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−−報告書を教師に届け、どうにかHRに間に合った七瀬要は、一時限目の授業を受けていた…。

“まったく、あの人は…”

零夜が生徒会長としての自覚に欠けているのは今に始まったことではない。
が、生真面目な要は、それをどうにかしようと日々頭を悩ませていた。

「…七瀬。……七瀬!」
「!」

不意な呼びかけに、要はハッと顔をあげる。気づくと、授業を聞いていなかったらしい自分を睨みつける数学教師の姿が、壇上にあった。

「俺の授業中に考え事とは、偉くなったもんだな…。生徒会の副会長サマは忙しすぎて俺の授業を聞く余裕なんてないか?」
「ッ…。」

嫌味な態度の数学教師の言葉に、さずがの要も嫌悪感を覚える。

「…申し訳ありません。考え事をしていたもので、…授業に集中していませんでした。」
「フンッ、御託はいらん。これから出す問いを前に出て解け。」

そう言うなり教師は黒板に問題を書きなぐった。
要は小さく溜め息をつくと、壇上に上がりそれを解き始める。軽快にチョークを走らせるその様を、後ろの席で二名の生徒がヒソヒソと話すのを柚那は密かに耳にしていた。

「やっぱスゲェな、あいつ…。」
「あぁ、あのジジィの嫌味も全然気にしてねぇみたいだし、…今やってんの、センター試験の過去問だろ? あんなんスラスラ解いてるとか、とても同じ二年とは思えねぇよ。」
「フッ、見てみろよ。先生の面白くなさそうな顔。いい気味だぜ。あいつ運動も出来るし…やっぱ副会長ともなると俺ら凡人とは出来が違うっつうか…」
「…けどさ、ホントにすげぇのはあの会長の方だろ。あれはマジで…
…天才だ。」


Ut『government』
 



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