「なんで俺がてめーなんぞにパフェおごらにゃいけねーんだ」 「まぁまぁいいじゃねぇか。色々世話してやってんだから」 「黙れ毛玉」 妖刀騒ぎの一件で一生チビチビ集るという宣言をされて以降、万事屋と顔を会わす度に甘味屋に誘われるようになった。 「うめー、これだから糖分はやめられねぇ」 へにゃりと緩められた頬に鼓動が跳ねる。やる気も生気も宿らない目が喜色に染まるのは何故だかびっくりするほど心臓に悪い 「程々にしろ糖尿が」 「違いますー、予備軍であって糖尿ではありませんー」 交わされる会話は他愛のないものばかりで、金だけおいて席を立てばいいのにコーヒーを追加してこの時間を引き延ばす自分に内心ため息をつく 「つぎはおすすめの団子屋に案内してやるよ」 「いらん」 「まったまたぁ、暇そうな時に声かけるから財布の準備してろよ」 「生憎、団子1、2本が痛いような財布は持ち合わせてねぇよ。てめぇと違って」 「うっわキッツ!ちょっと多串くん!自分の言葉のナイフの切れ味考えて!!」 時間の無駄だとわかっているのに、ぎゃあぎゃあと中身のない会話をするこの緩い時間が不思議と嫌ではなくて。むしろ最近ではこいつがいつ声をかけてくるかと期待する自分に呆れて言葉もでない 「くそーそれならもっとおかわりしてやるもんね。ちょっとぉお姉さん」 ウェイトレスを呼ぼうとした坂田の手を掴み、下ろさせる。怪訝そうな坂田の顔を真っ直ぐに見て口を開く 「やめとけ。今さっき糖尿云々の話したばっかだろうが。」 一番予想外なのは 「食い過ぎだ。これ以上は払わねぇぞ。」 こいつがあまりにも嬉しそうに甘味を頬張るから、半ば八つ当たりのように糖分が憎く思えてきたことで 「じゃあ、さ、次は割り勘で二人で飲みに行かね?」 「は」 唐突に逸れた話題に、思考がついていかず固まる。まじまじと見返すと坂田は気まずそうに視線を反らしている 「んだよ。嫌か」 「や、じゃねぇけど、」 お前、なんで顔赤いんだ。とは言えなかった。だって、自分の顔も酷く熱い 「そか。じゃあ都合のいい日教えろよ」 少しだけ嬉しそうな顔をした坂田に、目を奪われる 「お、おう」 頷いた土方は自分も坂田と似たような表情を浮かべてることに気付かない。土方が、掴んでいたはずの手をテーブルの上で握られていたことに気付き動揺しすぎて振り払うまで、あとちょっと |