あ〜りぃ〜えない!!
コンコン
「…わあ。メガちゃん近くで見ると一層大きく見えるね」
「いきなり何を言い出すんだお前は」
コンコン
メガトロンの足をコンコンと叩きながら美佐は顔を上げる。
背伸びをしてもメガトロンの顔はあまり見えない。
「っていうかさっきからコンコンコンコン本当に何なんだお前は!」
うざったいわぁ!とメガトロンが足を動かす。
美佐はびっくりしてパッとメガトロンから離れた。
「ちょっとパパ!今、大事な娘が吹っ飛ばされる所だったぞこのヤロー!!」
「誰がお前みたいな猿のパパか!」
「そういえばさっきから同じような台詞しか言ってないねパパ」
「パパはやめろパパは」
はぁ…とメガトロンは大きく溜息をつき自分の足元にいる少女を見下ろす。
こんなに小さくデコピンでもしたら飛んで行ってしまいそうな人間の女に何故自分は振り回されているんだ…と眉間に皺を寄せた。
「あれ?一瞬にしてメガちゃん老けた?駄目だよー、笑顔えがお!」
にぱー、と笑ってみせるにメガトロンは目を見開き、何を思ったか美佐を片手で簡単に捕まえてみせた。
あまりの事に流石の美佐も驚いたのかメガトロンの手の中で必死にもがく。
「ち、ちょっとメガちゃん!降ろして!私、高いところ苦手だからああああ」
「……うるさいちびっ子だなお前は」
ふっ、とメガトロンの口元が緩む。その瞬間を美佐は見逃さなかった。
「! ほら、笑うとメガちゃんもまだまだいけるよ!この色男!!」
「お前と喋ってると疲れてくるわ……」
空いている方の手でメガトロンは眉間を摘む。
当の美佐は「老眼?メガちゃん老眼なの?」とボケ続けていた。
「美佐、お前は面白いから俺様のそばに置いていてやる。感謝するんだな」
美佐を自分の目の高さまで持ってくるとメガトロンはにやり、と笑う。
しかし、少女は────
「えー。サイバトロンの所にも遊びに行きたいー!」
と思いっきり不満の声を漏らした。
あまりの期待はずれっぷりにメガトロンがずっこけたのは言うまでもない。
あ〜りぃ〜えない!!
(そこははい、って答えるところだろーがっ!この馬鹿娘!)
(わーい!メガちゃんが娘って認めてくれたー!)
(ちっがーう!!!)
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タイトルは「ひよこ屋」様より