Biblio Take



吹かしてみる



「やっぱりココ、かよ……」
「おや。君もサボりかい?」
ロナトリアン デュギハウトは裏庭の喫煙スペースで、煙草を吹かせていた。世間一般に言うお昼休憩が終わったこの時間帯、裏庭には人の出入りが極端にない。サボりには、うってつけなのだ。
「違うよ。弁当捨てに来たのと、お前探してたの」
「ああ……会議なら大丈夫だよ。リーランド統括者を代わりに行かせたから」
「上司を使うとは、坊ちゃんはやることが違うなあ」
「違う違う。糞老害共が『リーランド統括者を抜きに』今後の魔物退治部隊の方針について話し合いたい!とか言うから、行って貰ったんだよ。悪口大会に相手が来るなんて、素晴らしい修羅場だろう?」
「いい性格してんなー」
いつきは手洗い場でコンビニ弁当の残りカスを流し、苦笑する。ロナトリアンは何も言わず、いつきに煙草を突き出した。
「吸わねえよ?」
「はは。言うと思ったよ」
ロナトリアンはそれ以上は何も言わなかった。なんだかそれが、意味のある沈黙に思えていつきの背中がムズムズしはじめる。手持ち無沙汰になったので、とりあえずロナトリアンの隣に座ることにした。
「うわ!いて!」
「なんだい?」
「ケツに木の枝刺さった!」
「古いからね、このベンチ。なんなら、抜くよ?」
「いいや。自分のケツは自分で拭く」
「それは別の意味だろう」
掛け声と共に立ち上がったロナトリアン。いつきは冗談混じりに言ってみることにした。
「会議のフォローしに行くのか?」
「必要ないさ。ジャスパーが頑張ってるだろうからね」
「行ってやれよ。可哀想に」
「もう一本吸い終わってから」
「うわー。あてにならねー。いつき君が行きますよっと」
「ははは。どうだい?君も一本」
「そうだな。そうするか」
いつきは、また苦笑した。








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