暴走しちゃった先生とネガティブ思考大暴走な土方くん2 | ナノ

問題児だらけのZ組の優等生、マヨと剣道命で貴重なクラスのツッコミ役。整った顔立ちとからかいがいのある性格をなんとなく気に入っていた。だからか、いつからか感じるようになったやけに想いの籠った熱い視線の主が彼だと気付いた時に驚きこそすれ嫌悪感は感じなかった。俺の些細な言動に一喜一憂する姿を見るのが楽しくて、ちょっと近くに置きたくなって屋上で煙草を吸う後ろ姿に声をかけた。準備室を喫煙所代わりにするようになる頃にはすっかり彼にハマっていた。のろけだすときりがないからカマかけたらあっさり引っ掛かって真っ赤になった彼を心から愛しいと思う程度にはベタ惚れだとだけ言っておこう。

「なぁ土方、俺んち泊まりに来てみたくない?」

そう誘った時、土方は飲みかけのコーヒーを吹き激しく噎せた。慌ててタオルを渡し背中を擦ってやるが、内心はあぁ、やっぱりと思った。たぶん、土方は思いが受け入れられたことが嬉しくて、それ以上のものが貰えるなんて思ってないのだろう。戯れに仕掛けた触れるだけのキスにさえ過剰反応して固まってしまうのは可愛いが、残念ながらプラトニックで我慢出来るほど俺も枯れてはいなかった。

「おとまり、嫌?」

至近距離から除き込めばじわじわと赤くなる顔。これは至近距離に照れてるのかお泊まりの響きに緊張したのかどっちだろう。

「よかった。部活の日程出てる?次の日部活がない日がいいよな」

きっと無茶させるから、とは口には出さず「部屋綺麗にしててくださいよ、俺、汚部屋に泊まるつもりないですからね」なんて憎まれ口叩く唇を奪った。

夏休み始めから3日間、松平の家族サービス旅行のため部活がなくなったという土方に、じゃあ修業式からそのままお泊まりしちゃう?なんて聞いて、別にいいですけど、と頷く土方の頭を撫でる。夕方、俺んちの最寄り駅に集合な。と笑えばはい、と嬉しそうにはにかむから堪らない。なんでこんなに可愛く映るのだろうか俺の目いかれたのかなー相手は男子高校生よ?なんて。男同士の知識を得るためにネット海を泳いで若干グロッキーになりながらぼんやりと思ったが、土方犯す夢見て年甲斐もなくパンツ汚しちゃった奴が何を今更と思い直した。

んで、今日、

「お邪魔、します」

おずおずと部屋に入った土方にくらりと目眩がした。きょろきょろの辺りを見回し意外と綺麗なんですね、なんてはにかむ姿が可愛すぎたせいだ。嗚呼もうなんなのアイツ可愛い!靴を揃える姿にまできゅんきゅん鳴りまくる胸を押さえ、適当に座ってな、なんて声をかけてから道中買ってきた食材を冷蔵庫に仕舞う。そわそわと落ち着かない心を静めるために大きく深呼吸した。




「せんせい?」

夜まで我慢、なんて思ってたのに、理性はあっけなく崩れ去った。言い訳させてもらえるなら、まるで借りてきた猫のようだった彼が時間が経つにつれ俺の部屋で少しずつリラックスし始めて、そしてその姿が余りに無防備だったせいだ。彼が今寛いでいるのは俺の家なんだ、と改めて思ってしまえば沸き上がった衝動は止められず、気が付けば土方を押し倒していた

「せんせ…?」
「ひじかた」

何が起きたかわからない、と目を丸める土方に口付けを落とす。くすぐったそうに身を捩る姿が可愛くて、もっと、と唇を食んだ。ぴくりと揺れる肩に手を回し逃げれないように腕の中に閉じ込めた。

「んんぅ?!」

舌を入れ吸ってみればびくんと体が跳ねた。余りにも初な反応に否応なく劣情が煽られて、

「はッひじかた」
ここ数ヶ月お預け食らいっぱなしだった獣を縛り付けていた理性を断ち切るにはそれは十分すぎるものだった。