企画 | ナノ

香り水・後篇

寝台に移ることも無く、シンドバッドの膝の上に乗せられたままナマエは身体を振わせながらシンドバッドからの責めに耐えていた。とうに音をあげて降参したいのに、シンドバッドが其れを許してくれないのだ。大きめの一人掛けの椅子にゆったりと座ったシンドバッドの膝の上で彼の片足を跨ぐように向かいあわせに座らされる。腰が崩れない様に片手で支えられたまま、既に服を剥かれた上半身で揺れるまろい膨らみに舌を這わせられる度に、もう堪える気力も無い喘ぎが漏れた。

「はぁっ・・・あっ、ん・・・ぅ、そ、こ・・・ダメ・・」
「此処か?」

その存在を主張するように立ち上がり色濃く濡れた胸の飾りを甘噛みされながら舐められて、ナマエは背を逸らせる様にして快楽に耐える。さっきから執拗に攻められた胸にはシンドバッドが付けた痕が幾つも残り白い肌にこれでもかと主張していた。胸に顔を伏せるシンドバッドの頭を抱えるように抱きしめて、知らず知らずの間に胸に押し付けてしまう。もっとしてほしいと、理性を超えて身体が勝手に請うてしまってナマエは抑えられない衝動のままシンドバッドから与えられる快楽に酔いしれていた。

「いい香りだな、これだけ酔えそうだ」
「あっ、こ、これは・・・きょ、う市場で・・・んぁっ」

彼が知りたいはずの真実を告げようとするのに、その度にシンドバッドが言葉が続けられない様に強い刺激を与えてきて邪魔をするのだ。今も強く飾りを捏ねられて力が抜けてしまって何も考えられなくなってしまう。また快楽に沈んで喘ぎを漏らすナマエにシンドバッドが楽しそうに目を細めた。

「胸だけでこうもなるとはな・・・。こっちはどうなっているんだ?」
「んんっ、あっ、いやぁっ」

胸を弄っていた手を下肢に伸ばされて、そっとスカートに隠された秘部に手を這わせる。ぬるりとした感触に既に其処が濡れそぼっているのがわかってシンドバッドは意地悪く笑って見せた。

「ナマエ、分かるか?もう、簡単に指が呑み込めるぞ」
「あっ、やぁ、入っちゃ・・・」
「ほら全部入った」

シンドバッドの指が中に入ってくるのを逃げる事も出来ずに受け入れたナマエが頭を打ち振ってその衝撃に耐えていた。何かを堪えるかのように、短く息を吐くナマエをしり目にシンドバッドは中に入れた指で軽くナカを引掻くように指を出し入れさせる。とたんに、逃げるように腰を跳ねさせて身体を振るわせたナマエを押さえつけてシンドバッドは何度も何度も指を抜き差しさせた。

「あっ、あっん・・・っ、だめぇっ、シンっ・・・ぬいてっ・・・」
「だが、此処は欲しがっているぞ?俺の指を締め付けて離さないんだ」
「ちっ、が・・・んっ、ふっ・・・ひぁっ・・・」
「違うのか?ならこっちか?」
「―――っんあぁぁッ・・・」

抜き差しと同時に花芽を弄られて、ナマエは身体を慄かせて身体を固める。ぎゅうっと強く締め付けられた指の感触から彼女が頂点を見たのは明らかでシンドバッドは楽しそうに口元を緩ませた。
いつも以上に快楽に恭順な身体にシンドバッドは薄々ナマエが何をしたか感づいていた。おそらくは、無意識に媚薬の類を口にしてしまったのだろう。直ぐに彼女の口を割らせて可愛がっても良かったのだが、媚薬を口にした事を言えずに恥ずかしがりながら快楽に流されるナマエが想像以上に可愛くて苛めたくなってしまったのだ。
達した身体はクタリと力が抜けていてシンドバッドの為すがままになっていて、微かに快楽に震えている。もう少しナマエを苛めてみたいと自分の中の誰かが囁いて、シンドバッドは力の抜けた彼女の身体を自らの身体に凭れるように導くと埋めたままの指を再び動かした。

「あっ・・ん・・、だ、だめ・・まだっ、まっ・・・」

大きく身体を振わせて、逃げを打つ腰をがっしりと掴みながらシンドバッドはナマエの膣内(ナカ)締め付けてくる柔らかい壁の一部分を優しく引掻く。その瞬間、ナマエは悲鳴に似た喘ぎを漏らしながらぎゅっとシンドバッドの身体に縋りついた。

「やあぁっ・・!お、ねが・・んっ、んぁっ・・もう、やっ・・・ふぁっ、あっ、あっ・・・な、に・・・」

もはや苦痛に近い程の快楽に、涙を零しながら喘ぐナマエの身体が襲い来る波に煽られるように、喉を逸らせる。目の前に晒された白い喉元に、思わずシンドバッドが吸いつくとナマエの唇から熱い吐息がもれた。

「あっあっ・・ダメ・・・、なんかっ・・シン、おねが・・・待って・・でちゃ・・・」
「大丈夫だ、ナマエ」
「いやぁっ・・!もぅ・・・はぁっ、あっ、あっ、やあぁぁっ!」

ナマエの制止聞かずにナカを強めに指先で擦る。同時にぷくりと充血した花芽を押しつぶす様に刺激すれば、ナマエの身体が大きく震えた。がくりと大きく震わせた後、ナマエの秘裂から漏れ出した愛液がシンドバッドの手を汚す。多量の愛液に寄って濡れた指を引き抜けば、ナマエの身体が僅かに震えた。

「ずいぶんと、気持ちよかったみたいだな・・・」

達した後、シンドバッドの肩口に顔を伏せたナマエにシンドバッドが声を掛けるが彼女は何も言わずに、小さく身体を小刻みに震わせたままだ。「ナマエ?」と呼び掛ければ、小さくしゃくり上げながら、ナマエが泣いている事に気が付いてシンドバッドは慌てて彼女を宥めるように頭を撫でた。

「す、すまないナマエ。苛め過ぎた・・・」
「・・・っ、シ、シン・・・っふ・・・」
「許してくれ、ナマエ。すまなかった・・・」

此方の言葉にナマエがふるふると頭を振る。シンドバッドの肩に押し付けられた其処から濡れた感触がして、シンドバッドはゆっくりとナマエの背中を撫で続けた。僅かに髪から覗く耳は真っ赤になっていて、恐らくは極度の羞恥心に耐えられなくなったのだろうことは一目瞭然だった。

「・・・ナマエは漏らしたわけじゃない。女性の中には気持ち良すぎるとああして潮を吹く事があるんだ。」
「・・・っし、お・・?」
「あぁ、ナマエが感じていた証拠だ。君があんまりにも気持ち良さそうで、俺が苛め過ぎてしまった。許してくれ」

僅かに顔をあげたナマエの瞳に笑いかければ、ナマエがおずおずと身体を起こしてコクリと頷いた。まだ先ほどの名残からか顔も赤いし、目元も涙で濡れている。睫毛に溜まった涙の粒を舐めとる様に唇を寄せたシンドバッドを、ナマエは首に手を回して受け入れる。擽ったそうに目を細めたナマエに許しを乞う様に顔じゅうに唇を落とせば、擽ったそうに身を捩った。

「・・・もう、今日は終わりにするか?」

泣かしてしまった後ろめたさから、そう尋ねればナマエの視線が此方にむく。まだ快楽の名残の所為か、とろりとした色立つ視線に、シンドバッドは思わずごくりと唾を飲み込んだ。一瞬、恥ずかしそうに俯いた後、ナマエの唇が耳に寄せられる。柔らかい唇が耳たぶを優しく食んだ後「やめないで、もっとして下さい」と柔らかい声が鼓膜を揺らしたのを合図にシンドバッドはぐっと、細い身体を抱きこんだ。
先ほど泣かせてしまった罪滅ぼしの様に、今度は優しくナマエの身体を持ち上げる。寝台に移って、ナマエの身体を優しく横たえた後、彼女の身体に残っていた衣服と己の衣服を全て脱ぎ棄てると、シンドバッドは未だにしとどに濡れそぼったナマエの秘所に熱く猛ったものを押し付けた。

「―――んっ、シン・・・」
「はぁ・・ナマエ・・・」

ゆっくりと剛直を押し込むと、ナマエの身体がぐっと逸らされる。熱く濡れた膣内(ナカ)が悦ぶように蠢いてシンドバッドを柔らかく締め付ける感覚に、シンドバッドも思わず息を飲んで迫りくる快楽に耐えた。なるべく優しくしようと、自分に言い聞かせながら腰を揺らす。ぴたりと腰を押しつけたまま、奥を刺激するように刺激を加えれば、泣きそうに甘く響くナマエの喘ぎが心地よく鼓膜を揺らした。

「あっ、んっ、んっ・・・シンっ・・・イイのっ・・・」
「っはぁ・・・あんまり煽るな。我慢が効かなくなる・・・」

ナマエを壊さない様に、必死で保った理性を揺さぶる様なナマエの言葉に、シンドバッドは眉を顰めながら一度強く奥を突く。その衝撃にナマエの身体がビクリと震えるのを見て、再び優しく腰を動かした。

「・・・ぃやっ、我慢、しないで・・・っん、あっ、もっと、シンが欲しいの・・・っ」

掠れた声で囁かれた言葉にシンドバッドのは理性がふつりと切れるのを感じた。そのまま、ナマエの腰をがっちりと掴むと、ギリギリまで引き抜いた己を勢いよく突きいれる。突然始まった激しい律動にナマエは身体を慄かせて快楽に震えた。

「ひぁっ、あっ、んっ、んっ・・・シ、ン・・・っ、シンっ」

シンドバッドに縋りついて快楽に涙を零すナマエが、ただ純粋に愛おしい。既に自分の意思では押さえつけられない衝動に従って律動しながら、深く口づけるとナマエも待っていたという様にシンドバッドに応えた。



もう、どれだけ時間が経ったのか。何時間も繋がっている様な気がするし、まだほんの少ししか経っていない様な気もする。
自分の感覚が分からなくなるほどに、お互いを求めあう様は既に獣のそれに近かった。
言葉も無く、ただ本能に従って目の前の柔らかい身体を蹂躙する。何度も奥に吐き出した白濁や二人の汗などによって寝台はぐしゃぐしゃに寝乱れていた。もはや力のは行っていないナマエの腰を無理やり高く持ち上げて、後ろから突きいれると、シンドバッドの動きに合わせてナマエの身体も前後に揺れる。耳に届く喘ぎは既に掠れて小さくなっていたが、それでもシンドバッドの快楽を引き出すのに十分な力を持っていた。

「ぁ・・・シ、ン・・・」

弱々しくナマエの顔が此方を向く。情欲に濡れた瞳と、赤く染まった蕩けた目元は壮絶なまでに艶めいていた。何度も吸い上げた為に、赤く腫れあがった唇が僅かに震えるのが分かってシンドバッドは耳を澄ます。必死になって何かを告げようとしているナマエをじっと見つめるとその口元が『すき』と動いた。

「あっ、はぁ・・す、き・・・、シン、・・・だい、すき」

その言葉に、本能に侵された意識が少しだけ戻ってくる。溢れだす愛しさに彼女の白く綺麗な背中に口づけを落としながら「俺もだ・・・」と囁いた。

「ナマエ、愛している・・・」

その言葉に、嬉しそうに目を細めたナマエの姿にシンドバッドも微笑み返す。肉体では無い、胸の奥から溢れてくる快楽に全てを投げ出してナマエの身体を抱きしめた。



店を開けて直ぐ、綺麗な男の人が入ってきた事に、僅かに目を剥く。
レームや、バルバッド、色々な国で店を開いていたがこんなにかっこいい人は早々お目にかかれるものでないと、内心喜びに沸く気持ちを抑えながら女性は「いっらしゃいませ」と笑みを浮かべた。
女性の物を多く扱ったこの店に、男性が訪れる事は珍しい。視線を彷徨わせる男性に、「何かお探しですか?」と尋ねれば彼は手の中にあった小さな空瓶を見せてきた。

「これと、同じものが欲しいんだが・・・」
「あぁ、『香り水』ですね。此方になります」

綺麗に装飾された瓶は、お試し用として配っている商品で。同じ様に小瓶に入れられた商品を示せば男性は興味深そうに瓶を手に取って光に透かしていた。

「これは・・・害はないんだよな?」
「えぇ、安全な薬草や香木を使っていますから」
「そうか・・・後どのくらい在庫ある?」
「少々お待ち下さい・・・えっと、昨日大分売れてしまったので後は此処にあるだけですね」

ちょうど1ダース残った瓶を男性に見せると彼は「ふむ」と顎に手を当てて迷う様に悩んで見せた。

「これはどのくらい保存が効くんだ?」
「栓を空けなければ、大体一年程ですね。」
「そうか・・・」

納得したように、一度頷いた後、男性は胸元から財布を取り出すと金貨を数枚取り出した。

「全部貰って行くよ」

にっこりと笑ったその端正な顔に朝日がきらりと差し込んでくる。夜色の綺麗な髪が光を反射して艶やかに輝いていた。




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