十年後も誓えますか


小さい頃から傍にいて、馬鹿やって、はっきり言って見分けなんてつかなくてよく怒られたっけなあ。
君たちはもう覚えていないかもしれないけど、あの時言われた言葉、女々しくもまだ覚えてるんだよね。
恥ずかしいから言ってやらないけど。

チビ太のおでん屋で幼馴染の六つ子と飲みにくるのはいつからか日課になっていた。
学生時代もなんだかんだ一緒で、成人したら私は働きだしたけどこいつらはまさかのニート。
そんなやつらの真ん中で私もビールを煽る。

「チビ太ごめんね、いつも押し寄せちゃって」
「いいってことよ!お前はちゃんとお金払ってくれるしよ」
「あー……、今日はこいつらの分も払うわ」
「バーロー、お前がこいつらの分まで払う必要なんざねえんだよ!こいつらにはたっぷりツケてちゃんと返してもらうんだからな!」

ふんっ、と鼻を鳴らすチビ太に苦笑しながら周りを見ればすでに酔いつぶれている六つ子。
昔と違い、個性が出てきて見分けはつくようになったが寝顔はやっぱり同じだ。

「おめぇも大変だな」
「ん?」
「こいつらの面倒何年みてんだよ。ずっと一緒にいるじゃねえか」

そう言いながらチビ太はこんにゃくと大根を皿に乗せ渡してくれる。

「なんだろうね。腐れ縁なのは認めるけど……私も中々に女々しくってねえ」
「なにが」
「……小さい頃にこいつらと約束した事まだ引きずってんのよ」
「まさか……脅されてねえよな?」
「違う違う!もうこいつらは覚えていないだろうけど、小学生の頃かな。六人一斉に花差し出されながら言われたのよ」


僕たちとずっと、友達でいてください!!


「笑っちゃうでしょ?あのはちゃめちゃで世間知らずなこいつらが、よ?だから、それくらいは約束守ってやろうと思ってさ」

今の私の顔は緩みきっているだろう。
恋的な意味ではないけれど愛しいのだ。この馬鹿な男共が。
私自身も性格に難があるから友達少なくって、こいつらに救われていたんだ。

ふ、とチビ太を見れば泣いていた。
この子も涙もろいよなあ、昔っからみんな変わらない。
ぐずっと彼が鼻を啜ると二カッと笑ってみせた。

「だってよ六つ子共。よかったなぁ、こんなに想ってくれる女がいてよ」

へっ?と周りを見渡せば同じ顔が真っ赤になりながらこっちを見ている。いつの間に起きたのお前ら!
その赤さは酒のせいか、それとも照れからきているのか。というかめっちゃにやにやしてるぞおい。

「俺達もお前の事だーいすきだ!!!」

おそ松がそう言えば六つ子が一斉に抱きついてきた。

「待って!私大好きなんて言ってな……重い!お前ら重いんだよ!!って今胸触った奴誰だ!?尻まで触る馬鹿がいるかこの阿保どもー!!!」

ぎゅうぎゅうと酒と野郎の匂いに囲まれながら思うのは、まだまだこいつらから離れらんないなって事だけ。
私も君らに依存してるのよ。悔しいくらいに。


いくらでも誓ってやろう。お前らが全員幸せを掴むまでは。

- ナノ -