黒子テツヤと紫原敦の場合


何でなんだろう…!
折角のエイプリルフールなのに!

誰にも会わない!!



今日私はそりゃあわくわくして学校に来た。まず一番最初に話した人を騙してやろう、そう悪巧みながら。
なのにそんな日に限って友達は休み、先生も忙しそうであっという間に昼休み。ああ、折角のエイプリルフールぅぅ…

「七月さん?」
「夕夏ちんどうしたのー?」
「うぅ、聞いてー………え?」
「? どうしたんですか?」
「うわああああああ!!!あ、あ、いつからそこに…!」
「遊びに来たら夕夏ちんが項垂れてたからー」

私とは違う声にばばっと頭を上げると居たのはバスケ部の癒し担当組。え、いやほんと何でここに。

「黄瀬君に用事?だったら今日はまだだけど」
「いえ、通りかかったら七月さんが何だか落ち込んでいるように見えたので」

そう言うと黒子君は、ねーと紫原君と首を傾げた。いや、可愛すぎるでしょう
そんな二人にほわほわと和んでいたが、そう言えば今日私は初めに話した人に嘘吐くって…
よりによってこの二人に…!?
…ええい!女は度胸!

「あの!あのね」
「どうかしましたか?」
「私、マネージャー辞めようかなー、なんて」
「えー、やだー」
「いきなり…どうしてですか?」
「ほら私、桃ちゃんみたいに何か特別なことが出来るわけじゃないし、そそっかしいから邪魔かなって…」

これは割りと本当。やっぱり疎外感を感じる時がたまにある。
皆にはあって、私にはないもの。
辞めようとまでは思わないけど、たまに虚しくなって悲しくなるんだよね。
自嘲気味にはは、と笑うと手を握られて頭の上に手がのせられる。
え、え?

「七月さんは頑張ってます」
「え…」
「確かに夕夏ちんはおっちょこちょいで、余計な仕事増やしたりするけどー」
「うっ、」
「でも夕夏ちんの笑顔は見てて幸せになるしー」
「確かに、七月さんの笑顔は元気を貰えるような気がします」

うんうんと自分の言ったことに納得する紫原君に頭を撫でられ、だから辞めないでくださいと黒子君に手を握られ、嘘に混じらせた本音をこんなに真摯に受け取ってもらえるなんてと目頭が熱くなる。

「う、」
「うー?」
「マネージャー辞めるのは嘘でしたー!いやあ駄目だよ二人とも!今日エイプリルフールだよー?」
「嘘、ですか……良かった」
「へ?」
「七月さんが辞めなくて、本当に良かったです」

綺麗に微笑む黒子君と嘘てかやめてーと頭をぐしゃぐしゃとかき回してくる紫原君にどきり。
ああ、もうこの二人に嘘なんてやっぱつけないなぁ



嘘だから!と照れ隠し
(嘘に本音を混じらせて)




 



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