きになるあのこ | ナノ
私はずっとずっと三郎のことが好きだった。それはもう出会ったとき、つまり彼を一目見たときからと言っても過言ではないくらいに、ずっと。どこがどう、とかじゃあなく、瞬間的に思ったのだ。私にはこの人しかいない、と。
でも、気持ちを伝える勇気なんてこれっぽっちもなくて。五年生になった今でも昔と変わらない友人という立ち位置にいる。ただ、一言友人と言っても女の中なら一番であると自負出来るくらいの仲ではある。
今のままでもいいかな、なんて思ってたのは本心からのことで、雷蔵とハチと兵助と勘ちゃんと、それからいっとう仲良しの三郎がいて、それで良かったのに。例えこのおもいが伝わることがなくても、この仲間といられたらそれで良かったのに。
良かったのに、なあ。