されたのは、私とマグパイと、そしてLINKWOODさん。
 LINKWOODさんは何かを考え込むように顎に手を当てて私の首にかかっている青い羽根を見つめていたが、ふと思い出したように口を開いた。

「もぶ山さん、その首の羽根……もしかしたら、俺見た事あるかもしれない」
「!ほ、ほんとですか」
「うん、でも………俺が見たのは随分前だ」

 そこで言葉を切ると、LINKWOODさんはマグパイの方に視線をむける。

「この羽根、もしかしてM-0444……『青い鳥』?」
「…驚いたな。いや、君なら知っていてもおかしくないか。そうだよ、この羽根はあの子の羽根さ」
「じゃあ、もぶ山さんが探している物、ここに来た原因は…………」
「えっ分かったんですか?!」

 何か確信を得たような彼に思わず詰め寄ったが、それはマグパイによって阻まれてしまった。近づこうとしたら両肩を掴まれてその場に縫い付けられてしまう。
 LINKWOODさんはそれをみてクスリと笑ってーー…ああ、推しの1人に笑われてしまった…ーー首を振った。

「これはね、もぶ山さん。きっと君が気づかなきゃ、意味が無い」
「どういう、事ですか……?」
「さぁ、君のその後ろの魔術師は知ってるんじゃないかな?助けてもくれると思うけど……それでもやっぱり、最後は君が、解かなきゃならない」

 優しく微笑むLINKWOODさんは、私を見つめる。

「展望エリアに行ってみたら、きっといいことがあるよ。そろそろお昼時だから、レストランに寄ってご飯を食べて、それでお腹いっぱいになって……売店に寄るのもいい」
「……ロマン君」
「それで楽しんで、最後…………最後は、展望エリアで夕日を見れば。そうしたらきっと、君のその探し物は見つかるよ」

 優しい緑の目には、不思議そうな顔をした私と、少し真剣な顔をしたマグパイが映っていた。



18,07,21



 

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