Mな先生と直球な土方くんの話 | ナノ
きのさん誕生日記念 人のネタおいしいよもぐもぐ M攻め先生 熱でぺっしょり保健室プレイ




「いいから寝てろよ先生。アンタ、今日はもう仕事お終い」

漸くたどり着いた保健室のベッドに担いでいた荷物を下ろす。そのままそうっと出来るだけ慎重に横たえれば荷物こと真っ赤な顔をした銀八がぐにゃりとベッドに沈んだ。息が荒くて熱いのに汗はそんなに出ていない。ぐるぐると目をまわして手足が軽く震えている様はどうみても熱中症ですありがとうございました。あんだけ口うるさく注意してたのに自分が熱中症なってりゃ世話ないなと土方はため息を零した。

プール開きを控え、ジャンケンで負けて掃除を押し付けられたと面倒くさそうに銀八が言ったのは昨日の帰りのホームルームのことだった。面倒だが合法的に水遊びが出来るチャンス。そんなの3Zのメンツのテンションが上がらないわけがなかった。そして今日。ドロドロのプールに最初はげんなりしていたがどんどん綺麗になるのにはしゃいだ神楽が千と千尋ごっこだと叫びデッキブラシを片手に気合いの入った雄叫びを上げ、なんだかんだで結構いいペースでプールは綺麗になっていった。釜爺役だと放水用のぶっといホースを持たされた銀八は1人プールサイドからデッキブラシで擦った所に水を撒いたり暑がる生徒に放水したり適宜水分補給を呼び掛けていた。のだが。

「銀八?」

ふと異変に気付いたのは土方だった。プールの底ではしゃぐ生徒に走り回るなと注意していた声がいつの間にやらしなくなっていたのだ。周りを見渡すと放水のぶつかる所もあちこちにフラフラして突然水の直撃を食らった奴らが悲鳴を上げている。まさか、とプールサイドに目をやると、

「…おい、近藤さん。ちょっと水分補給してくる」
「ん?おお。どうしたトシ凄い顔だぞ。その辺まだ手付かずだから滑らんようにな」
「サボりかよプールサイドで滑って転んで頭打ちつけて死ね土方」
「へいへい精々気を付けらぁ」

デッキブラシを適当に片付けて梯子を登る。ポン、と銀八の肩に手を置けば数拍置いてからぼんやりと緩慢に振り返った。ぺたりと張り付いた前髪に上気した顔、眼鏡越しでも分かるほどに潤んだ瞳。

「先生、気分が悪いんで保健室一緒に行ってくれませんか」
「おいおい、らいじょうぶかよだからすいぶんほきゅうはこまめにしろっていったらろ」
「その言葉バットで打ち返すわ」
「ん?」
「いいから、行くぞ」

二の腕辺りを掴んで引っ張ればよたよたと覚束無い足取りでついてくる。近くにいた山崎にホースを頼めば銀八の顔が真っ赤なことに驚き、慌てて交代してくれた。あとは適当に誤魔化してくれるだろう。そうして土方は途中から銀八を半ば担ぐようにしてプールから保健室までの距離を一気に突っ切ったのだった。


「先生、ほら水」
「〜〜っいらねぇって、」

養護教諭が留守だったので適当に冷蔵庫を漁れば経口補水液のペットボトルが大量に詰まっていた。季節柄、湿気と暑さで運動中倒れる生徒が続出しているようだと聞いていたが元気余りあるZ組には関係ないことなのでイマイチ実感が湧かなかったが世間一般では注意すべき事柄だったらしい。ペットボトルのフタを開けて渡してやるも何故かぐずられる。はぁ、と隠すことなくため息を吐けばびくりと震えた銀八がおそるおそる見上げてきた。

「アンタ、自分が散々注意してた熱中症なってんだぞ。ぶっ倒れたら格好つかねぇと思ってこっそり連れて来てやったんだから素直に介抱されてろ」

ベッドに手をつき、とりあえず飲めと顔の前にペットボトルを差し出せば眉根を下げて恐る恐る口を開けた。飲ませろってか。頭が回ってない時は意外と甘えたらしい一面に驚きながらゆっくり傾けてやれば素直に飲み出したのでホッと安心する。

「それにしてもアンタ、なんでそんな格好してんだよ。」

まだ授業ではないのでと学校指定の水着ではなく海パンに日除けのパーカーの土方が言う。他の奴らも大体そんな感じだった。その中で白衣がパーカーになりスラックスがハーフパンツになっただけの銀八は酷く暑そうだったし汚れるのに何故そんな格好なのかと口々に疑問が飛び交っていた。着替えを忘れたのだと言う銀八に言い出しっぺアンタだろドジかと笑いが起きていた。

「んん、」
「こら、零れるぞ」

ごくごくと喉を鳴らす銀八の様子を見つつ慎重にボトルを傾ける。もう要らないと表情で訴える銀八ひいいから飲めと睨み容赦なく水を注げば、うろ、と目を泳がせたが素直に飲み干した。

「ん。偉い偉い。つーか首苦しいだろ。ちょっと緩めるぞ」

熱のこもる体に顔を顰めやや乱暴にパーカーを剥きネクタイを引き抜いた。ぃやだ、と弱々しく抵抗する銀八にいい加減にしろよと青筋を立てればぎょっとして目を潤ませる。ギャップか。まさかいい歳したおっさんがギャップ萌え狙ってるのか。

「アンタ、自分が今どんな顔してるかわかってっか」

いつもダルダルで暑くてしかたないくせにネクタイも緩めねぇで、赤い顔で目ぇ潤ませて。まるで苦しいの我慢するのが気持ちいいみたいな、情ねぇ顔。いつどの生徒に見られるかもしれねぇプールサイドでそんな顔晒してたとか。変態かよいやらしい。そんな顔振りまかれるこっちの身にもなってみろよ。すっげぇ気分悪いわ。

腹の底で煮えるタールの様な黒い感情を耳元で囁けば目を見開いた銀八の顔にじわじわと赤く染まっていく。

「…何で赤面…どえむか。」

思わずこぼれ落ちた本音に銀八の顔がぎくりと強ばり泣きそうに歪んだ。図星らしいことに驚いたが直後、土方から逃げるようにプール、戻らねぇと。微かに震える唇で言う銀八にぷちんと頭のすみで何かが切れる音がした。

「ふぅん。まぁ俺は先生がドMだろうがどうでもいいんですけど。」

とりあえず応急処置終わるまでじっとしてろ。戻ってすぐ倒れたら目も当てられねぇ。高圧的に見下され思わずといった様子で頷いた銀八によし、と頭を撫でた。犬だって言うこと聞いたらいつも撫でて褒めるので深い意味は無い。ちなみに土方の家では犬を飼っていない。
土方は冷凍庫を覗き込む。氷と氷嚢をいくつか拝借してベッドに戻れば上体を起こそうと藻掻く銀八に今度こそ青筋が立った。

「俺、今、じっとしてろって言いましたよね?」
「ちが、しゃつ、脱ご、ておも、」
「勝手に起き上がっていいなんて、言いました?」
「い、ってない、です」

にっこり笑う土方に銀八の熱で浮ついた顔がほんの少し青ざめた。躾は、その場で何が悪かったのか教えてやらないと意味が無いらしい。メス犬を躾るのだとわくわく語った総悟が言っていた。

「まあ、確かに、邪魔なシャツなんていりませんけどね。」
「いっ!?」

バリィッ!!ボタンなど微塵も気にせず力任せに開かれたシャツの合わせ。ボタンが数個飛び散るのも、気にせず中に着てたインナーのTシャツにすぅと目を細める土方にこれまで引き裂かれたら堪らないとシャツを剥ぎ取られた銀八は大人しくベッドに後戻りだ。

「粉のポカリあったんで作りました。飲みたければ言ってください。とりあえず体冷やすぞ」

たぷたぷの冷たい氷嚢が首筋に当てられて銀八の肌にぞわりと鳥肌が立った。暑くて息苦しいのに、冷たいのが気持ち悪いらしい。

「や、も、いいから、あとはじぶんでやっからおおぐしくんは、ぷーるそうじにともどりなさい」
「………戻ってもいいですけど、戻ったら何してたか聞かれると思うんでドMな先生が炎天下の下1人我慢大会を開催してたこと洗いざらいクラス中に聞こえるように喋りますがいいんですね?」
「っ、」
「あぁ、でもMならそれもご褒美にしかならないですかね。先生が気にしないなら戻りますよ。じゃあ、ほかの先生にもしっかり説明しときますんで、安静にしてゆっくり休んでくださいね」

苛立ちを隠しもせず胡散臭いほど優しげに微笑み踵を返す、と、

「…離してくれないと戻れないんですけど」

パーカーの裾を弱々しく握られ、身動きが取れなくなる。

「まって、ごめんてひじかたくん」

たすけてくれてあんがとね、さすがフォローのおに。ついでにせんせいみうごきとれないみたいだから……みすてないでくれるとうれしいんだけど。
ろれつの回らない口調で縋るようにこちらを見上げる普段隙だらけのようで隙を見せない大人。汗でぺしょりと萎みきった天パに苛立った心が一瞬で吹き飛び庇護欲で満ちていく。それで可愛いと思ってるんですかくっっっそかわいいな。あとちょっといじわるしたくなる。土方は好きな子ほどいじめたくなるタイプだ。

「……いいですけど、次、年甲斐も無くごねたりしたらもう知りませんからね。」
「ん。ありがと」

ふてくされたように頭を撫でた土方に銀八は無意識に擦り寄る。氷嚢持ってた手は冷たくて気持ちいのだろう。

「気持ち悪いとかないですか」
「ん。冷たくてきもちい」
「水飲みますか」
「お腹たぽたぽだから後でもらうよ」
「氷嚢乗っけますよ」
「…はーい」

頭をなでながらそんなやりとりをして、大人しくじっとする銀八に気をよくした土方は再び首と脇の下に氷嚢を宛がった。

「…つめたい」
「がーまーんー。」
「ひじかたくぅん、やっぱ俺そこまで重症じゃないよ」
「顔真っ赤の癖に何言ってんですか」
「だってぇ…」
「そんなに嫌なら、我慢出来るようにしましょうね」
「へ?」「俺、言いましたよね?ごねたりしたら次はないって」
「ひっ、」

舌の根も乾かぬうちに生徒の手を煩わせる悪い先生にはお仕置きですね?ビンッと張られたのは先ほど取り去られた銀八のネクタイで。嫌な予感に後退ろうにもベッドの上に逃げ場はない。というかだるさを実感した途端全身が重くて身じろきすらできなかった。

「ドMで悪い子な先生は、ちょっと我慢を覚えなくちゃいけませんね。俺がこんなに心配してるのに、邪魔ばっかりして」
「ご、ごめんなさ、」
「お手」
「へっ、」
「お、手」
「わ、わん」

差し出された手に両手を乗せればガッと掴まれネクタイでぐるぐる巻にされてしまう。脇の下の氷嚢の冷たさが気持ち悪いのに教え子に拘束されてしまった状況にドキドキしてしまいそれどころではない。

「…先生、もしかして興奮してます?」
「なななななんで!?」
「だってほら、」

ちくび、起っちゃってる。耳元で囁かれた言葉を理解した瞬間顔が燃えるように熱くなった。

「ちっ、違うから。生理現象だから!冷たくて鳥肌立つんだからちくびだって立つわ」

水分をとったからかぶわっと吹き出した汗で張り付くTシャツにくっきり浮き上がった二つの突起は丸わかりで。じいっと見つめられてしまえばそれが何故だかとんでもなく恥ずかしかった。普段意識しない場所なのに土方に見られるだけで妙にジンジンするような気がして酷く落ち着かない。

「へぇ、ならいいですけど。先生って冷たかったら鳥肌だってちくびだってちんこだって、なんでも起っちゃう恥ずかしいひとなんですね。」

指摘されて初めて気付く。足の付け根に氷嚢を押しつけられて伸びたハーフパンツを押し上げるようにゆるく立ち上がりかけた息子の存在に。

「あぁ、枕も氷枕にしますね。ちょっと枕が高いかもしれないけどその方が自分が今どうなってるか、1人我慢大会して熱中症になった挙句生徒に介抱させといて興奮してる変態だってこと確認出来て先生も嬉しいですよね?」

ごそりと頭を持ち上げられた瞬間ふいに土方の手が布越しにちくびに当たり、少しだけひっかいた。ほんの少しの接触なのに大袈裟なまでにびくりと跳ねた体に銀八の方がびっくりしてそんな様子を見て土方は面白い玩具を見つけたようにうっそりと目を細める。羞恥に震える銀八が面白いのだろう。

「先生、おでこにも氷嚢乗っけますよ。眼鏡は…見えなくなったら困るんでこのままにしときますね?」

氷嚢が乗せられて視界が半分くらいになった。汗で色が変わったTシャツに情けなく勃起したちくびとネクタイで縛られた両腕、氷嚢の重みすら払い除けることの出来ない足と、その中心で何故かゆるく布を押し上げる息子。足元のベッドの柵にはパーカーとボタンの飛んだシャツが引っかかっている。うわ、弱ってる所を教え子に拘束されて興奮してる変態じゃねぇか。

「ひじかたく、」
「よし、俺もいつまでも海パンのままじゃ風邪ひくんで戻って着替えてきますね。」

ちょっと待て今なんてったこのまま放置とか正気か

「ちょ、まっ、」
「水はストロー指して置いときますね。縛られててもそれぐらいなら取れるでしょ。言っときますけど氷嚢落としたりしたらお仕置きですから」

その程度なら勃起しかけたちんこだってなんとか収まるでしょ。保健の先生は出張らしいですけど、もし生徒が入ってきたら言い訳がんばってくださいね。先生もプールがどうなったか気になるでしょうし、俺は授業に戻りますね。くれぐれも大人しく、ゆっくり寝ててくださいね。

自分の首に掛かっていたタオルで銀八の汗を拭うと、そうにっこりと笑って土方は有無を言わさずカーテンで銀八と外界を遮断し出ていってしまった。
茹だった頭は耳まで遠いのかクーラーの稼働音だけしか聞こえない。今日は昼休み後の5、6限をプール掃除に充てていて、自分がどれくらい水を撒いていたかわからないが今日の我慢は大失敗だったようだ。まさかよりによって土方に銀八の秘密(性癖)がバレてしまうなんて。

「くそー、なんでよりによってひじかたくんにバレるかな…」

ずっとこっそり見ていた綺麗な子。銀八の様子に気付いて心配して介抱までしてくれる優しい子を幼子のように駄々をこねて困らせてしまった。これで湧くのが羞恥や自己嫌悪だったらいいのだが圧倒的に興奮が勝ってしまっている自分は本当に手の施しようがない。だって顔の横に置き去りにされたタオルから土方の汗の香りがする気がするのが悪いあーー、でも土方に介抱されたのもあの怜悧な瞳に見下されてちんこ完だちしなかったのも熱中症のお蔭だわやっぱりナイス我慢自分


「へぇ?反省の色なしですか。」


カーテンの外から聞こえた声にびくうっ!!と体が跳ねた。思わず腹筋だけでガバリと起き上がればカーテンの向うから土方が高圧的に笑ながらこちらを見ていた。

「」
「あーあ、氷嚢、落としたらお仕置きですよって言ったのに」
「え、な、は?」
「全部口から出てましたよ。先生って俺の事好きなんですか」
「」

出て行ったふりをして俺が寝入るのを待っててくれたらしい。ありがとうだけど今はその優しが辛い

「本気で心配してた生徒の純情弄んでた先生には、キッついお仕置きしねぇとな。」
「わ、悪かった。その、に、煮るなり焼くなり好きにしてくれていい」

つかつかと近寄ってきた土方に2、3発殴られるかとぎゅっと目を瞑れば氷嚢に冷やされた額に軽い衝撃。デコピンでもなく柔らかいそれにバッと顔を上げれば土方はいたずらを成功させた子どもみたいな顔で笑った。

「元気になってもっかい告ってくれるまで、口にちゅーはお預けだ。どうだ参ったか。」

そういえば男前なこの子を、自分は抱きたいと思い欲を抱えていたことをうっすら思い出した銀八はいざとなったらポジションなんてどっちでもいいやーとうっかり流されかけながら額を押さえてコクコク頷いた。でもやっぱりこの子に躾られながらこの子を開発したいとすぐさま思い直し、とりあえずこのあと滅茶苦茶安静にした。