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大きな神殿に迷いながらも、ようやく二人が寝かされている部屋へとたどり着いた。
広い部屋の真ん中にぽつん、と設置されているベッドに二つの身体が見える。
彼女はそっと二人に近づいた。

「悟天、トランクス君起きて…!」

ゆさゆさ、と二人の肩を揺する悟。
すると漆黒の瞳と水色の瞳が同時にうっすらと開く。

「悟…?」

その声に悟はほっ、と胸を撫で下ろした。
二人がベジータの攻撃を受けた時、正直ぞっとしたのだ。
しかし、よく見ると二人はピンピンしている。
ちゃんと手加減をしてくれたのだと嬉しくなると同時に彼の最期が脳内に映し出され、涙を堪えた。

「ここどこ?」

「神様の神殿だよ。ピッコロさん達に連れてきてもらったの」

ピッコロの名を聞くと、トランクスが目を見開き悟の肩を強く掴んだ。

「パパ、パパはどうなったんだ!?悟、知ってんだろ!!」

双子の前では決して言わない『パパ』という呼び名を叫ぶくらいトランクスは切羽詰まっている。
悟天もその直後に気絶させられたものだから、まったくわからないのだ。

「お、おじさん…は……っ」

彼女は一瞬肩を掴まれた事に驚いた顔をした。するとその顔はみるみるといつも以上の泣きそうな顔へと変化していく。
涙を零さまいと必死だった悟、感情的なトランクスの言葉についに涙がポロポロと溢れ出てきた。

「あの、ね、おじ……う……っ」

彼女は言葉を紡ごうとした。しかし喉から言葉が出てこない。
どうやって伝えればいいのだろうか。貴方のお父さんは死にました、など。
どうやって伝えればいいのだろうか。私たちのお兄さんは死にました、などと。

ただ泣くばかりの悟に、トランクスは苦い顔をしながら彼女から手を放す。
そして、悟の頭を撫でていた悟天と目を合わせた。

「ピッコロさんがいるなら教えてくれるはずだ。悟、案内頼むぞ」

ぽん、と彼女の頭に優しく手を乗せる。
悟は袖で涙を拭きながら、小さな声で「うん…」と呟いた。


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ピッコロから今までの話を聞いた二人は深く絶望した。

「う、うそだ…!パパが、あ…あんなヤツに…!!」

トランクスは悔しくて涙が止まらなかった。
あんなに強くてかっこいい父親が殺された。わけのわからない奴に。

「うあぁぁぁぁん!兄ちゃんが死んじゃったあああああ!!!!」

悟天も初めて身内が、大好きな兄が亡くなった事が信じられない。
その隣で悟も止まりかけた涙を再び零し始めた。
そのとき────

「泣くな!そんなヒマはねえぞ!!」

聞いたことの無い父の怒声。
悟は思わず小さな悲鳴を上げた。

「悔しかったら新しい技を早く覚えてカタキを討て!!わかったな!!!」

三人はぐすり、と不安そうな顔をするが、すぐに涙をぬぐった。

厳しいようだが…と話す悟空にこの人は優しいだけじゃない、厳しさも兼ね備えているんだ。と悟は思う。
精神と時の部屋、フュージョン、修行。中身はわからないが、切羽詰まっている様子は彼女にもわかった。
悟空は険しい顔をしながら言葉を発する。

「はじめるぞ…ピッコロもよーく覚えておいてくれ……」


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