ハロー ハロー
ぼふんっ、とアニメで聞いたことあるような音がした。
来るはずの衝撃に備えてキツく閉じていた瞳を開ければ飛び込んできたのは鮮やかな黄色。
真上を見上げれば小さな穴が見える。
「ちょっと待って。どこだここ」
私は確かにコンクリートジャングルを歩いていたはずだ。
都会からはあんな綺麗な空は見えない。
「 Howdy!」
後ろから少し高めの声が耳に入った。
ゆっくりと振り向けば周りの金色の花と一緒……なのだが。
明らかに顔がある。とても可愛い。
「……?あいつじゃない…」
「花が喋った……」
花と人間が見つめあっているというファンタジーな雰囲気のなか、ふと自分の座っている場所に影が落ちる。
「! お前ちょっとどけ!!」
しゅるり、と植物のツタが身体に巻き付くと金色の花畑から普通の地面へと投げ飛ばされた。
ゴツゴツとした地面が憎らしくてしょうがない。
「いったい……っ!あんたねぇ!?」
文句の一つでも浴びせようかと思い痛む身体を起こせば先程と同じ音。
自分より一回り小さいであろう子供が花畑の上に落ちてきた。
「ああ、やっと本命がきた!!」
そう花が嬉しそうに笑う。前にいる子供はまだ俯せのまま動かない。
思わず彼女はその子の元へと駆け寄った。
「だ、大丈夫?目を開けてちょうだい!」
小さなその肩を揺すり起こせばか細い呻き声。
ゆっくり上げた顔はそのまま私の瞳を捕える。怪我はないようだ。
「 Howdy!」
先程私にかけた言葉をもう一度繰り返す。
まるでリプレイを観ているようだ。
ただ一つ違うのは、この子がこの花にとっての本来の目的だったという事。
そして始まるのは中身にロクなものが入っていない学校の鞄だけ持つ彼女────リカと
ぼうきれだけですべてに立ち向かおうとする一人の子供────Friskが
ありえるはずのない『二人』でこの世界を旅をする運命だった。