カチリ、時計の針が重なった。 「あれ…ひじかたくんどうしたの?」 スッと立ち上がった土方に不思議そうな視線を寄越すのは酔っ払いの銀髪頭。 「……」 そっと口を開くも頭の中で繰り返し練習してきた言葉は喉に張り付いたように出てこない。 「……ッ」 パクパクと口を開閉する土方を見上げる銀時はあどけない顔でこちらをガン見している。そりゃそうだ いきなり一緒に飲んでた相手が意を決したように立ち上がって、じっと自分を見つめたまま硬直したのだから。頭の中で練習したときはさりげなくスマートにカッコよく伝えられたのに。もどかしげに唇を噛む土方の手に、そっと温もりが触れた 「ひじかた?」 「ッ、さかた、…ぁ、あの、さ」 ようやく伝えられた言葉はつっかえつっかえで、さりげなさなど微塵もなかったが、いつもより子どもみたいな顔をする銀時の満面の、本当に嬉しそうな笑顔をみれただけで、 (しょうがねぇな) そんなに嬉しそうな顔をするなら、来年も伝えてやろう。不器用で不格好だけど、気持ちの籠ったその言葉を。 「ねぇひじかた。もっかい」 「ばあか、甘えんな」 誕生日おめでとう、銀時。 |