※ひっそりこっそり同題銀土便乗中お題は「偶然」でした 「お前の勘違いだ。全部偶然だろ」 こうなったのは必然だろ。俺お前のこと好きだったし。そう言った俺に土方は冷たく吐き捨てた。 「そう?じゃあ俺は今日偶然入った飲み屋で偶然土方に会って偶然言い合いが呑み比べに発展して偶然酔っ払った俺が酔い潰れたお前にムラっと来たから偶然近くにあったホテルに連れ込んだと」 「あぁ」 「ばっかじゃねぇの」 「バカとはなんだコラ」 「お前は怖いだけだろ。全部偶然だって誤魔化して今まで通りあやふやにしときたいだけだろ。ハッ、天下の鬼副長が聞いてあきれる」 「黙れ、それ以上言うなら」 「言うなら何?俺はもう我慢しねぇ。何回でも言ってやる。こうなったのは偶然なんかじゃねぇ」 「黙れ」 「やだね。俺は前々から沖田くんにお前の休み聞いてて休みの前の日になら呑みに出掛けるかなって当たりつけて、わざと時間もずらして飲んでる店探したし会話が楽しすぎてつい呑みすぎたし、お前が何も言わないくせに俺のこと好きで堪らねぇって目で見てくるからつい堪んなくなって言う通りついてくる土方が可愛くてつい調子乗ってホテルに連れ込んだ。でもってお前が抵抗しなかったから、最後まで抱いた。なぁ、土方。俺はお前のこと前から好きで昨日お前が拒まなかったから抱いたんだ。酔った勢いとか溜まってたからじゃねぇよ」 「嘘だ。総悟が絡んでるなら尚更、お前は俺のことなんか好きじゃねえ。」 アイツから頼まれたんだろ、俺に嫌がらせしろって。土方は視線も合わせない。吐き出されるのはひどい台詞なのに、震える拳が無言でもう一押しして欲しいと望んでいるように見えて。これがわざとならとんでもない魔性だなと思ったが、どうみても演技ではないのでお望み通りそのすくんで動けない背を押してやる。 「なら、お前はなんで拒まなかった」 びくりと跳ねた肩に笑う。お前が実は対して酔ってなかったことくらいお見通しだ。だって俺もたまに触れる肩や膝から伝わる体温に緊張して全然酔えなかったのだから。 「まさか、酔ったら誰にでも股開く淫乱ってわけじゃねぇよな」 言いながらそんなまさかと笑う。何故そんな所をと目を丸め、恐怖と羞恥でガタガタ震えてた男をどう見ればそんなこと言えるのか。 「っざけんな!誰がンなこと…!」 そうだ、怒れ。 「だって好きでもなんでもない俺に抱かれるなんてそうとしか思えねぇだろ」 そんで、喋れ。 「違う!俺はお前がッ!」 激昂した土方は嘘を吐けず本音を喋る。これは距離を少しずつ縮めながら知ったこと。 「お前は、なぁに?」 はっと口をつぐんだ土方の顔はじわじわ赤く染まっていって。きゅっと唇を噛み締めるのは敗北を悟ってしまったから。 「なぁ、土方。ほとんど素面で明らかにハジメテのお前が男に抱かれようとしてたのに本気で抵抗しなかったのは、なんでだ。俺の気持ちに気付いてたからだろ」 そっと白くなるまで握られた手を握った。ドッドッと激しく脈打つ心臓と、凄まじい勢いで滲む手汗に気付いたらどうしようと焦る気持ちが土方が気付かれないことを信じてもいない神に祈った。 「そんでお前の気持ちも俺と同じだったから、お前は俺を受け入れてくれたんだろ」 あらぬところにあらぬもんを突っ込まれるという未知の行為に対する恐怖とプライドを踏みにじられるような行為に対する屈辱や羞恥に耐えて、俺を全て受け入れた瞬間土方は少しだけど嬉しそうに、ほんの微かに笑ったのだ。この誰よりも高い矜持を持った男がそこまでしてくれたのに、今更誤魔化されてやれるわけがない。長い沈黙に耐え、じっと見つめ続けてやれば形のいい頭がほんの僅かに上下に揺れて。 「好きだよ土方。大好きだ」 歓喜に震える腕で目の前の体をぎゅうと抱き締めれば、控えめに背中に回された手に愛しさが爆発した。 「…れも、」 至近距離でなんとか聞き取れた、声 「すきだ、さかた」 与えられる偶然の中で幾つもの選択肢を選び抜いて必然的に辿り着き、手に入れた答えが運んでくれたのは途方もない愛しいさと幸福感。ようやく手に入れた愛しいぬくもりを離さぬよう土方を思いきり抱き締めた坂田は、跳ね回る心臓を抑え嬉しすぎてちょっと泣きそうになりながら土方に口付けた。 実は内心どっきどき坂田 |