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ピッコロが悟に修行をつけることになったが、フュージョンするのはあくまでトランクスと悟天である。
悟空が下界にいれるまでは彼が二人にフュージョンを教えるが、時間が足りない。
負担はかかるが三人の修行をピッコロは引き受ける事になった。
「いいぞいいぞ!希望がでてきた!!あのチビ達ならやれるかもしんねえぞ!!!」
クリリンはガッツポーズをするが、ピッコロは険しい顔で話す。
フュージョンを完成させるにはかなりの時間がかかる。その間に魔人ブウの犠牲者も増えるだろう、と。
「もしかしたら絶滅…いや、地球そのものが消滅させられるかもしれん…これは賭けだ、堪えねばならんぞ……」
悟はその言葉に少し震えた。その小さな体には地球が無くなるだなんて想像もできなかったのだ。
しかし、守らねば。自分達が守らねば誰も守れない。そう、改めて実感した。
そして悟空がドラゴンボールさえあれば人を元に戻す事が出来ると言った事に悟は驚いた。
ドラゴンボールの存在は悟飯達から聞いた事があったが、そんな事まで出来るのかと。「よ、よし!どっちにしてもオレは皆を連れてくる!」
「うむ」
そう言いクリリンが走り出した瞬間────
空がいきなり暗くなった。
「なんだ…!急に暗くなったぞ」
「真っ暗…こんなの見たことない…」
「こっ、これは…」
そう、神龍が出現した合図であった。
「ドラゴンボールを集めて持っていたのはブルマさんだろ!?」
まだ事情は知らないはずなのに、と慌てるクリリンに悟空はハッ、とする。
「そうか!べジータは武道会場でたくさんの人を殺した…!…それを生き返らせようとしているんだ!」
「ま…まずいですよ!今みっつの願いを叶えてしまうと今度は一年後にしか…」
「そ、そんなに時間がかかるんですか…?」
「はい。ドラゴンボールは一度願いを叶えると一年間はただの石となってしまうのです」
「そうなんですか…」
それは確かに大変だと、悟は頷いた。
「すぐに行って止めてくる」
そう言うと悟空は瞬間移動で悟達の前から去っていく。
そして、なんとか神龍をボールへと帰し、悟空がみんなを神の城に連れて行くとの報告が。
それに一同はほっ、と胸を撫で下ろした。
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みんなが神の城に避難してきた。
まずチチを見つけると悟は歩み寄り静かに手を握る。
その姿は前とは違う。これからショックな事を聞かされる母を気遣っての行為であった。
「悟ちゃん!大丈夫だったか!どっか怪我してないか!?」
チチはそんな気遣いに気づかず悟を抱きしめる。
悟は溢れそうになる涙を抑えてぎこちなく笑った。
「うん、大丈夫だよお母さん。でも…」
「でも?」
きょとん、とするチチ。本当の事を話していいか戸惑ってしまう。
そこに、悟空の言葉が飛び込んできた。
「どうせ言わなきゃいけないことだから言う…。悟天とトランクスは無事だが…悟飯とべジータは死んだ。魔人ブウに殺されたんだ…」
その言葉に真っ先に倒れたのがチチであった。悟は慌てて母を支える。
自分も意識が遠のく位ショックを受けたのだ。実の息子が死ぬだなんて考えられないだろう。
「ベジータが…そ、そんな……」
夫を失ったブルマもやり場の無い怒りと悲しみに泣き叫んだ。