赤司征十郎と青峰大輝の場合


今日は楽しいエイプリルフール。
いつもは騙されたりからかわれたりする私でも下剋上できる素敵な日。
自然とはずむ足取りを必死でおさえて学校への道のりを歩く。と、見付けた赤い髪!
いつもは怖いけど私は諦めないよ!

「おはよう!」
「ああ、夕夏お早う」
「今日お菓子作ったからあとであげるね!」
「…今日はエイプリルフールだったな」
「そ、そうだね」

ぎくっ。
ななな何故その話題を出すの赤司君!
もちろんお菓子なんて作ってない。バレてるんじゃないかって冷や汗が止まらないけどまだわからない!
だって朝のニュースでも今日はエイプリルフールだって言ってたし!気になっただけかも!

「夕夏、君はお菓子作りが苦手じゃなかったか?」
「…おいしいよ?」
「…そうか。あ、俺今日は部活休むから」
「えっ、…あ!嘘なんでしょ!」

痛いところを指摘されて泣きそうになったけど言い逃れた私偉い!あっさり納得した赤司君に拍子抜けしたけどありきたりな嘘に私は引っ掛からないんだからね!
ズバリ指摘すれば少し視線を下げる赤司君。え、え…

「いや、病院に行くんだ。体調が少しよくなくてな。真太郎とテツヤにはもう知らせてあるからサポートを頼む」
「…だ、大丈夫?」

確かに少し顔色が悪いかもしれない。儚げに微笑んだ赤司君とは会話もそこそこに下駄箱のところで別れた。
大丈夫かな、体調悪いって、風邪とかならいいけど、赤司君免疫力なさそうだから…
私がしっかりしなきゃ!




お昼休み、コンビニに寄った。目的はのど飴。
最近乾燥してるし…風邪気味ぽい部員にあげよう!
我ながらいい気遣い!と思いながら籠にのど飴の袋を6袋くらい入れる。うん、このくらいで足りるかな。

「お前、そりゃいれすぎだ。太るぞ」
「これのど飴だし私が食べるんじゃないから大丈夫……って」

誰と会話をしているんだ私は!
ばっと後ろを振り向けば顔をしかめながら飴の袋を指で摘まんでいる青い髪。

「あ、青峰!なんでここに…!」
「あ?お前が学校抜けるの見て追ってきたんだよ。教師に見つかったら指導室行きだぜ?」
「青峰…」
「まぁ嘘だけどな」
「……」

そうだったこういう奴だった。少しでも優しいと思った私が馬鹿だった。
でも、なら私だって…!

「せっかくお菓子作ってきたのに」
「へー」
「…何そのどうでも良さそうな返事。まさか嘘だと思ってるでしょ!」
「当たり前だろ馬鹿かお前」

きぃ!何なのこのガングロ!腹立つ!!
犬の人形を指差して黄瀬が居ると爆笑している青峰は放っておいて会計を済ませる。あー赤司君心配だなあ。





放課後を告げる鐘が鳴って少ししてから急いで体育館へ向かう。ああもう先生話し長すぎ!遅れちゃったじゃん。
ガラリと体育館の重い扉を開けて中に飛び込めば、そこには今ここには居ないはずの…

「赤司君!なんで居るの!病院は!?」
「は?何言ってんだお前」
「青峰は黙ってて!赤司君は体調が…」

可笑しなものを見たような顔で横入れをする青峰君を一蹴すれば、にこにこと微笑んでいる赤司君。
え、え、なに

「夕夏、今日は何の日だい?」
「………………嘘なの!?」
「嘘だよ」
「ばか!良かった!」
「心配かけさせたな」

もちろん本当にならないようにのど飴は全部赤司君にあげた。




あっさり流され面白くない
(逆に騙されるので要注意)




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