「突撃!あなたに質問のコーナー!トップバッターに選ばれたのは我らが生徒会副会長!二年の七瀬要さんですー!――改めまして記念すべき第一回目、今どういう心境ですか!?」

「待て待て待て待て!」

近づいて来たカメラとインタビュアーの男子生徒を手で制す七瀬要。

「いきなりなんなんだ!生徒会室に押し掛けてきて!君は確か、一年の吉野メバル君だな!?一体なんなんだこれは!?説明してくれ!」

「副会長さん、これ生放送なんで尺が決められているんです。説明は確か企画書を提出したはずなんですが」

要の剣幕にも動じず、笑顔で対応する、一年生、新聞部の新人吉野メバル。頭の上に装着している眼鏡がトレードマークだ。

「企画書!?待て、オレはそんな文書に目を通していないぞ!しかも承認すらされているなんて…会長!!」

慌てふためく要が、怒りの矛先を会長――九条零夜に向ける。

「まぁまぁ要君、落ち着いて。その企画書が提出された日、僕はたまたま(ここ強調)会長の仕事をしていたものですから…ね」

「ね、じゃあありません!!オレの断りなしに!」

「柚那さんが新聞部と放送部のコラボ企画ということですすめてくれまして。企画書も綺麗に纏まっていましたし、何より面白そうなので、ね?」

「ね?じゃなーいっ!!会長!神崎!」

「あのー、そろそろいいでしょうか?お昼休みの時間、あと10分なんで…」

「まだ問題は解決していない!」

「…ホラね、七瀬先輩やっぱりこう言うと思った」

事務机に頬杖ついて、半ば呆れたように呟く成宮しょう。隣であちゃーっと肩をすくめるのは枢木虹。

「てか何で第一回目が要先輩なんだよ?」

「ガラポンで決めました」

零夜が淹れた紅茶を飲みながら柚那が答えた。

「ガラポンて…」

「全校生徒の名前が刻まれた玉をガラポンで出す…。抽選はその日の朝決めるのです」

「ははぁ、で、運よく七瀬先輩が当たったってことか」

「生徒会で七瀬だけこの企画知らなかったんだもんねー!」

虹が酷いことをさらりと言ってのけた。

「とにかく時間ありません。要君、ちゃんと第一回目の『突撃!あなたに質問のコーナー!』を成功させてください」

笑顔で零夜は締め括った。要は大きくため息をつくと、観念したように、マイクを持ったメバルに向き合った。

「で、何だ、質問?」

少しトゲのある口調でメバルに聞く。後ろで、虹が「印象悪いねぇ」と柚那に耳打ちしていた。

「はい!このコーナーでは選ばれた生徒に、答えにくい質問をぶつけてやろうというものなのです!」

「何だそれは!」

「さて、そんな副会長、七瀬要さんに質問!」

ダダン、と効果音が入る。

「答えてください!ズバリ、お姉さんは貧乳ですか!?」

ズイッと要にマイクが向けられる。カメラが要にズームインする。
校内に配置されているテレビに、赤面した要がドアップに映しだされている。

「……」

「確かに答えにくい質問ね」

虹が真顔で頷く。笑いを堪えているしょう。無表情の柚那。手を口に当て、赤面する要の動揺っぷりを楽しむ零夜。

「さぁ!今日は回答時間がいつもより短めです!パパっとお答えください!」

「……か」

「…はい?」

「言えるかぁあぁ!!!!」

爆発する要。ブッブーとブーイングの効果音が被さるように鳴り響いた。

「残念!答えられなかった七瀬要さんに罰ゲームでーす!」

「罰ゲームだ!?」

「罰ゲームと言っても恥ずかしい話や写真を暴露するだけですよ」

「待て!?なんなんだ!それは!」

「はいっ!それではこちらをご覧ください!」

メバルがスタッフ役の生徒からパネルを受け取り、カメラに向ける。

「なんと!生徒副会長さんのメイド姿です!わお!副会長も実はコスプレイヤ」

「わぁあぁあぁあ!!!!」

「以上、『突撃!あなたに質問のコーナーでした!第二回目を飾るのは、あなたかもしれませんよ!」





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