彼らは女神に呪われた | ナノ

心配性で過保護で愛おしい  


















みんな嫌いな体育の時間

いや、みんなとは限らないか

少なくとも私は嫌だね

作曲家志望なのにこの仕打ち

AクラスとSクラス合同って…つら

龍也さんの声なんて遠くで聞こえる気がするもの

けど、流石私の可愛い従者達は元気ねぇ

こんなに太陽さんがアピールしてるのに、ちっとも相手にならないなんて



「じゃあ、アイドルコースの奴らは俺に
作曲家コースの奴らは林檎の方に別れろ」


「作曲家コースはこっちよ〜♪」



林檎ちゃんが呼んでる気がする

あぁ、なんて今日は暑いんでしょう



―――ドンッ…



「美嘉ちゃん!?」


「っ…、すみません、立ちくらみが…」



気付いたら地面との距離が近くなっていた

膝から崩れ落ちちゃったのね、私

でも、まだくらくらする…



「美嘉ちゃん、体育はいいから保健室に行きましょう?きっと軽い熱中症よ」


「すみません、ありがとうございます…」



私はクラスメイトの女の子に連れられて保健室に行った






―――――――――――………






「ごめんね、ありがとう」


「ううん、あんまり無理しないでね」


「うん…、林檎ちゃんには、体調良くなったら戻るって言っておいてくれる?」


「りょーかい」



付き添ってくれた子はお大事に、とだけ言い残して、授業に戻って行った

可愛い子だったな…

保健室には誰も居ない

ドアに出張中、と書いてあったのは本当みたいだね



「…………寝よ」



私は少しでもこのクラクラを治そうと、水を飲んでベッドに横になった






―――――――――――………






「………ん……」



どれくらい経っただろう…

少しだけ目を開けるとカーテンがオレンジ色に染まっていた



「起きましたか?」


「……ん」


「軽い熱中症だそうですね
まったく…体調管理くらいしっかりしてくださいよ」



ベッドの横の椅子にはむすっ、とした顔のトキヤが座っていた



「ハニー、大丈夫?保健室に行ったって聞いて、本当びっくりしたんだからね」


「ごめんね、レン」



ベッドに座っていたのはレンだった

レンは私の上に覆いかぶさると、頭を撫でながら、唇に触れるだけのキスをした



「…………レン」


「あぁ、ごめん
イッチーもしたかった?」


「はぁ…、貴方は病人になんてことを…」


「いいじゃないか」



私はレンの首に腕を回し、起こして、と言い起き上がる

ベッドにはもう一人翔が眠っていた



「翔が一番心配してましたよ
血相変えて走って来たんですから」


「…可愛いなぁ」



私はゆっくり翔の頭を撫でる

すると起きたみたいでガバッと頭を上げた



「美嘉っ、大丈夫か!?何処か痛いところは?」


「もう平気よ
ありがとう、みんな」


「まったくです
さぁ、帰りますよ」



トキヤは私の手をとると、引っ張った

私は黒いハイヒールを履き、自分の部屋に向かう














心配性で過保護で愛おしい
(私に何かあるとすぐこれなんだから)












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