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日本のある都心の中央部に、
一風変わった学校が存在する…。
……否。
変わっているのは学校ではなく、そこに通う、人間の方かもしれない。
一癖も二癖もあるような奇人が多く集う、その学校。
名を『私立奏梗学園』。
これは、そんな学園に縁のある人間達と、学園をまとめあげる、六人の『生徒会』役員の物語−−−−。
Tt『前途多難』
「会長!いい加減にしてください!」
学園の中央に存在する、一際目立った部屋。
未だ生徒も少ない朝の【生徒会室】で、一人の男の声が響いた。
クセのない、整えられた黒髪から覗く眉間には、深い皺が寄せれている。
「いいじゃないですか。朝の爽やかな時間くらい、ゆっくりお茶をさせてくださいよ。…要くん♪」
にこりと微笑みながら振り向くその男に、副会長『七瀬要』は深く息をつく。窓越しの朝日を浴び、要とは正反対に輝く銀色の髪を靡かせ、優雅に紅茶を飲むその姿は、今日も場にそぐわぬ空気を醸し出していた。
「昨日もそんなこと言って結局やってくれなかったじゃないですか!!…この報告書の提出期日、今日までなんですよ?今から急いだって間に合うかどうか……」
「まぁまぁ要くん、短気は損気ですよ?苛々したところで、状況は好転しません。…どうです?少し落ち着いて、お茶でも…」
「結構です!! 全く、屁理屈並べないでください。誰のせいで苛々してると思ってるんですか!?」
要が焦りを見せる程、銀髪の生徒会長『九条零夜』は、一層楽しそうに笑みを深める。
前・生徒会から自分たちが役目を引き継ぎ、未だ一月あまりだというのに、この有様は何だろう。
会長らしからぬこの男に、要は困り果てていた。
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