06.透明なる視線
マグパイの指さした方向に駆け出す私たち。
「どこー?!ねぇマグパイ本当に見たの?」
「見たさ!!!!俺を疑うの?!」
「胡散臭さMAXなのだよ」
「私もそう思います」
「本当に見たんですか……?」
「酷い!!!!!もぶ山くんみんながいじめるよー!!っていない?!」
「待っ、待って、みんな足速すぎ……っわっ?!」
そうだこの人達全員体力勝負の職業なんだから身体能力違うんだ…。ロケットスタートで走り出していったホストの面々があっという間に遠くなる。追いつこうとするも、さすがに無理だ。足がもつれてつんのめって、顔から床にダイブしそうになったところで、浮遊感。
「レディ、大丈夫かい?」
06.透明なる視線
床にダイブしてあわや顔面大事故、というところで私を助けてくれたのは。
「俺はLINKWOOD。君は?」
「あ……もぶ山、もぶ子です…」
「天照の人なんだね」
「LINKWOOD、そんな呑気な……お嬢さん、お怪我は?」
BC財団の良心、チョコレートお兄さん、そして自称平凡の非凡なるひと。ローマン・アディントンことLINKWOODさんが、私を助けてくれた方だった。その隣には今回の男装枠その2、おっぱいのついたイケメンエルフ、メルヴィことMATIASさん。
「そんなに急いで、どうしたんだい?」
「えーっと、実は……」
今までの経緯を話そうとした時だ、
「もぶ子さん!着いてこないと思ったら……大丈夫ですか?!」
「もぶ山くーーーーんごめんね!青い鳥まぁーーーーた見失っちゃった!!!」
ロケットスタートを決めたホスト陣たちがUターンして戻ってきた。
爆走してすぐ、私がついてきていないことに気づいたLICHさんが戻ろうと提案してくれたらしい。感謝しかない。
「ごめんね、全然役に立てなかった」
「良いんですよ、SHIDENさん。手伝うって言ってもらえただけで、凄く嬉しいかったから」
すまなそうなSHIDENさんたちにそう言って微笑む。それに少しほっとしたそうな顔の面々を見て気づかれないように息を吐く。
どうやって探そうか、と話していると、ホストクラブの方から黒服の2人が走ってきた。…BC財団の警備員でありトメニアのスパイでもあった二重人格の男。今回のイベントでは双子の黒服という設定で出演していたロイ・エンフィールドとロマノヴァ・ヴィーチェだ。
「SHIDEN、LICH、NUFFI!ここにいたのか、探したぞ?!戻ってこいよ、ご指名だ」
「お客様がお見えになっております、こんな時に物好きな…いえ、失礼。熱心なお客様ですね。お戻りくださいませ」
どうやら3人はここでお別れのようだ。3人が戻るということで、ADAMさんも共にヘルプに入るそうで。
「それではここで。もぶ子さんの『青い鳥』が見つかりますように」
「もぶ子さん、無理は禁物なのだよ〜」
「もし見つかったら、今度は普通に遊びに来てくださいね」
「マグパイ、その子を危険な目に遭わせないようにね!」
「……うん、それじゃあまた」
クラブキノタケへの道を戻っていく4人と黒服2人を見つめていたが、誰かの咳払いの音に意識が戻ってきた。
「…………ところで、なぜこのお嬢さんとマグパイが一緒に?」
MATIASさんの視線が鋭く、私を貫いた。
18,07,21
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