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よし、大丈夫ね

キョロキョロ周りを伺い、若干警戒しながら電話があったアルフレッドの家の前で立ち止まる。
何の用かしらと思って訪れたが迂闊に来るんじゃなかったと今になって後悔した。アーサーと鉢合わせたら、それこそたまったもんじゃない。

念のためにと、もう一度きょろ、と左右を確認してあまり昔と変わらない装飾の家を見上げる。
ここに来るのは久しぶりだけれど、相変わらず無駄に大きいのだわ。

昔と比べてどんどん改築されて、今では周りのとこと比べても引けをとらないどころか一位二位を争うんじゃないかというくらい大きくなったアルの家には去年のクリスマスに呼ばれて行ったきりだ。
代わりにアルの方が私の家へ訪ねる…もとい、物理的な意味で突撃しにくるようになったのは、まぁ扉やその他諸々の修復費に目を瞑れば全然構わないのだけれど。
何だかんだ言って私もアルが可愛いのだ。アーサーには負けるけれどアルの我が儘なら多少融通を聞かせて聞いてあげたくなってしまう。
ひとつだけ言うならば、何でもスーパーサイズにするのは構わないけれど勝手に人の家まで改造しようとするのはやめてほしい。
少し目を離した隙にアーサーほどじゃないが少し自慢だった庭の生け垣をあっという間にアーティスティックにされたのは記憶に新しい。
いくら可愛い弟と言ってもやっていいことと悪いことがあると思う。

リンゴーン

来客を告げる為のチャイムを押して数秒後、ばたばたとかける足音の次に扉がバーン!と盛大な音を立てて開かれた。
相変わらず扉の開け閉めが盛大すぎる。それほどまでに落ち着かない理由が自分にあると考えたら嬉しくないわけは、ないのだけれど。

「遅いんだぞ!!」
「アル、ご近所迷惑よ」

勢いよく出てきて今にも飛び付いてきそうなアルフレッドをやんわりとかわしてたしなめれば、えーと頬を膨らませて不服そうな顔をするアル。
まぁご近所迷惑なんて嘘なんだけど。だってお隣との距離はかなりあるもの。
いわゆる照れ隠しだ。

それがバレない内に、ぷすっと膨らんだ頬を突いてアルの横をすり抜けて開いたままの玄関から中に入る。
客間を兼ねている広いリビングに入れば主張が激しいアルフレッドをそのまま具現化したかのようなインテリアたちが私を迎えてくれた。

ひとつひとつは派手だったりするけどごちゃごちゃ五月蝿い感じはしないのよね。変なの。
見る分には楽しいインテリアを眺めながらソファーに軽く寄っ掛かりアルフレッドを待つ。
あ、昔アーサーがアルにあげた人形の兵だわ。アーサーってば捨てる捨てるって倉庫においてたのをアルにあげたのね。
人に言えないけれどあの愚兄も随分と素直じゃない。




 




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