小説・まほうつかいのでし | ナノ


財前短文

「ねー、財前くん、なんで図書委員なのにわざわざ私が当番の時ばっかりくるの?」
「そんなもん、ただの偶然やろ。とっとと貸出し手続きしろや。」
「せめて敬語は使ってくれよヤンキーピアスが…」
「なんやて?」
「なんでもないですー。返却期限は2週間後なので遅れない様にしてくださいねー。」
「…アンタは暇なら図書カードでも眺めとったらええねん。」
「そこまで暇じゃないよ。」
「ええから眺めとけ。」
「ええ…」

扉を乱暴に閉めて、財前くんは出ていってしまった。
一応学校なんだからもっと丁寧に扱ってほしいなあ。

図書カードか…宝への暗号でも隠されてるのか。
[財前光]と記入されたカードを見てみる。
一年の頃は全く使われていないのに、2年になってから急に借りるようになったなあ…

あ、財前くんが借りてる作品のタイトルの頭文字、繋げると[あなたがすきです]になる…

ええ…


「ねえ、財前くん。」
「な、なんスか?」
「図書カード分かりにくすぎるよ。あれじゃ気付かれないって。」
「な、なんの事や。」
「自分で言いにくいなら、先輩変わりに言ってあげようか?」
「は?」
「告白告白。あれじゃ気付いてもらえないよ。それともラブレターの原稿でも考えてあげようか?」
「…」
「財前くん?」
「…、ね。」
「はい?」
「死ね!!!!」
「えええええ!?」

私が驚いてる間に出ていってしまった。
最近の若い子はわからないや。