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「…なんで…、なんでべジータはあんな事を……」
頭を抱えるブルマにヤムチャは励ましの言葉を投げるが、それも上の空だった。
すると────


ドンッ


とても大きな音と共に大気が震えるのを皆感じ取った。
その中で一人、ブルマは胸が締め付けられそうな感覚に襲われる。

(な…なに!?こ、この胸騒ぎは……べ、べジータ……!?)

最愛の旦那が燃え尽きて砂と同化してしまったとは知らずに──。






+++++++


その頃、上空でチビ二人を抱えたピッコロと、悟の手を繋いでいたクリリンがやりきれない表情で立ちすくんでいた。

「うぅ…ひっく……っ」

悟は自分なりに涙を止めようとしているものの、人が死んだ場面など初めてみた。
しかもそれが親友のお父さん。ショックが大きすぎて声が出ない。
すると、ピッコロがクリリンと悟へ近づく。

「クリリンこの三人を家まで連れて行ってやってくれ…、オレは結果をみてくる」

「あ、あぁ…」

クリリンは気を失っている二人を預かるとピッコロが呟いた。

「…黙っているのもかえってよくなかろう……」

「え?」

「後で家族に伝えておいてくれ…」

嫌な予感がしてならない。悟はクリリンの服をきゅっと掴む。

「…悟空はどうか知らんが悟飯は……悟飯はすでに魔人ブウに殺されたらしい…。オレには聞こえたんだ、べジータがそう言っていたのが……」

「お、おおおおお兄ちゃんがし…う……あ…」

悟は意識が遠くなるのを感じた。まさか自分の最愛の兄が死んだなんて。
死というものもよくわかっていない彼女はまさにパニックを起こした。

「く、クリリンさ、ど、どうし…うう、うわああぁあぁぁぁぁぁぁああんっ」

とうとう悟が壊れたように泣き出した。
両手を塞がれているクリリンは慰めることも出来ず困惑するばかり。

「悟!と、とりあえず背中に掴まれ!家族の所に連れて行くから!!」

泣きすぎとパニックで朦朧としている悟を背中に乗せ落とさないように飛ぶ。
そしてクリリンの口からぽろりと
「そんな…悟飯まで……ど、どういやいいんだよ……」

クリリンは胃が少し痛くなるのを感じた。



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ピッコロは先ほどべジータが自爆した箇所に降り立った。
そこにはただの荒野が広がるばかり。

「そうか…少々のダメージを与えただけでは魔人ブウは再生してしまう…。そうさせないほどバラバラにしたのか……」


己の身を犠牲にして……


ピッコロは静かに目を閉じる。

「………あいつに救われたか…」

すると、遠くで何かが唸っている。よく見れば半身になったバビディの姿だった。
ピッコロは嫌悪感を顔に浮かべ、トドメをさそうとバビディに近づいた、その時────


ピクッ  ピクピク


ピッコロの足元にあったピンク色の破片が動き出した。
そしてそれはやがて小さな魔人ブウの形になり、一箇所へと飛んでいく。
小さなその塊は次第に大きな塊へと変化していった。

「あ…ああ……っ」

ピッコロはすばやくその場から退散した。その表情は絶望そのものである。

「なな…なんてことだ……!!!」

「魔人ブウは生きていた…!!!!」


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