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メロスは激怒した




…とまではいかないが、少年は困惑した。
ある者の、ある一言によって。



"僕はコーヒーより紅茶が好きですね。仕事がはかどるので。生徒会の仕事を出来るのも美味しい紅茶があるからですよ"



自分が一番尊敬する者、生徒会長の九条零夜に言われた一言だった。
美味しい紅茶があるから仕事がはかどる…生徒会を頑張れる…
そういえば、自分は紅茶を口にしたことがない。
滅法コーヒー派(砂糖、ミルク有)だ。
だが、自分が憧れる人間がそう言っているのだからきっと間違いはない。
そうだ、そうに違いない。



(生徒会長さんは、きっと紅茶を飲んでいたから生徒会長になれたんだ…)←違



勝手な思い込みである。


だが、根が素直な為、思い付いたら疑わない。
オレオレ詐欺に騙され金を振り込む老人の如く疑わない。
きっと借金するタイプだ。

そんな彼は中谷将美という、女のような名前とは裏腹に、長身で目付きの悪い、心優しい少年だ。


将美は学校の帰りに真っ直ぐに家路に着かず、家の近所のスーパーへ向かう。
学校では、その長身と目付きの悪さから恐れられている将美だが、近所のスーパーとなれば顔見知りがたくさんいて安心出来る。



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