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午前11分47。
一般の高校生ならば、どこかしらの学校で空腹に耐え、何らかの授業を受けているであろう時間。


ーーーブォン、

そこへ

ブォンブォンブォン!!


平穏な学園風景をぶち壊すような騒音と共に、一台のバイクが、校門の前で停車した。

「着いたぞ。」

ノーヘルにゴーグル。年齢を考えればまだ学生を思わせるような顔立ちの少年は、背後で自分にしがみついている少女にそう言った。

「今日もありがと♪」
「リンカのためなら安いもんだってー。」

デレッとして答える少年の後ろで、彼のヘルメットを外した少女がバイクから降りる。
背中から離れていく体温を、名残惜しそうに見やる少年とはうって代わり、そんなことなど歯牙にもかけない少女は、少し乱れた髪をさっさと整え始める。明らかに染めたと思われる明るい色の髪は、どこか高校生らしからぬ雰囲気の少女を、より大人っぽく見せていた。

「じゃ、行くね。」
「今日は途中でフケんじゃねーぞー。」

にやにやとそう言って送り出した彼に、少女は短いスカートをちらつかせ、艶やかな笑みを浮かべた。

「中退したヤツに言われたくないわ。」

フケる程もう授業など残っていない。
遅刻常習少女は堂々と校門をくぐり、ゆっくりと自分の通う教室へと向け歩き出した。




\t『破戒者』

 

 

「不良少女? …薫くんが女装でも」
「違います会長。」

気持ち悪い想像させんでください。

「三年生に不名誉極まりない女がいる。他の生徒の士気にも影響するから、生徒会の方で注意して欲しい、と。」
「三年生、ですか。」
「はい。なんでも、毎日の遅刻は当たり前、通学は男にバイクで送ってもらい厚化粧で派手に髪を染め上げ、服装やら何やらとにかく乱れまくってるそうです。」

…なんてアバウトな説明だろう。
しかも。
要は言葉を続けた。

「元生徒会役員だそうで。言ってきたのも姉さんですし。」
「葵先輩が? …なるほど。ではひょっとすると、その三年生というのは

『白鷺先輩』のことで?」



要が黙って頷く。
なるほど不名誉極まりないという言葉の意が分かり、零夜は納得と同時に、妙に感心してしまった。

「それはそれは、是非ともお会いしたいものですねぇ。」
「…俺は遠慮したいです。」
「まあまあそう言わず。僕まだ会ったことないんですよ。ちょうどいい機会だと思って。」
「それならどうぞお一人で。仕事はまだあるんで、早く帰って来てくださいね。」

そう言ってさっさと机に目を落とす要に、席を立った零夜はきょとんとして首を傾げた。

「なに言ってるんですか。要くんも行くんですよ。」

・・・・。
遠慮しますと、俺は言わなかっただろうか。
軽い頭痛を覚えるも、「早く早く」と遠足気分で急かす零夜に、要はもう抵抗することを諦めることにした。

 

 

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