身長談義

「ラットルって小さいよね」

「あれ、これ喧嘩売られてる?」

いきなり現れたと思ったらこの一言である。
美佐は違うよ!、と首を横に振った。

「他の皆に比べて随分小柄だなって思ってさ。私の世界にも普通にいるレベルだよ?」

「…それちょっとショックかも」

まさかの事実に項垂れるラットル。
目の前の少女は確かに自分よりは小さいが他に比べれば確かに目線が同じ位かもしれない。

「だからなんか親近感沸くんだよねー」

美佐は背伸びをしてラットルに顔を近づける。
ラットルは一歩後ろに下がった。

「まぁ、アンタ見てると人間ってそんなに大きいものじゃないんだなって思う」

「うーん…。デカイ人もいるけど、女性だったら私位が平均かな」

不意にラットルは美佐の頭に手を乗せる。そして────

「いっ!?いだだだだだだ!!!!」

思いっきり下へ下へと押してみた。

「なにすんのさ!」

「いや、少しは身長縮むかなって」

「これ以上縮ませないで!あー、痛かった…」

頭をさすりながらラットルを睨む美佐。
そんな目の前の少女を見てラットルはケラケラと笑った。

「冗談だって。駄目だよージョークくらい通じなきゃ」

「いや、ジョーク以上の痛さだった。本気だった」

この子怖い!と美佐は引き下がり、ラットルはニヤニヤ笑うだけだった。
それにムッときたようで美佐はいそいそと椅子を持ってきてラットルの前に立つ。

「そいや!お返しじゃい!!」

「あだだだだ!!まってオイラ脳みそ丸出しだから痛いって!!!」

「知ったことかあああああ!!!」

女の恨みは怖いんだぞ!と容赦なく全体重をかけながらラットルの頭を押す。
痛みに耐え切れずラットルは美佐を持ち上げた。

「うわわっ!」

「まあ、力の方じゃオイラの方が上って事で」

周りから見たらラットルが美佐を高い高いしている様だ。
美佐は恥ずかしさと恐怖でじたばた暴れる。

「ぎゃあああ!高い!!降ろしてええええ」

「もうあんな馬鹿なことしないって約束するなら離したげてもいいよ?」

「わかった!もう言わない!!知ってる!?人間は地に足がついてないと耐え難い恐怖を感じるんだよ!!!」

今にも泣き出しそうな彼女を見てラットルはやっとその小さな身体を地面に降ろしてあげた。

「…アンタの部屋のリカちゃん人形燃やしてやる……っ」

「あ、もう一回やる?今なら紐なしバンジー付だよ!」

「マジサーセンしたっ隊長!」

「分かればよろしい」

語尾に星が飛んでいるラットルに本気で恐怖を覚えた美佐であった。







(てか周りがでかすぎるんだよな…)
(コンボイに限っては船に入れなくなったもんね……)

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