女装サロンぱっつち2 | ナノ



とりあえずあれでしょ、ミツバさんが無理やり見合い婚を迫られてることを知りブチギレた総悟が周りを巻き込んでお見合いを破綻させんと計略をめぐらすんでしょ?
そんで見合い写真からすり替えることを決めて自分は面が割れてるから土方に頼むんでしょ?なんで俺が!!近藤さんにさせて写真で蹴られたら相手の野郎をぶっ潰せないでしょ?とかにっこり笑って言うわけだ。それとも何ですかぃ?姉上かどこの馬の骨とも知れねぇ野郎に身売りされてもいいとでも?

相手は黒い噂の絶えない男で既に裏は取れている。一学生に過ぎない自分が軽く探りを入れただけでろくな奴じゃないとわかるような輩に姉を渡す筈がない。そして己の利益とコネを作るために姉を売ろうとした親族連中と相手のメンツを潰す為になら手段を選ぶつもりはない。そう語る総悟の目は本気だった
そこで前撮り写真の為に女装を強いられ、というかもう予約入れたんでここでしっかり化けて来なせぇとネットの予約申し込みと地図を渡される。え、と戸惑いながら紙をのぞき込めば目に飛び込んだのは女装サロンAzumiの文字。ちょ、なんだこれ。あいつらの鼻を明かす為なのに俺が手を抜くとでも?
行くのは俺なんですけど!?という抗議は勿論聞き入れられるはずもなく。つーかこれ未成年立ち入り禁止って書いてねぇか。この近辺っで探したらネットでの評判が頗る良かったんでさぁ。土方さん、姉上の為に一肌脱いでくれるんですよね? や、ちょ、男に二言はねぇんだろィ?わぁったよ。今回だけだぞ。さっすが初恋の人を放って置けるお人じゃねぇって信じてやした!ぶはっと吹き出す土方に近藤がへ?気の抜けたような声を出す。おま、なんで、俺が気付かないとでも?知っていた。この男の気持ちも姉の視線の先にいるのが誰かということも
病弱な姉を慮ってこの男が思いを飲み込んだことも姉がそれを察して手を伸ばすことを諦めたことも知っていた。もう何年も前の話で恋心というには親愛が勝る感情に落ち着いることも知っている。自分が眠る獅子を叩き起すような真似をする訳が無いではないか。本気でバレてないと思っていたらしく慌てる
土方を冷めた目で一瞥する。沖田が守りたかった唯一の大切な肉親の隣を奪わなかった彼はどうしようもなく優しくてどうしようもなく臆病な愚か者なのだ。それまでと変わりなく姉を支えてくれるのには感謝している。しかし姉が零した涙を知る自分にはこれくらいの仕返しをする権利があるとそう思っている

そして、姉を守る役目を少しでも手伝わせてやることが自分にしかわからない謝意の表し方なのだ。勿論金は俺が出します。土方さんは面食い野郎を騙くらかせるくらいに化けて見合い写真を撮って、当日俺と会場に行って男女見境ねぇ野郎だと嘲笑って奴さんの心へし折ってくれればそれでいいんで。 トドメは俺がさしますから。にっこり笑う沖田に青ざめた近藤がそ、総悟くん?と声をかけるが笑いながら殺気を放つ沖田に届いた様子はない。ほんっとに、身の程ってやつを知らねぇ輩だ、人生終わらす程度じゃ生ぬるい。て、ことで土方さん、うまいこと化けてくださいよこの計画はアンタに掛かってんだ
どす黒い笑みを浮かべるが目が笑っていない沖田に否と言えるはずもなく。土方は不承不承頷いた。こうなるとこいつを止められる奴はいないのだと骨身に染みている。そして日曜日。

柔らかい木目調のドアの前で土方は躊躇っていた。大きな看板はないが掛けられたプレートには確かにサロンAzumiの文字。地図を頼りにたどり着いた目的地。真鍮のドアノブのついた扉の前に立っている筈なのにまるで地獄の門の前に立たされているような気分だ。

予約の時間が迫り、覚悟を決めてドアノブを握る。もし青ヒゲの化け物みたいな人が待ち構えてたらそっこー扉閉めて逃げよう。沖田には悪いが俺だって命は惜しいし。そっと扉を開ける。と、かわいらしい店内で土方を待ち受けていたのは何故か酷く見知った人物で。せん、せい?え、…ひ、ひじかた!?的な

昔から手先が器用で様々なバイトをこなしていた銀八はかまっ娘倶楽部から独立し女装サロンを開いたアゴミが流行を取り入れる為にと海外に渡る際にお登勢と西郷に頼まれて店の管理をしていて、施設にいた時に妹共の髪を弄ったりメイクをしたり着付したり果ては仕立てまで独学でものにしていたから

暇でやることのない週末だけサロンを開いていて、副業はマズイが理事長であるお登勢も承知しているし女装癖のある野郎どもやオカマなら学校にバレるような繋がりもないだろうし未成年お断りにさえしとけば大丈夫だろうと気軽に構えていた。電話での予約は日中取れないから完全ネット予約制にしていた
暇でやることのない週末だけサロンを開いていて、副業はマズイが理事長であるお登勢も承知しているし女装癖のある野郎どもやオカマなら学校にバレるような繋がりもないだろうし未成年お断りにさえしとけば大丈夫だろうと気軽に構えていた。電話での予約は日中取れないから完全ネット予約制にしていた のが完璧に裏目に出た。偽名を使うなりなんなりすれば誰が来るかなんてわかりゃしないのに。なんで、先生が。唖然として固まるのは間違いなく毎日顔を合わせている受け持ちの生徒で。それはこっちのセリフだけど…とりあえず、入れば?真面目で天地が女々しさとは無縁の生徒が未成年お断りの 女装サロンに訪れたことに何か訳を感じて一先ず中に入るように勧める。戸惑いつつも頷き敷居を跨いだ土方に内心溜息をつきながら腰巻きのエプロンを付けたままお茶の準備をする。あご美がやたらこだわっているなんとかって茶葉は乙女思考の男達にはやたら受けたがたぶんコイツには天地がひっくり返ってもわからないだろうなぁ なんて思いながら
的な。的な。昔から面倒見がよくて器用な銀八は妹たちの喜ぶ顔が好きでアクセサリーとかシュシュとか手作りしてて、次第に凝り性を拗らせてコーディネートやらメイクやら出来るようになってしまって、変身した自身を見た時の驚いたような顔とその後の嬉しそうに綻ぶ表情が好きで続けてたら オカマバーのママに才を見出されてしまいこき使われる大学時代。先生の後を追い教師になっても趣味は趣味のままたまに手伝いに行っていたがその時あず美が独立しサロンを開くと知り落ち着くまで、休日だけでいいからと頼みこまれて手伝わされて。教師が副業はマズイと拒めば西郷と知り合いだった
お登勢は今まで世話になっててそりゃないだろうとむしろ協力するように勧めてきて逃げ場はなく。元々の美の最低ラインの基準が高く負けず嫌いと凝り性拗らせてるから銀八の技術はどんどん進化していって、服がないなら作ればいいじゃないと仕立てだす始末(よっぽど暇な時で別途料金が掛かります) 学校で女子生徒のメイクを見たりファッション雑誌を没収した際にチラ見したりしてるから割と流行にも敏感で、そして何よりなんだかんだ貶しながらその人にあったメイクやコーディネートをしてくれるからリピーターも多い。みたいな 秘密を守るのを条件にお見合いぶち壊す手伝いをしてくれる銀八と普段ヨレヨレの白衣なのにシャツを腕まくりして腰巻きエプロンをびしっと着こなした銀八が真剣な目で至近距離で触れてくることにうっかりギャップ萌えしちゃった土方の話