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猛スピードで二人を追いかける悟だったが中々追いつけずにいた。
理由は気を沢山感じるせいだ。
一方では二つの大きな気のぶつかり合いであったり前から感じていた邪悪な気である。
そして悟天とトランクスの気もふらふらと色んな方向へと変わる。
(悟天達は恐い気の方に向かってる…止めなくちゃ!)
いくらあの二人でもこの邪悪な気を倒す事は出来ないと悟は確信していた。
大切な人達だからこそ止めなくてはという気持ちが強い。
そうこうしているうちに二人の背中に追いつく。
「ふ、二人ともー!!」
その声に二人はスピードを落とさないまま振り向いた。
そして悟は二人の間へと入る。
「なんだ悟、恐いなら着いてこなくてもよかったのに」
トランクスが少し不機嫌そうに口を開けた。
その言葉に少女は怯むがキッとトランクスを見据える。
「この気は危ないよっ!今すぐ戻ろう?ね?」
普段の悟とは違う必死な姿に二人は驚くが今更引き返すわけにもいかない。
だって楽しそうだからだ。
「大丈夫だって!悟は心配症だなあ」
悟天も笑ってみせるが悟の表情は曇ったまま。
トランクスは声をあげた。
「お、おいっ!あれじゃないか!?」
「あ!!」
そう、悟が来たくなかった場所へと着いてしまった。
三人は岩場へと身を隠す。
悟天とトランクスは超サイヤ人から戻り悟は気を抑え気の集まる場所を覗き込んだ。
「あれ?知らない奴らばかりじゃないか」
「あ!不思議な気がする人が……っ」
「悟、あの変な人知ってるの?」
界王神を見つけた三人だがどう見てもやられているようにしか見えない。
「あいつやられちまたのかな…」
「ねえトランクス君、悟どいつが魔人かな!行って聞いて…あれ!?」
悟天が素っ頓狂な声を発する。
「二人ともあれ見てよほら!」
「「え?」」
こそこそと三人は移動する。
悟天が差した場所には二体の石造が立っていた。
それはピッコロとクリリンによく似ている。「人形……?」
「あっちはクリリンさんの人形だ!」
「へーんなの」
コンコンとトランクスがピッコロの石造を叩く。その時────
ドゴッ
ピッコロの石造が倒れ粉々に砕けてしまった。
はっ、と三人は岩場へと再び隠れる。
「ひゅうー。どうやら気づかれなかったようだぜ…」
「もうー…」
「壊しちゃったけどどうするの…?」
「なんとかなんだろ」
意外と軽いノリなトランクスに悟は少し頭が痛くなった。