コンボイに添い寝したい


大きな扉の前で美佐は立ち尽くしていた。
お堅い彼だ、説教をされてそのまま返されてしまうかもしれない。
でもここまで来たのだから引くわけにもいかないのだ。

「コーンボーイ。いますかー」

トントンと扉を叩くとコンボイが顔を覗かせる。

「美佐か。こんな夜遅くにどうしたんだ?」

「いやぁ、ちょっとお話が…」

「話か…寒いだろう部屋に入りなさい」

さぁ、とコンボイは美佐を部屋の中へと入らせた。
美佐は心のなかで第一関門クリア!と小さくガッツポーズ。

コンボイの部屋は大きなガラス窓があり、そこから綺麗な月が見える。

「わぁ!お月様綺麗!!いいなーコンボイの部屋いいなー!!」

窓際できゃっきゃと騒いでいると、コンボイが椅子に座りながら苦笑していた。

「で、美佐。話とはなにかな?」

にこやかに聞くコンボイに対し、美佐はよしっと気合を入れる。

「あのね、寒いから一緒に寝「それはダメだ」早いよ!!」

笑顔で一刀両断されてしまった。彼女は頬を膨らましながらコンボイをぽこぽこと叩いた。

「いいじゃんー!減るもんじゃないんだからー!!」

「あのな…」

コンボイは立ち上がると美佐の肩をがっしりと掴む。

「いいかい、君は女の子。私は男。わかるかい?」

「う、うん…そそそうだね…」

「男は狼なんだよ?」

「コンボイはゴリラじゃん」

「ゴリラも結構危ないんだ」

「私も猿の進化系だよ?」

「そういう問題じゃなくてな…」

はぁ、と一つ溜息をついて美佐の肩からコンボイは手を離した。
圧迫感から解放された彼女はほっ、と胸をなでおろした。

「とにかくダメだ。部屋で暖房をいれなさい」

「だ、だって船のエネルギーを勝手に使えないよ…」

しゅん、となる美佐にコンボイはいい事を思いつく。

「美佐、私にいい考えがある」

「え、嫌な予感しかしない…」

「なんだい?」

「なんでもないです、はい」

そう言うとコンボイは彼女を自分のベッドに寝かせ、その横に椅子を持ってきた。

「コンボイは寝ないの?」

「後で寝るさ。君が寝るまで手を繋いでいてあげるよ」

ぎゅっと彼女の手を潰さないように適度に力を込めながら握る。
美佐は暖かい、と笑った。

「これで許してくれるかな?」

「んー、しょうがないなー」

美佐の上から目線な言葉だったがそれをもコンボイは受け止める。
うとうと、とし始めた彼女の頭を優しく撫でると彼は笑顔をこぼしたのであった。




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