ぐにゃぐにゃ細いパイプの中を通っている感じで肺がくるしい。フレッドとジョージと手をつないでぎゅっと目をつむっている間に、どんどん身体はひっぱられていく。ふわっと足が地面につくのを感じて閉じていた目を開けてみると、目の前にはわたしたちには十分すぎる大きさの建物が。それをしばらく無言で見つめたあと、わたしたち3人はニヤッと笑って建物のすぐ横にある階段を掛け上がった。







NO CALL
NO LIFE








かちゃんと音をたてて開いた鍵にフレッドがゆっくりドアを開ける。せーので中に入ってみると、予想通りというか部屋の中は真っ暗で、ジョージが杖をひと振りすると蝋燭が何本か現れて空中にぷかぷか浮かびながら部屋の中を明るく照らした。

「おおお」
「広いな」

きょろきょろ部屋の中を見ながら中に入るとそこはダイニングキッチンで、部屋の中央には木でできたダイニングテーブルとイスが4つあって、まだ誰も使っていないのかキッチンはぴかぴかだった。フレッドは杖を振って窓を開けて風を中に通したあと、そのままジョージと2人で大声をだしながら家の中を探検しにでかけた。その場に残されたわたしはとりあえずイスの上の埃を払ってから座り、ぐるっと部屋の中を見回した。今日からここで3人での新しい生活がはじまる、そして2週間後にはいよいよお店がオープン。期待と不安が入り交じったままふへふへ笑っていると、いつのまにもどってきたのか、ジョージがわたしの頭の上に大きな手を乗せた。

「あれ、もう探検おわったの?」
「うん、カノンのトランクもちゃんと届いてたよ」
「そっか、フレッドは?」
「自分の部屋のベッドの上で跳ねてるよ、すっげー1人部屋だぜ!ってね」
「ああどうりで、天井がうるさいわけだ」
「僕たちの部屋は3階なんだ、右がフレッドで左が僕、カノンの部屋もあったから案内するよ」
「うん、ありがとう」

それからジョージと家の中をぐるぐるまわる。ダイニングを出て廊下をひとつ挟んだ左側のドアがわたしの部屋で(愛フクロウのココを篭から出して空に放してあげた)右にいくとお風呂と洗面所があった。1階はお店、階段を上がると3階は2部屋しかなくて、階段を上がってすぐの右側のドアがフレッドの部屋で(フレッドはベッドの上でうつ伏せになって力尽きていた)奥にある左側のドアがジョージの部屋らしい。ジョージの部屋に通されてベッドの向こうの窓を開けると、すっかり暗くなってきたダイアゴン横丁の街灯に明かりがついて、家に帰っていくひとたちを照らしていた。

「部屋、一緒じゃなかったな」
「あたりまえでしょ」
「ま、いっか」

ベッドに座っていたジョージは大きなあくびをひとつしてそのままごろんと横になった。今日はいろいろあったもの、つかれたんだなあって思ってると小さな寝息が聞こえてきて。するするした少し冷たい風がジョージの真っ赤な髪をふわふわゆらした。

「おつかれ様」

あしたからはまた、忙しくなりそうです。


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