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「お、おぉぉぉ…」

中間考査が恙なく終わり、一週間が過ぎた。
殆どの教科答案が返され、全体の結果も発表される。我が校は、未だに試験結果の成績順位というものが張り出される規則になっているものだから、下位の者にとっては少々痛い。いっそ、そんなことすら気にならない程のバカであればいいのだが…。

「あー!? 下がった!!」
「上がった! しかも赤点0!」

成績が良かろうが悪かろうが、校内が一層沸き立つ日である。

「うへへー、会長のおかげだぁ。ありがとー!」
「よかったですね、虹。」
「アホか! 赤点ないくらいで喜んでんじゃねえよ。大体、生徒会役員が赤点とか本来有り得ねーし。」
「ふっふっふー。自分が下がったのが面白くないからって八つ当たりとは…成宮君はまだまだ子供ですなぁ〜(見かけ通り)。」

 

[t『freewoman』

 


「すいません会長。それじゃオレ、暫く部活優先させて頂きますんで。」
「大丈夫ですよ。時期的に大会も近いですし、…頑張ってくださいね。」
「はい!」

防具袋を竹刀に引っ掛け肩に担ぐと、しょうは軽やかな足取りで生徒会室を飛び出してゆく。虹もついさっき顔を出しに来たが、同じようなことを言って早々に出て行ってしまった。
テスト期間、この学校は部活動停止というものがなく、顧問は動かないながらも、皆好き好きに部活へ出ることが出来る。が、テスト後、赤点者にはそれ相応のペナルティーがあり、後の部活にも支障が出るため、まず余程の自信がなければ、勉強に専念する外ないのだ。
そして、それは部活命の生徒にとって、耐え難い苦痛となる。

「俺たちには、もうあまり縁のない話ですね。」

言いながら、要は零夜のカップへと静かに紅茶を注ぐ。
執行部はともかくとして、生徒会役員ともなればなかなか部活に顔を出すことも難しい。尤も、彼らは事務作業ではなく、その実力に伴う抑止力を買われているのだから、当然といえば当然だが…

「本当は、もっと部活に専念させられたらいいんですけどね。…虹も、本来なら今頃部長になって、今以上の活躍を見せていたかもしれませんし。」


同年はもちろん先輩後輩からも好かれ、実力も飛び抜けている虹は、当然のように空手部の部長になるものと、誰もが思っていた。しかし、幾度も部長推薦の話を受け、最終的に虹が下した結論は、辞退の意。

『執行部の仕事もあるし、部長はなぁ〜。』

「……。」
「そういえば、剣道部ではやはり成宮君を次期部長に、との呼び声が高いようですね。」
「は? 成宮…たってまだ一年じゃないか。つい数ヶ月前に部長の引き継ぎが済んだばかりだろう。」
「だから“次期”と言ってるじゃないですか。いずれそうなるんじゃないかという話です。」
 


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