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混乱する神殿。そこに聞こえてきたのはバビディの声だった。
皆は周りを見渡すが姿はない。不気味声は言う、魔法で心の中に話しかけていると。

『目をつぶってみてくれ…これから映像を送ってやるからさ』

目をつぶればそこにはピッコロ、トランクス、悟天の姿が映る。
悟は思わず「悟天たちだ…」と呟いた。

場面が変わり、今度はバビディと魔人ブウの姿が映し出され、その背後に大きな町が見える。

『へへへへ…この町が見えるかな?3人のバカが出てこないとどうなるか、これからちょっとだけ教えてあげるよ』

「よ…よせ…!!」

ピッコロが声をあげるがその願いは届かず、町の人々がブウの不思議な力でどんどん浮いていく。
助けを懇願する声や得体のしれない力に怯える声が響くが、おかまいなしに魔人は楽しそうに呪文を発した。

『へへ〜なんにしよっかな〜。よし!アメ玉になっちゃえ!!』

ブウの触覚から光が人々に向けて放たれるとその姿はあめ玉に変えられ、
それを一気に吸い込むとバリバリ、という大きな音で噛み砕き、すべてを飲み込んでしまった。
『この星の人間みーんなこうなっちゃうよ〜』

その声は、まさに悪魔の嗤い声。
悟はその恐怖に目を開けたくて堪らなかったが、その惨状に目を背けてはいけない気がして両手で瞼を押さえつけた。
それでもブウの勢いは止まらず、今度は吸った息をおもいっきり吐くと町そのものが吹き飛ぶ。
そしてもう一度3人の映像が映し出された。

『この3匹が今どこにいるか教えるんだよ。魔人ブウのお菓子にされて食べられたくなかったらね』
『そうだな…5日間ぐらいで地球人は全滅しちゃうよ。だから早く教えてくれた方がいいと思うけどな…ひひひひ……』

バビディの背後ではブウが楽しそうに踊っている。
そして残酷な魔導士は自分への連絡の仕方を喋りだした。
頭の中で彼を呼び出すだけで繋がるらしい。
すると早速誰かがバビディに話かけた。声の主は天下一武道会の係員だという。
3人の名前を彼に教えるも、居場所を知らなければ意味がないと返された。
その瞬間、係員の首から上は木端微塵に吹き飛んだ────。

「ひ…っ」

そこで悟が我慢できず小さな悲鳴をあげ、目を開けた。
映像は見えなくなったが悪魔の声は容赦なく幼い心に響く。

『さあ、次はキミの所かもしれないよ。言っとくけど隠れたってムダだからね。
5日後には地球中をぜーんぶスキもなくバラバラにするつもりなんだ』
『じゃあ情報まってるよ〜〜』

ピッ、という音と共に映像が途切れる。皆は一斉に目を開き歯を食いしばった。

「な…なんてやつらだ……」

「あ、あいつらがベジータと悟飯くんを殺したのね…」

怒りと悲しみが巡る中、ピッコロが意を決したように呟く。

「みすみす犠牲者を出すことはない…オレが出ていく……」

それを悟空が、お前が死んだら誰がフュージョンを教えるんだと諭した。

「どっちにしたってあいつらは地球を滅ぼす。絶対だ。
殺された皆や破壊された地上はドラゴンボールで元に戻れるんだ。気にすんな」

「そのとおりですよ」

「う…うむ…なるほど……」

それをそばで聞いていた悟は、自分では敵わないとわかっているが少しでも強くなろうと改めて決心する。
まずは寝ている二人を起こそうと急いで小さな足を走らせた。
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