まるさんかくしかく | ナノ




あの暗くてこわい穴の中からみょうじさんに助けてもらってから少し時間が経ち、お昼になったので食堂へ行きました(今日も数人の忍たまたちがお供です)。…あ!

入口からそう遠くはない所にみょうじさんを見つけました。五年生の忍たまと一緒に居ます。(みょうじさんも五年生なのでしょうか)その人たちと仲が良いのなら、私も仲良くならなくては。そうすればみょうじさんに近付けます。きっと喜んでくれます。でも、いきなり私があちらに行ったらこの人たちもさすがに気を悪くするでしょう。焦らず、次の機会を待つことにします。




結局その日はタイミングが悪かったのか、会えず終いでした。やっぱり善はなんとかと言うので行動することにします。何の手がかりもなしにみょうじさんを探していると昨日の彼らを見つけました。でも、そこにみょうじさんの姿は見当たりません。…とりあえず話し掛けてみましょうか。



「こんにちはっ、はじめまして!宮崎芽衣といいます。よろしくね!」

明るく可愛らしい声ではきはきと。このとき、にっこりと人懐こそうな笑顔も忘れません。そうすると彼らも笑顔で名乗ってくれました。ついでに言うと、顔がほんのり赤いです。あぁよかった。この人たちも私を好きになってくれたようです。

しかし、鉢屋くん(不破くんと同じ顔)(ほんとにそっくり)だけは違いました。会話に交じるでもなく、ただ静かにその場に居るだけです。不思議。みんな私と話したがるのに。彼は恥ずかしがり屋さんなのでしょうか。

それから私は毎日彼らに会いに行きました。嬉しいことに彼らのおかげでみょうじさんの情報がたくさん増えました。みょうじさんと共通のお友達(なんだか素敵じゃありません?)(おそろい、です)と仲良くなり、さらにみょうじさんの情報が手に入る。まさに一石二鳥ですね。


彼らによると、みょうじさんの下の名前は『なまえ』さんというらしいです。やっぱり彼女に相応しい美しく綺麗な名前でした。彼らが気安くその名を呼び捨てにしてることに少し苛立ちを感じましたが、そこは我慢です。好きなものはたくさんあるけれど(たくさんありましたが、ちゃんと記憶しましたよ)、みょうじさんが『嫌い』と公言するものはないのだそうです。『嫌い』ではなく、あくまで『苦手』。根が優しいんでしょうね。それから、くのたまの中でもかなり優秀な人材だと聞きました。
そのほかにもたくさんたくさん教えてもらいましたが、それはまた後の機会にしましょう。



そして一週間が経ったその日も私は彼らのもとへ行きました。彼らと一緒に居れば必ず会えるはずですから。鉢屋くんは相変わらずそこに居るだけで、無口なままです。


しかし、そんな鉢屋くんに変化が表れました。いつものように私たちが話していると、突然彼は怒ったように何か言おうとしたかと思ったら、私たちとは違う方向を見つめ、そちらに向かって走って行ってしまったのです。何事かと思い、鉢屋くんのことを目で追うと、そこにはなんと私がこの一週間ずっと恋い焦がれていたみょうじさんがいました。


胸がどきどきとうるさく騒ぎます。一緒に居るのは三年生の次屋くんでした。(みょうじさんの手を握っているように見えましたが、きっと見間違いですね)次屋くんも不思議な人です。私に対する態度が鉢屋くんと少し似てます。

みょうじさんみょうじさんみょうじさん。…?なんでそんな哀しそうな顔をしてるの?何がみょうじさんをそんな顔にさせるの?いやだ。赦せない赦せない赦せない。誰のせい?(教えてくれたら仕返ししてあげるのに)(でも、そんな表情もまた美しいと思ったことは秘密です)

私も鉢屋くんに倣い、みょうじさんのもとへ走ろうとしましたが、それは実行されることなく終わりました。

鉢屋くんがみょうじさんを抱き上げたのです。私は一瞬言葉を失い、その後ふつふつと到底堪えることの出来ない怒りが込み上げてきました。目がちかちかします。心臓がじりじりと灼けるようです。あぁ、気安くみょうじさんに触るな。みょうじさんが汚れてしまう。みょうじさんが困ってるのが、厭がっているのがわからないのか。身の程を……っ、すみません。少し口が悪くなってしまいました。






私はただ、みょうじさんに名前を呼んでほしいだけなんです。みょうじさんを名前で呼ばせてほしいだけなんです。みょうじさんに私をみてほしいだけなんです。みょうじさんに私を知ってほしいだけなんです。みょうじさんとお話したいだけなんです。みょうじさんに私を好きになってほしいだけなんです。
たったそれだけなんです。ほかの何かなんて要らないから。







募る募る感情
(でも大丈夫)(必ず報われるから)(だって私は、)



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