04.金色に輝く




「一応俺も一日限定ホストってことでこの船に無理やり乗り込んだから、今から俺のことはMAGGYって呼んでね!!!」
「了解です、MAGGYさん」

 MAGGYと呼ばれたそのひとは、少し照れくさそうに笑って私の隣を歩いている。



04.金色に輝く



 MAGGYことマグパイと共に歩いて向かう先はカジノエリアだったのだが、何かおかしい。

「なんか……は?なんでこんなリスまみれ?」
「あはは☆」
「…………マグパイの仕業なの?これ」
「おいおい、さっきも言ったろ?俺は今MAGGYだ、ってね」

 カジノエリアは軽くパニック状態。大量のリスたちがスロットやポーカーテーブルで走り回っており、ルーレットブースに至ってはリスたちがルーレットをくるくると走り回っている。
 そんなリスたちの中で、2匹ほど少し不思議な挙動のリスを見つけた。

 ポーカーテーブルで縮こまってオロオロしているような金色の長毛の生えたリスと、丸いサングラスをかけて困り果てた様子のリス。その2匹に近づいて見ると、ぎょっとしたような動きをした。

「ふふ、変なリス。2匹ともどうしたのかな、元気ないね?……って言っても通じ…」
「通じるぞォーーーー!!!!良かった俺たちに気づいた人間がいた!!!チェルシー!!!!」

 リッ、リスが喋ったーーー?!思わずザザッと後ろに後ずさると、背中に何かが当たる感触。振り返ってみるとそれはマグパイで、私の肩に腕を回してリスたちの方をにやにやしながら見ている。
 リス2匹は私の隣にたってヘラヘラと手を振るマグパイを視界に入れた途端ぴょいこらと跳ね始めた。

「ああああああああぁぁぁてっめぇゴラァァァァ!!!!俺たちを元に!!戻せ!!!」
「リス……私がリス…………うえぇん……」

 ……待てよ、この声、この特徴。見覚えがあるぞ。

「………まって、マグパイ」
「だから俺は今日はMAGGYだって」
「この2匹……いや2人、」

 それを聞こうとした瞬間、私とマグパイの間をビュン!!と何かが通っていく。

「…ーーお客様、その隣の男から離れてくださいませ。ナイフが当たるやもしれませんから」

 そろり、と後ろを振り返った先にいたのは、絶対零度の頬笑みを浮かべる褐色のバニーガール、フランもとい……シャルル&ロッタの片割れ、シャルルその人であった。



 投げナイフをブンブンするフランさんをどうにかこうにか落ち着かせ、リス2匹となってしまった店長とチェルシーちゃん、そしてフランさんの3名に話を聞いたところ。

「……MAGGY、完全にあんたがやらかしてるじゃん」
「アッハッハッハー☆でもこの方が面白いだろ?」
「面白くないです……」
「面白くねぇよ!」
「その金髪丸坊主にしますよ?」
「……マグパイ…」

 マグパイに対するヘイトが溜まっていた3人であったが、私の目的、そしてどこからやってきたかを掻い摘んで話してみると今日1日だけはマグパイを借りていいとの事。

「え?俺これ終わったら貸し出されるの?この怖いバニーガールに???」
「なるほど、そこの男をベットするのですね。良いでしょう、あなたの知りたいことを少しだけお教えします」

 フランさんがマグパイにナイフを投げつける少し前、ホストクラブキノタケの方で青い羽根を見たという。

「もぶ子、ご武運を」
「お前が元の世界に帰れるよう祈っとくぜ!」
「頑張ってくださいね」

 3人に見送られて、私とマグパイはカジノエリアを抜けて、ホストクラブキノタケへと足を向けたのだった。



18,07,21



 

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