「煩ぇんだよばーかっお前自分がどんだけ出来の悪い人間かわかって言ってンのか?」
「そりゃてめぇだろ、女みてぇにくるくるの髪してるような天パに言われたかねぇんだよっ」
「なっ……!これは立派なオシャレなんですぅー、それくらいわかんねぇの?はっ、可哀想なマヨネーズ星の王子様」
「はぁ?ストパーにしてぇってつい昨日も言ってたじゃねぇかっ黙りやがれこの糖尿病っ!」
「違いますぅ〜糖尿病にはなってないので糖尿病寸前なだけですぅ〜」
「煩ぇ、どの道この先糖尿病になんだろうがっ」
あーもぅ苛々する。なんたってこう、銀さんと土方さんが登校中に八合わせるといつも喧嘩追っ始めるんだか。一緒に登校している僕や山崎さんたちの身にもなってくださいよホント。まぁ沖田さんと神楽ちゃんも銀さんと土方さんみたくなっているんだけどね。近藤さんは近藤で姉上にまた殴られてるから、結局いつもこの2人の喧嘩の被害を被るのは僕と山崎になるワケで。
ぎゃあぎゃあわーわー今もまだ飽きずに2人は言い合いを止める気配が一向に見えない。本当か嘘か知らないけど、この2人付き合ってるっていう裏の噂話も聞いたくらいなのに……ホント少しは仲良くしてくれないものか。そんなに喧嘩したいんなら最初から2人で通えばいいのに。あー……そんなこと考えてると益々苛々してきた。
校門を通過して校庭まで差し掛かっているというのにヒートアップしている2人の喧嘩は周りにいる他の生徒たちの視線を集める。いい加減我慢出来なくなって僕と同じく迷惑そうにして土方さん側を歩いていた山崎さんにメールを送った。ちょうど山崎さんも同じことを考えていたのか、直ぐに承諾の返信メールが届いた。反対側の山崎さんと視が合う。そして2人同時に深く頷くと僕は銀さんの背中、山崎さんは土方さんの背中を力いっぱい押した。
「なっ……!?」
「っ……!?」
お互い顔を突き合わせて口喧嘩を繰り広げていた為、背中を押されたことにより2人の唇が押し付けられるように重なった。2人は大きく目を見開き、思わぬ展開に頭がついていっていないのか、ピクリとも動かない。勿論周りの生徒の視線は釘付けだ。
「知ーらないっと」
僕と山崎さんはそんな2人を余所にすたすたと昇降口へと向かう。これで少しは静かになったかな?あーでも、また逆に煩くなっちゃうかもなぁ。まぁそれはそれでいっか。なんだかすっきりしたし。
「ちょっ……いつまで離さねぇ気だよっ……離れろよバカッ……!」
銀時の奴もまさかこんな展開になるなんて思ってもいなかったのだろう。俺と唇を合わせたまま固まっていたので突き放そうとしたがその腕をグイッと引かれ抱き締められた。
「ば、ばかっ……みんな見てンだろうがっ、てめっ何考えて……」
銀時の腕を振り払おうとしたが力強く抱き締められていて振りほどけない。周りの視線が更に痛い。頬が段々と熱くなっていくのがわかる。
「……なァ、俺たちって付き合ってるんだよな?」
ずっと黙ってただ俺を抱き締めていた銀時が不意に口を開いた。
「なっ……なんたって今そんなことっ……」
「いいから答えろよ」
「……あ、あぁ、付き合ってるけど……」
「だったらさ、もぅいいんじゃね?イチャついても。だって事故っぽかったけどもぅキスまでしちゃったのは事実だし」
「ちょ、なに……っ」
口元緩めて口開く銀時から慌てて離れようとすると逆に再度触れるだけのキスをされる。
「いいじゃん、だってやっぱり俺土方のこと好きだし」
「っ………」
負けた。
「俺も……銀時のこと好きだ」
+fin+
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