あなたのリズム


彼女のリズムはとても不思議だ。
ほんわかしてたと思ったらいきなり動き出す。
そして僕はいつも彼女のペースに巻き込まれるんだ。悔しいけどね。


「ドーンーちゃん!なに机とにらめっこしてるの?」

後ろから抱き付いてくるななしはにこにこしている。
ドナテロは少し面倒くさそうに横目でななしを見た。

「ちょっと興味深い事があってね」

「えっ、なになに!?」

「リズム、さ」

ピッとドナテロが一本指を立てるとななしは疑問符を浮かべながら離れる。

「リズムって音楽とかの?」

「それもあるけど人それぞれにリズムというのは存在するんだよ」

さらに深く首を傾げてしまったななしにドナテロは苦笑した。
天才の言う事はわからないよ、と彼女は呟く。

「例えばレオのリズム。きっちりとそつなく動くリズムだ。
ただし、このリズムを崩されるとレオの場合は少し調子が狂っちゃうんだけどね」

「確かにレオはとっさの事には弱いよね」

「そこがレオの今後の課題じゃないかな」

「うーん、で結局リズムって?」

ななしの疑問は結局解けず、彼女は眉間に皺を寄せた。
しかしドナテロは怒る様子もなく一本の指でななしの鼻を軽く押さえる。

「つまりだ、君のリズムが独特なのさ」

「私の…リズム?」

「そう、天才の僕にも分からないのが君の行動。
あっというまに周りを引き込ませる、そんなリズム」

ドナテロは指を離すと彼女に顔をぐっと近づけた。
彼の突然の行動にななしは思わず顔を赤くし一歩後ずさる。

「ま、結論を言っちゃえば僕は君の事が好きなのさ。
たとえリズムを崩されても嫌な気はしないしね」

いきなりの告白。ななしの顔は熟れた林檎のようだ。
しかもうまく言葉が出てこず口をパクパクとさせるしかなかった。

「どうだった?僕の講座は」

「……ドンちゃんはずるいよ。なんであんなこと言って恥ずかしくないのさ」

「恥ずかしいよ。でも僕は本当の事を言っただけだから」

あと意外と僕はポーカーフェイスだよ、と笑うドナテロにななしは恥ずかしさに肩を震わせていた。


私はいつも貴方のリズムに乗せられっぱなし。
こっちが優勢かと思えばいきなり逆転させられる。
悔しいけど、私は貴方のリズムが大好きだよ。

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