学びの国[8/11]
ホテルに戻ってきた二人はエルメスとセシルを並べるように停め、ドアの向こうに誰もいないことを確認した。
今日の行動を振り返る。
「安い、ってオススメされた店には行ったよね」
「保存食も買った」
「観光だってこともアピールしたし」
「軽いものも選んだ」
キノは言って、サービスだとパンパンに入れられた干し肉の袋を持ち上げた。
「これだけあると重いけどね」
「あはは、入るだけ入れてくださいって言ったのはキノじゃない」
レイは笑った。そして、
「じゃあ、シャワー浴びてくるね」
「ああ」
言って、シャワールームへ消えていった。
少しして水音が聞こえ始めたころ、
「ぷはーっ!キノ、こんな国早く出国しようよ!」
「エルメス、しゃべっちゃ駄目だろ」
「こんなの耐えらんないよ」
「同感〜」
エルメスとセシルは口々に文句を言い始めた。
「今日で終わりさ。明日出国する」
キノが荷物を整理しながら言う。
「明日はすぐに出国するの?」
「いや、もうひとつ買い物がある」
その返事にエルメスはえー、と言って
「また買い物かー。まあ、費用は全部あっちで出してくれるんだし、びんぼーしょーのキノにとっては万々歳だよね」
ついでに燃料も入れてってよ、とエルメスが言ったが、キノはそれを綺麗に無視した。
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