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「ハァ、…やるわけないだろ。そんなことまでする程、俺は落ちぶれてない。」
「え〜、要くんやらないんですかぁ?折角可愛らしい姿が見られると思ったんですけど…。」

「!?」

突然の声に、要がハッとして横を見ると、いつの間に近くに来ていたのか、カメラを片手ににこにこと微笑む零夜の姿が。

「か、会長…いつの間に…」
「似合うと思うんですけどね、そのネコ耳。要くん、黒猫ってイメージがありますし。」
「バカなこと言わないでください。全く嬉しくありませんから。万一似合うなんてことがあれば、今この場で死ねます。」
「物騒ですねぇ〜。死ぬだなんて、そう簡単に口にしてはいけませんよ。」
「………。」

飄々と話す零夜の態度に、要の苛立ちは更に増すばかり。眉根を寄せて自分を睨みつける要に、もうソレをつけてくれることはないと分かったのだろう。零夜は柚那の方へと歩み寄ると、その手からカチューシャを受け取り、苦笑を浮かべた。

「失敗してしまいましたねぇ。柚那さん?」
「ご期待に沿えず、申し訳ありませんでした。」
「いえいえ、見ていて充分おもしろかったですよ?」

“会長…本音が出てます”

「また、神崎を使って俺をからかうつもりだったんですか?」

要は深い溜め息を吐く。ある程度予想はしていたことだ。そもそも、柚那が自分からこのようなことを持ちかけてくるとも思えなかった。

「『使う』だなんて人聞きの悪い…。柚那さんは僕に協力してくれただけですよ。」

“仕事もせずに何やってんだ、この人は…”

笑顔で答える零夜に、要は柚那もとい共犯者の方へ視線を移す。すると先程までそこにいた筈の柚那の姿は既になく、生徒会室のドアがガラッと音をたてた。

「! 神崎!!」

平然と生徒会室を出て行こうとしているところを慌てて呼び止めると、彼女は顔だけを此方に振り向かせた。

「私は円滑に業務が進められるよう、会長の望みを聞いただけです。…では私はこれで、今日は日直ですので…。」

柚那はそれだけ言い残すと、早々とその場から立ち去っていった。

「………。」

残された沈黙。
要の肩が、わなわなと震えた。
「…会長、」
「はい?」

紅茶をカップに注ぎながら、どこか上機嫌で笑顔を向ける生徒会長に、遂に要の怒りが頂点に達した。




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