ある日の昼休み。
「にゃあぁあぁあ!!!!」
学校中に響き渡る悲鳴。
「どどどどうしよう…」
両頬に手を当て、顔を真っ青にしながら小山内栞が呟いた。
\(^^)/ちびーずがんばる!\(^^)/
わたしの名前は、小山内栞。ぴっかぴかの高校1年生。今ね、大ピンチなの!
何が起こったかっていうと、実は体育館の屋根にわたしのメロンパンと財布が乗っかっちゃったの!
経緯?そんなの知らないよ!購買部でお昼買って、体育館の裏のベンチで食べようとおいといたらいつの間にか消えてて!
あちこち探して、やっと体育館の屋根に乗ってることが判明したってわけ!
ね?大ピンチでしょ?
「あわわわ…」
途方に暮れた昼休み。
どうしていいかわからず立ち尽くしていたら後ろから声がかかった。
「何してんだ、小山内」
振り向くと、生徒会執行部のチビ、成宮しょうが腕組みしながら立っていた。
「お前のでっかい声が学校中に響いてるんだよ。うるせーから注意しに来たんだ」
何だこのチビ!わたしは困ってるのに!
「それは失礼しましたミニマム成宮」
「おめーもチビだろ!」
「あんたよかデカイわボケ!」
「んだとテメェ!!」
「何してるん?」
ハッとして目線を下にすると、可愛らしい女の子がわたしの前に立っていた。
「うんとね、成宮と口論してた」
「けんかは良くないよ。めっだってパパ言ってた」
小さな女の子がニコッと笑い、小首をかしげて言った。シャランと髪に結ってある鈴が鳴る。
「だってさ、わたし困ってるのに成宮助けてくれなくて」
「おい!困ってるなんて初耳だ!」
成宮が口を挟む。
うっとおしい。
「ダメじゃないの成宮くん。女の子が困ってたら助けてあげるのが紳士であり男だってパパが言ってたぞ」
ぶっかぶかの制服の袖口をビシッと成宮に向ける。成宮がビクッとして一歩後退する。
「星、お前な…」
「てことで助けるよ。あたしも手伝う。あたし七海。なぁちゃんって呼んでね!」
にっこり微笑んで、なーちゃんは言った。わたしも頷く。
「わたしは栞。しおりんって呼んでね!」
これがなぁちゃんとの出会いだった。
―――――
「つまり、目を離した隙に体育館の屋根に、メロンパンと財布が乗っかっちゃったって訳なんだね」
なぁちゃんがうんうん頷いてわたしを見る。わたしは頷いた。
「てか体育館に乗ったのを見つけたお前が逆にすげぇよ。どうやって見つけたんだよ?こっからじゃ見えないだろうが」
「そこ、ツッコむとこ?成宮バッカじゃないの?」
わたしはやれやれって首を振ると成宮を無視することにした。
「バカじゃねーよ!」
「とにかくさ!メロンパンはいいとして財布は大切だし、なんとかして奪回しないと」
なぁちゃんがムキュッと言って体育館を指す。
「そうだよね。でもどうやって?」
「そりゃ屋根にのぼればいーじゃんか」
成宮が言った。
お前黙れ。
「ジャンプして届く高さじゃないでしょ?バッカじゃないの!」
「誰もジャンプしてのぼるなんて言ってねーだろ!つかなんだよジャンプって!普通考えてジャンプして届くわけねーだろ!んなことオレでも解るわ!お前がバカだ!」
ツッコミなげぇよ!
「よし!じゃあこうしよう!」
わたしと成宮がにらみ合ってる中、なぁちゃんがジャンプして言った。
「背の高い人に頼むの!まぁちゃんがいいと思う」
……まぁちゃん?
「中谷?…でも無理じゃねぇか?背が高いからってのぼれる訳じゃねぇし。やっぱここは会長に頼んで専門業者に任せた方がいんじゃねーk」
「よし!そうと決まったらそのまぁちゃんに頼もーぜぃ!」
「おーっ!」
成宮の話が長いのでわたしとなぁちゃんは待ちきれなくて校舎に向かって走っていった。
「おい!人の話聞けってお前ら!」
後ろで成宮の声が聞こえてきたけど無視。
役立たずめが。だから背が伸びないんでしょうが。
そのいち!
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