エア新刊もどき『アパートの一室』で【バイブ】【拗ねた】 | ナノ
同い年、他社、セフレ、銀(→←)土



仕事でくたくたになった体を引き摺って帰ったアパートに電気が点いていた時の気持ちはなんと言えばいいのか。

「おかえり」

気を抜けばずっしりと両肩にのし掛かる疲労を一瞬忘れ、鍵を開ければ蛍光灯の下で銀色が揺れて。きゅ、と細まった瞳に締め付けられる左胸の奥の方には気付かないフリをした。

「なんでいんだよ、腐れ天パ」

キッと睨み付ければ一瞬目を見開いた男はバリバリと頭を掻いてからへにゃりと相好を崩した。

「だって土方明日休みだろ?」

そろそろかまってくれっかと思って、と悪びれもせず宣う男ーー坂田に土方は、はぁあと大きくため息をついた。とりあえず、晩飯作っといたと上機嫌で告げる男に来るなら来るで連絡しろと言えば、そしたらお前ぜってー来んなって言うじゃんと口を尖らせられる。きめぇと頭を叩きながら歩を進めれば漂う匂いに腹の虫が空腹を訴えた。チラと見た机の上にはサラダと湯気をたてるオムライス。

「ほら、とっとと着替えてこい。」

マヨネーズを手に苦笑いした坂田に追いたてられ、寝室に入りスーツをハンガーに掛ける。スープを温めなおしているのかカタカタと物音がする。自分の部屋で他人の気配がすることに違和感を感じる。慣れた気配ではあるが、自分の部屋にいることへの違和感が酷い。なんせ、奴とは所謂セフレというやつで、普段は居酒屋行ってホテルというのがお決まりのコースだ。だからこそ、自分の部屋に坂田がいるということは極めてイレギュラーだ。 …というか。



(…あ、れ?)



「てっめぇはっ、なに、しれっと不法侵入してんだ!」

スプーンを握りしめた拳でダンッとテーブルを叩きながら怒鳴れば向かいでサラダをもしゃもしゃやっていた坂田にきょとんとした顔で見返される。

(…そうだ。)

疲れきって回転の鈍くなった頭に栄養が届いたのか先程は気付かなかった不自然な点はいくらでも目についた。まず、この男がどうやって部屋の鍵を入手したのか。それに住所も。記憶にある限りではこいつに家の場所を教えた覚えはない。それになんか部屋も綺麗になっている気がする。週末に片付けようと思っていた洗濯物も昨日食べたきりで放置していたはずの弁当ガラもなくなっているしその脇で山を成していた灰皿の中身も綺麗になっている。放置されていたゴミ代わりにテーブルに並んだ料理も。オムライスなんて小器用なものを作るための調理器具は本来ここにはない。冷蔵庫には確か水の入ったペットボトルとマヨネーズ、何日か前に買って入れっぱなしにしたおにぎり(ツナマヨとエビマヨ)しかなかったはずだ。辛うじて電子レンジはあるが、自炊しないのだから必要ないと調味料もろくにない家から野菜だの卵だのなんだのが出てくるはずがないのだ。極めつけはこの男。教えた記憶のないセフレの家に連絡もなしに勝手に上がり込んだ挙げ句掃除して洗濯して料理してお出迎えしたうえ向かい合って食事をしているとか頭おかしいんじゃないか。あ、こいつそういえば元々頭おかしいんだった。

「ちょっと待て。おかしいってどこがだ。もしかして天パか?天パのこと言ってんのか?」
「中身に決まってんだろばーか不法侵入者ーストーカー天パ」
「んだとー、こちとらわざわざ仕事で疲れ果ててる土方くんの世話してやってんのに」
「頼んでねぇし。それよかどうやって家に入った。」

事と次第によっちゃあ警察呼ぶぞと睨み付ければ坂田はなんとも言えない顔でじぃとこちらを見やり、はあああ〜…っと大きなため息を吐き出した。

「…んだよ」
「先々週、居酒屋行った後の事、覚えてる?」
「先々週………」
「……」
「……」
「…………はぁあ」
「や、もちっと待て。もうちょっとでなんか…」
「いやいやいいよもう。覚えてねぇってわかったから。あー…だからね。そっか…」
「…なんだよ」
「いやぁ、うん。なんか、俺ばっか舞い上がっちゃったみてーで…すっげぇ恥ずかしいっつーか、いたたまれねーっつーか」

何故だか急にしおらしくなった坂田は赤くなった顔を反らし心なしかしょんぼりと背中を丸め、俯いてしまった。そんな姿を見るのははじめてで、ついどんな顔をしているのかと覗き込んでしまえば悲しそうに切なそうに歪んだ顔に残念そうに下がった眉に鳩尾の底の辺りがぎくりと嫌な音を立てた。そんな表情はじめてで、心臓がぎりぎり締め上げられるような焦燥感、と。…なんだこれ、すげぇ罪悪感。

「そこで、何かあったのよ。」

覚えてないと言われてそんな顔をするようなことが、お前と俺の間に起こったのか、とテーブルに身を乗り出して詰め寄れば、ぎゅっと唇が噛み締められる。なぁ、と重ねて問えばバッと上げられた強い瞳にかち合った。

「あった。…色々あったよ。」

いっそ睨み付けるような強い眼光は逃げることを許さないと言われているようで、しかしついでくしゃりと歪められた顔は迷子の子どもが親を探すように頼りなさげで、あいした人に追い縋るような切なげなもので。どうしてそんな表情になるのか皆目見当もつかないが坂田があまりにつらそうなので思わずそっと頬に手を伸ばせば坂田は泣きそうな顔になりながら、それでも頬に触れた掌を受け入れた。

「…あの日、お前珍しくぐでんぐでんに酔っ払ってさホテルにつくなりベッドの上できょろきょろしだしてさ、んで言ったんだよ。」

そういや、お前んち、行ったことねぇなって。
そのフレーズが、微かに記憶のどこかに引っ掛かった。そう。確かベッドがあまりに大きくて冷たくて人工的な甘ったるい香りを放っていたから、つい思ったのだ。どうせなら、こいつのベッドで抱かれてみたいって。


***


「何なに、土方くんてばうち来たいの?ごはん作ってくれるんならいいよ、泊まりにおいで?」

うちにお前が来るとかぜってぇ燃えるわそれ。と坂田はネクタイをほどきながら下品な笑みを浮かべていて。ぎゅ、と眉根を寄せた土方に冗談じゃん怒るなってーといつものちゃらけた言葉を用意した。けれども、土方の口から溢れ落ちたは怒鳴り声ではなくて。

「おれ、料理できねぇんだけど。」
「………へ。」
「…できなかったら、いっちゃだめなのか」

こてんと傾げられた首ときゅっと悲しげに下げられた眉に坂田は完全に不意を突かれた。言葉を理解した瞬間頭が真っ白になった。どきばぐとうるさい心臓が口から出てくるんじゃないかと本気で焦った。まさかの土方のデレ。いやいやなにそれ、貴重すぎる。

「いや、え?なに、ひひひ土方くんってばちょっとばかし飲み過ぎたんじゃない?てか、え?何?そんな来たいの、俺んち」
「…だめならいい。」

むすっとそっぽ向く土方は大変可愛らしかった。いい年したイケメンが拗ねた顔してこんなに可愛いとか嘘だろって天を仰ぎたくなった坂田は悪くない。実際に仰いで信じてもいない神に目の前のこの奇跡を感謝して土方にちょっと怪訝な表情で見られたけどそんなの些細なことだ。

「だめじゃないだめじゃない!むしろ大歓迎だって!」
「…ほんとか?」

ぶんぶんと首を縦に振ればむすっとした表情が和らぎ、目元が喜色で弛められる。欲目なしに見ても嬉しいと雄弁に語る表情に大袈裟じゃなく一瞬息の仕方を忘れた。土方くんどうしたの今日。俺を殺す気なの。

「おっまえさぁ…どうしたの今日。めちゃくちゃ甘えたさんだな。てか俺だってお前んち行ったことねぇぞ。」
「あ。それもそうだな」

こくんと頷いた土方にクラクラ目眩がする。

「それじゃあ、ほれ」

ポケットの中を軽く漁った右手を差し出され、反射的に両手を差し出せばポンと乗せられたのは小さな鍵で。

「…へ?なにこれ」
「なにって、あいかぎ。住所はこっち。」

渡されたメモに走り書かれた文字列はこの男の住み処を示しているのだと気付き、思わず力の籠った手のひらに、鍵の存在を思い出し、あまりの無防備さになんかこう、ぶわってなった。

「なんなら、料理作って待っててくれよ。俺いっつもレトルトとかコンビニとかだから」

マヨネーズさえあれば好き嫌いとかねぇし、と笑う土方は、にっといたずらっ子みたいな笑みを浮かべて。あまりにもご機嫌な様子に今日は本当に相当酔ってんだなと思う。たぶんこれ記憶残るかも怪しい。最初のきっかけも酒だったなぁと成長しない土方に苦笑しながら、明日覚えてない方の可能性に賭けて苦い気持ちを吐き出した。

「…お前さ、もしかして、誰にでもこんなに簡単に鍵とかやっちゃうの。」

きょとん、と目を丸めた土方にこれで否定以外の答え返ってきたら泣くなぁなんて思いながらアルコールで鈍った頭に言葉が浸透するのを待った。ようやく意味を理解した土方の顔は、嫌そうに歪んで。

「はぁ?んなわけねぇだろ殺すぞ。」

物騒な程の不機嫌面を浮かべながら言われると正直洒落にならないが心外だと憤る姿に少しだけ欲が湧いた。

「っ、でもさ、他に相手、とか」
「最後に女がいたのは大学ん時だ。社会に出てからはとんとごぶさただな」

まさかこんな胡散臭い野郎に掘られる羽目になるなんて思いもしなかったと口を尖らせじろりと睨む土方にアレだって合意だったろと額を弾けば覚えてないからか唸りながら視線をそらされる。耳どころか首筋まで赤いのは、最初の朝を思い出してしまったからだろうか。

「やー、まさか俺もいれたままで落ちるとは思わなかったしなぁ」
「うるさいっ」

言葉に出せばカッと染まった頬にああ、かわいいなぁと染々思いながら、坂田は土方の繰り出した拳を受け止め、なにやらわめき散らす口を塞いだのだった。


***

きっかけは他社との合同プロジェクトの打ち上げの飲み会で、なんとなく隣に座った男に目を奪われた。

「何すか、あ、もしかしてこの髪珍しい?」

煽っていたビールのグラスからは結露した水滴が滴り、黄金色の底から立ち上る気泡と相まってやたらキラキラと光を反射する。

「それとも、なに、みとれちゃった?」

その光は挑発的に笑った赤い瞳を妖しく輝かせ、息が止まるほど惹き付けられたことを自覚した土方はかっと頬に朱を上らせて。

「そんなんじゃ、ねぇ。よくそんな色で面接受かったなって思っただけだ。」
「地毛だからどうしようもねぇしな。つか土方さん、だっけ?酒強いの?ペースはやくね」
「んなことねぇよ。えーっと」
「そ?あ、まだ名乗ってなかったっけ。申し遅れました、坂田でぇっす」

誤魔化すように煽ったグラスをテーブルに戻せば半分ほど中身の残ったそれによろしくぅと弛い挨拶と共にごつりとぶつけられた。

「…坂田?」
「ん?」
「アンタがあの坂田か」

ぴくりと反応しゆらりと顔を上げた土方に、坂田は顔を引きつらせた。
「散々世話になったなぁ、土方だ」

凶悪な相貌に射抜かれた。ある程度合同プロジェクトということで散々ぶつかり合った名前だ。散々反対意見でぶつかり合ったからか、予想はしていたが思っていたよりずっと憎まれていたらしい。

「あー、土方くん?」
「てめぇには世話になったなぁオイ。」

掴んだグラスがミシリと音をたてた。薄々わかっていたがどうやら相当の負けず嫌いらしい。

「まぁまぁ、いいじゃん。上手くいったんだし」
「そりゃあ、そうだが」

完璧だと自信を持って出したプランが別の視点から突っつけば所々ぼろが出た。それを指摘したのがどうやら同い年らしいと聞き及び勝手にライバル心を燃やしていたのだ。実際に顔を合わせたのは初めてだがその飄々とした態度さえ気にくわないと土方は睨み付ける眼に力を込めた。

「たくよぉ、こうしてあったのも何かの縁なんだし、仲良くしようぜ」
「お断りだっての」
「ちぇー。ま、飲めよ」
「…」
「何、やっぱ弱ぇの?」
「誰がッ」

グラスの残りを勢いよく干してダンッとテーブルに叩き付ける。そのままギッと睨み付ければ坂田はそうこなくちゃと上機嫌にビールを注いだ。

「てめぇも飲めよ」
「飲んでるって」
「さっきから全然減ってねぇだろ。それとも、俺の酒が飲めねぇってぇのか」

うわぁ酔っぱらい。赤くなった顔にひっそりとため息をつく。ちびちび煽っていたグラスを飲み干して差し出せば満足気にビールを注がれる。

「だいたいてめぇの仕事にはなぁ、」
「はいはい。ほれ、かんぱーい」

既に怪しい呂律でなにやら語り出した土方に適度に相槌を打ちながら酒をすすめる。価値観が違うのに何故か馬があい意外と楽しく盛り上がりついつい酒が過ぎてしまったらしい。らしいというのは覚えていないからで、どうやら酔っ払って暴れまわった2人はそのままどこぞに消えてしまったらしい。と、いうのも後日同僚に聞いた話なのだが。揺れる視界に映る何やら語り続ける男のほんのり桜色に染まった頬が、やたら美味そうだったのだけは鮮明に記憶に残った。


***


意識が浮上して、最初に覚えたのは猛烈な喉の乾きだった。

「…ん、ぅ」

瞼を薄く開くと途端容赦なく突き刺さった光にぎゅっと眉間に皺が寄り、呻き声が漏れた。
「んん、」

寝返りを打とうとして身動きが取れないことに気付き、ついでに背中や素足に触れ、絡まる体温やら肩口から首に掛かる吐息やらなんやらに気付き、一気に意識が覚醒した。

「な、」

恐る恐る目を開き土方が最初に気付いたのは己の身体に巻き付いた逞しい腕で。慌てて振り向けば目に入ったのは眩い銀色。

「、ぅ…ん?」

むにゃ、と眠たげな瞳がゆるりと開かれ、ぼんやりと光に満ちたその赤に思わず息を詰めた。

「んん、…あ?ここ……へ?ひ、じかた?」
「…おう。とりあえず、離してくんねぇか」
「わ、わりぃっ」
「ヒッ、や…ァ」

バッと離された瞬間土方の身体が強ばった。坂田もビシリと硬直してしまう。

「えー…っと、」
「や、動くなッ」

下半身が麻痺したように動かず、身体の節々が悲鳴を上げた。中でも特に違和感を感じでいた口にするのも憚られるような部分。内臓がずるりと引き摺り出されるような感覚。ぬるつく液体が滴り伝うのがわかる。

「や、なんで…ッ」
「ちょ、暴れんなって。」
「ひぁッ」

ありえない場所に、ありえない物が埋まっている。理解して頭が真っ白になった。とにかく離せと暴れる土方を坂田が押さえると内部が擦れたのかびくりと震えた。零れた声に首筋まで真っ赤にして口を押さえた土方から気を抜けばうっかり元気になりそうな息子を引き抜く。

「あー…とりあえず先シャワー浴びっから、話は後な。」

真っ赤な顔でシーツにくるまりぷるぷる震える土方は目の毒出しかなく、坂田は後ろ頭を掻きながらバスルームに向かった。シャワーに打たれながらいわゆるラブホに男と入ってしまったらしいことを理解し、ぼんやり残る記憶を手繰り寄せながらやっちまったと頭を抱えた。シャワー入れ替わりで土方が震える足腰をどうにか叱咤しシャワーを浴びる。ベッドの至る所に飛び散った体液やらごみ箱に山となった使用済みティッシュの山に乾いた笑いしか出てこない。短い間期間同じ仕事してたとはいえ初めて顔を会わせた相手をお持ち帰りとかやるなぁ自分!完璧に現実逃避である。と、そこにちゃんと身支度を整えた土方が戻ってきた。一番上までしっかりボタンを留めたシャツと水滴の滴る髪のアンバランスさの破壊力がヤバイ。その清潔感のあるシャツの下の白いきめ細やかな肌が自分がつけたらしい歯形やらキスマークやらで一杯だと知っている分尚ヤバイ。

「………その、昨日のこと、覚えてる?」
「いや…」

気まずげな声に視線を反らしたまま土方が首を振ると、そりゃあんだけ飲めばそうだよなぁと相槌が返ってきて言葉に詰まる。注がれるままに随分と許容量を越した酒を過ごしたことはわかっている。でもまぁ言い訳させてもらえるなら記憶飛ばした上前後不覚になり男にお持ち帰りされるとは思わなかったといいますか。

「あの後、な」

覚えているらしい坂田の話ではどうやら飲み比べをしてそれがヒートアップして喧嘩に発展しそうになったとき、店の親父に2人だけつまみ出されたらしい。そしてどちらともなくポツリと飲み足りないとこぼし、流れで2件目に行くことになった、らしい。その後2件目で盛り上がりぐでんぐでんのベロベロになった挙げ句何故かラブホに入り、どうしてかそういう雰囲気になって坂田がベッドへ肩を押したとき、土方は拒まなかった、らしい。

「まっさか入れっぱで落ちるとは思わなくってな…中の、ちゃんと出した?ちゃんと掻き出さねぇと腹壊すかもだけど…」
「だだだ黙れ、殺すぞッ」
労るように言えば真っ赤になって激昂する土方はなんというか、迂闊でどうにも危うい。よく今まで無事だったな、と感心しながらふむ、と内心頷く。こんなに美味しい獲物を、一度しか味わえないなんて勿体無さすぎる。綺麗な顔をしている癖に、意外と迂闊で隙だらけ。しかし勝ち気で決して屈伏しない意思の強さを宿す瞳。よくよく見れば見るほど好みドンピシャの男がどうぞ召し上がれと言っているような態度で酔っ払ってたら取って食っても仕方はない。そして、捕らえた獲物をそう易々と解放してやる馬鹿もいないわけで。

「あーはいはい。てか土方くん処女だったろ。ほんとに身体平気?」
「しょっ…平気だボケぇッ!つかなに、しょ、その、…しょじょとかしれっと言ってんだ、ホモかてめぇ」
「えーっ、と。…まぁ、両刀?」
「バイかよ…」

がっくりと項垂れる土方に坂田はまぁまぁと馴れ馴れしく肩に腕を回した。

「そんな顔すんなって」
「ヒッ」

触るなと睨む土方ににたりと口角を上げた男は腰の辺りをねっとりと撫でる。

「土方だって、満更じゃなかったじゃん」

さっき、ちょっと勃ってたの、知ってんだかんな。
耳元で囁かれた言葉にボッと顔が燃える。馴れ馴れしい腕を振り払い睨み付けるが男は柳に風で、ニタニタと笑いながら言葉を紡ぐ

「あの感じじゃ治まんなかっただろ。アレどうしたの?さっきやたら長風呂だったけど、風呂場でナニしてたの?掻き出しながら抜いた?」
「ッ、誰が」
「そうそう土方くん。一個質問なんだけどさぁ。」

あ、駄目だそろそろコイツ殴っていいかないいだろいいよね、とあっさり自問自答した土方はギリ、と拳をつくる。しかし振り上げたそれは唐突な質問に勢いを削がれ振り下ろされることはなく。

「アンタさ、今カノジョとかいんの?」


***


以来、ちょくちょく2人で飲みに出掛けて、なし崩しにセックスする関係が続いていて、最初の晩こそ抵抗した土方だが上手いこと酒を飲まされ気が付けばベッドの上で男にガッツリ揺さぶられていて。
いきなり抵抗しだした土方に一瞬面食らった坂田だったが支配欲が煽られたのかにやりと笑い挿入を見せつけるように真上から腰を打ち付け出して、羞恥で体まで真っ赤に染まり身を固くする土方が無意識に締め付けたのか獣じみた動作でそれこそ全てを食い尽くされた。
その時見た必死で自分を求める坂田に土方はうっかりほだされたのだ。溜まっていても発散する為の相手もいないし、自分から動く必要もない。ちょっと死にたくなる位の屈辱と羞恥にさえ耐えれば坂田から与えられる快楽は中々のもので。話上手な男と雑談を交えながら酒を飲むのも中々楽しく食の好みすら全く違う男と交わす酒は新鮮で、嗜好の対立で言い争うのさえ悪くないと思ってしまうから重症だ。

まさか男のセフレが出来るなんて、ましてや自分が抱かれる側になるなんてそれまでの人生では考えてもみなかった。だが気付けば男と出会ってから半年以上経過していたのだから人生とは何があるかわからないものだとしみじみ思う。

「だからといって、これはねぇだろ…」
「なんて?てか長々考え込んで第一声でないとかそれこそないわー。銀さんがどういう気持ちで今日これ使ったか考えよう?先々週からめっちゃ悩んだんだけど?!」
「独り言だし知らねぇよ」
「なにそれドライ!土方くんはもっと俺にデレるべきだと思う!」
「そこのマヨネーズとって。」
「あ、はい」
「ん。つかお前料理出来んのな。うまい」
「スルーはやめ…っ、ふ、いうちとか反則だろ!」
「飯くらい静かに食え」
「ぐ、ぅうう腹立つ…!このイケメン!マヨネーズバカ!!」
「あーはいはいマヨネーズバカにしてっと殺すぞ」

少し冷めてしまったオムライスにマヨネーズを足して口に運ぶ。チキンライスとふわとろの卵にマヨネーズが加わることでえもいわれぬ味のハーモニーが口の中に広がる。まさか料理までできるとは思ってもみなかった。会って酒のんでセックスするだけの相手だから深く知る必要ないと肴にされる話題は専ら仕事の愚痴なんかだったから、いつだか一人暮らしが長いとは聞いたような気がするのでその賜物なのだろう。

自分は坂田銀時という人間をあまり知らないのだ。生い立ちも、趣味や特技も、どうして自分のことを気に入ったのかさえ。わざとそういった話題を避けてきた癖に、それが少し寂しいなんてどの口が言えようか。

「ひじかた?」
「なんでもねぇよ。ところで、悩んだってなにをだ」
「時間差攻撃?!」

ぎり、とスプーンの端を噛んだ瞬間気遣わしげな視線を寄越され慌てて頭を振った。温かい食事に満たされた腹の底がひんやり冷えたような気がするが、踏み込まないと決めたのは自分だ。
この男の事で自分が知っているのは、天パに対するコンプレックスが強いということ、意外と仕事熱心だということ、甘いものが好きだということ、気遣いが上手く、器用だけど不器用だということ、そして、自分に触れる意地の悪い指先が、いつもやさしくあたたかいということ位で。それだけでこんなに惹かれているのに、これ以上踏み込んだらそれこそ引き返せなくなると思った。だから予防線を張り巡らせたのだ。こうも易々と踏み越えてしまうなんて全くの予想外で。しかし既に情が移ったら、じゃすまないところまで踏み込ませてるので今さらだといえば今さらでもある。

「だから、なんで合鍵くれたのかな、とか」
「酔ってたから覚えてねぇよ。」
「本当に行ってもいいのかな、とか」
「来ちまったもんは仕方ねぇだろ。料理やら掃除やらしてくれてた奴追い返すほど人でなしじゃねぇし…でも…次からは事前に、連絡よこせ」
「……俺だからくれたのかな、とか」
「よく知りもしねぇ野郎に自分ちの合鍵渡すとでも思ってんのか」
「…自惚れても、いいのかな、とか」
「なに」
「わざわざ今日来たのは、今日、お前に会いたかったからだよ」
「っ、今日…?」
「誕生日なんだよね、俺。だから、プレゼント貰いたくて来たんだよね。連絡入れなかったのは…まぁ、拒否られて挫けない自信がなかったといいますか…」

たんじょうび?ぱちりと瞬いた土方を直視できず坂田はガシガシと後ろ頭を掻いて。テーブルの上でスプーンを握った手に、あたたかい手のひらが重ねられた。

「なぁ、ひじかた」

優しい指先が手の甲をなぞる。ぴくりと震えたのが伝わったのかそっと指を絡められた。
「プレゼント、くれねぇ?」

指先を見つめ、伏せられて赤い目が土方を射抜く。瞳が不安そうに微かに揺れているのが見てとれて、左胸の辺りがきゅん、と聞きなれない小さな音をたてた。

「…なにが、欲しいのかちゃんと言えたら、考えてやるよ」

完全に、初めて見る弱々しい表情にほだされた。思わず呟いてしまった言葉は張り巡らせた境界線を軽々と踏み越えて。

「へ、…えええマジでか!!!」

思わず溢れてしまった言葉に、坂田は一瞬きょとんとして、ついでくわっと目を見開いてガタタッと立ち上がり土方に掴みかかった。

「言えたらだボケ気安く触んな。」

手を払いながら勢いで手から吹っ飛んだスプーンを拾う。

「なんというツンデレ!え、でも、え!?まさかお前気付いて、いやでも今までそんな素振り…」
「次余計なこと口走ったらこの話なしな。」
「っ、」

ぱしんと両手で口を押さえた坂田にため息を吐き、拾い上げたスプーンをテーブルに戻す。気付くわけないだろ馬鹿が。予想外もいいとこだ。冷めてしまう食事は後から温め直そうと心に決め、テーブルに寄りかかり顎を煽る。

「で?何が欲しいって?ケーキか、時計か?ああこの前何か女子アナのフィギア欲しいっつってたな」
「ちっげぇよ!分かって言ってるだろ」

手首を引かれ真面目に聞けと訴えられるが、別にとぼけてる訳ではない。ただ、

「さぁな。俺は肝心なとこは何も聞いてねぇし」

まだ何も聞いていないだけだ。

「ぐ…だから、俺が欲しいのはっ!」
「欲しいのは?」

余裕の笑みを向けてやればわたわたしていた坂田はぐっと押し黙り顔を赤くしながら目をそらした。掴まれた手首は痛いくらいで、逃げやしないのにと思う反面この男がそこまで必死なのだと思うと胸の奥がくすぐったい感情で溢れかえる。

「…っその、だから…っ!」
「だから?」
「…………くっ、そ土方てめぇ楽しんでんだろ」
「そりゃな。お前の切羽詰まった顔なんてなかなか拝めねぇし」

うろうろと空中をさ迷う視線。口から生まれてきたような男が頬を染め、言葉に詰まり困ったように眉を下げ後ろ頭を掻きながらちらちらとこちらを窺ってくるのが愛しくて堪らない。お前、そんな可愛い顔もすんのな、なんて後が恐ろしいので口にしないが。

「…俺が切羽詰まってる時は土方ひゃんひゃん善がり狂って涙と涎で顔ぐちゃぐちゃにして啼いてるもんな」
「まぁな。そんな顔してんならもっと見てりゃ良かったな。なんなら今度ぐちゃぐちゃな顔も見せろよ、抱いてやるから。」

往生際悪く話を逸らそうとしやがるのでさらりと肯定した上で逃げ道をぶったぎる。抱く側に回るなんて考えたこともなかったがこの顔みたらイける気がしてきた。

「…………………っ、土方。」

本気を感じ取ったらしい坂田はひきつった顔で押し黙り、漸く覚悟を決めたのかキッと顔を上げた。

「なんだ」

ああ、俺はこの男の真剣で煌めいた真っ直ぐな眼光に弱い。掴まれた手首から心臓がバクバクいってるのがバレてしまいそうだ。

「土方が、欲しい。」
「……そうか」
「今みてーに、セフレなんかじゃなくて、体だけじゃなくて、気持ちまで全部。お前の全部が欲しい。なぁ土方。俺のこと、好きになって。恋人になって、俺のもんになれよ。」
「残念だったな」
「……へ?」

にやけそうになるのを押さえて煙草が吸いたいな、なんて思いながら軽く言い放てば、決死の表情を浮かべて感情をぶつけてきた坂田は理解不能、思考停止、頭ん中真っ白、みたいな顔をした。取り繕う余裕すらないことにとても言葉では言い表せないほどの愉悦を感じる。

「いつからか忘れちまったが、俺はもうとっくに、お前に惚れてるぜ?」

にやりと、イタズラ成功した子どものように笑ってみせれば坂田はぽかん、とした顔で数秒固まり、

「は、はぁああああ!?」

理解が追い付いたのか羞恥で顔を真っ赤に染めて雄叫びを上げた。

「ちょ、何なのお前!人が折角必死に告白してたのに、からかってたわけ?!」
「人聞き悪ぃな、俺はただお前の口からちゃんと聞きたかっただけだぜ?」
「こん、の…小悪魔!イケメン!」
「なんだよ銀時、こんな俺はいらねぇって?」
「っ、いるに!決まってんだろボケぇえええええ!!!」

わざと普段呼ばない名前を呼びながら小首を傾げる。両肩を掴みながら叫ぶ坂田にクククと笑いが漏れる。ふて腐れた顔で睨んでくる顔はまだほんのりと赤い。

「んだよ、そんなに可笑しいか」
「ちげぇよ。ただ、好きだ、俺のものになってくれって…っ」
「語尾震えてるんだけど!?」

涙目で叫ぶ坂田に思わず肩を震わせる。

「そんな歯の浮くみてぇな台詞、まぁ自分では言うこともなかっただろうが。まさか自分が言われて、それでそれに頷く日が来るとは思ってなくてな。」
「…俺だってまさか野郎に言わされる日が来るとは思ってなかったっての…」

根に持つタイプらしくぐちぐち言い募る坂田に気付かれないようにくつくつと肩を震わせ滲んだ涙を指で払う。飽きられて終わると端から決めつけて諦めていたのに、まさかそんな言葉を貰えるなんて。胸を揺さぶるような歓喜から滲む滴を次々に払うとてめぇ笑いすぎだなんて叫ばれる。ちげぇよばーか。

「はいはい。で?プレゼントの俺にすっげぇエロいご奉仕して欲しいって?」「言ってねぇし」
「拗ねんなって。なら…恋人の俺が誕生日だから特別にサービスしてやるよ」
「それなら…ってオイ。言ってること同じじゃねぇかそれ」
「いいだろ。どうせヤるんだし。今日は気分がいいから、俺が動いてやるよ」
「そりゃああんだけ人のこと笑えば気分もいいでしょうね!ちょ、撫でんなって」
「舐めて、乗っかって、動いてやっから、てめぇは寝転がって見てろ」
「はい?!ちょ、土方せめて布団!」

さわ、とパンツの前を撫でてやれば慌てふためいた坂田に腕を引かれる。部屋に入れば見慣れたベッドに気分が高揚する。ここは、俺の家で、俺の寝室で、俺のベッドで、コイツに抱かれるのだ。俺が動いて、坂田を俺のものに。はやく、はやく。こいつの気が変わらないうちに。

「ちょ、土方っ」
「黙ってろ。」

衝動に突き動かされるままに唇を塞ぎ、邪魔くさいベルトを弛める。性急過ぎる手つきで下着の上からナニを掴めば坂田はびくりと震え、あ、と思ううちに肩を掴まれ引き剥がされた。

「チッ、んだよ」
「待て待て待てお前今までどんだけ頼んでもマグロだったじゃなねぇか何でそんなさかってんの?!」
「ごちゃごちゃうっせえ」
「わ、ちょっ」

何やらわめく坂田をベッドに突き飛ばす。起き上がる前に素早く足の間に体を滑り込ませ、急所を握りこんでしまえば後はこっちのものだ。

「つーか、お前だって勃ってんじゃねぇか」
「そりゃ当たり前だろ!今までマグロだった土方くんが積極的とか、興奮もすんだろ!」
「ならそのまま大人しくしてろ」
「くっ、ああもうくそっ!」

パンツに染みを作っていた熱くたぎったそれを引きずり出して舌を這わせる。はぁはぁと上がる呼吸に吸い込む饐えたにおいさえ興奮材料にしか感じない。こんなに近くで見るのは初めてのそれがビクビクと震える。

「おま、がっつきすぎだって」「うっせえ…ん、ぐ」
「ちょ、無理すんなって!」

汁を滲ませる亀頭に舌を這わせ、坂田にいつもされるように口に含んだ。慣れない苦味に生理的な涙が滲む。思わずえずけばいいから離せと頭に手を伸ばされるがそれを払い睨み付ける。

「涙目の癖に意地張るなって」
「いーかあ、らまってみれろ」
「っ、そのまま喋るなっての!」

諭すような口振りとは裏腹にどくりと大きさを増したそれに恐る恐る舌を這わせる。普段される動きを思い返しながら、技巧もへったくれもないそれに萎えるどころか硬度を増していくそれがだんだん愛しくなってくる。自然と勢いを増し激しくなる拙い口淫に、それでも坂田は感じでくれている。鈴口に舌を捩じ込み次々湧き出す汁をきゅうと吸い上げるとびくびくと震えるのがちょっと楽しくなってきた。

「ん、ん」
「ちょ、土方出るからっ」

頭を労るように撫でながら好き勝手させてくれていた掌に制止される。

「っんんん」
「ちょ、ばか…ああくそッ!」
「んぐ?!ン、ぅ、エ、んんんんッ」

嫌々と首を降り睨み付け深く飲み込めば喉奥にぶつかりえずきそうになる。それをなんとか我慢してきゅうと喉を絞めれば舌打ちした坂田に頭を掴まれいいように腰を振られる。ガツガツと喉奥を突かれ、息ができず目の前に星が散る。ボロボロと涙がこぼれるが必死で舌を絡めると坂田はピタリと動きを止め、熱い体液が注ぎ込まれた。

「わりっ、土方ティッシュどこ?!」
「うおぇ…まっ、ず…」

喉に絡む青臭いそれをなんとか飲みこみ、ちょっと限界でそのまま坂田の股間に倒れ込んだ。上の毛はふわふわなのに下の毛はやっぱりごわごわしててさわり心地はあんまり良くない。

「飲んだの!?ちょ、お前マジで無理すんなって」
「してねぇ!!俺が、ちゃんと…全部すっから、お前は黙ってみてろっ」
「いや、無理だろ。お前後ろ自分でしたことねぇじゃん」
「へーきだ、できる」
「平気じゃねぇだろどうみても。」

優しく撫でてくれるのがいたたまれなくて顔を上げられない。自分から言い出したことだけど先が長すぎてめまいがする。

「何焦ってんのか知んねぇけど、いきなり全部とか、普通に無理だからやめとけって。そろそろ銀さんに出番をちょーだいよ」

普段されるがままに抱かれるばかりで、まともに動いたことのなかったつけか。情けなくて涙が出る。
「…」
「それに、時間ならいくらでもあるしね。」
「?」
「フェラも、アナニーも、騎乗位だって、これからしっかり仕込んでやるから。お前才能あるからすぐできるようになるって。」
「仕込むって…」
「ん?信じてない?お前現に処女から2か月で後ろでイけるようになったろ?」
「え、」
「自分のでもねぇのにあんま開発すんのは気が引けたけど、もう遠慮しねぇから。頭の天辺から爪先まで、俺なしじゃ生きてけないようにしてやっから、覚悟しろな」
「ひっ」
「お前が飽きられないようにだとか無理に頑張らなくても大丈夫だから。銀さん一度手ぇ出したら最後まで責任持つタイプだから。気が変わるとか捨てるとかねぇから。つーか手放してやれないから安心しろって」

ぽんぽんと軽く突っ伏したままの頭を撫でられる。恐る恐る見上げても飄々としていて真意が窺い知れないのでもしかしたら真面目に言っているのかもしれない。

「…一個も、安心できる所がねぇんだが。」
「そんなのに惚れたんだろ?」

ポツリと返せばしゃあしゃあと返される言葉にため息しか出ない。しかし舌戦で撒こうとしても口から生まれてきたような男に勝てるわけもないのは過去何度も実証済みで。唯一ダメージを与えることのできる手段はそれなりにリスクを伴うのだ。

「……まぁ、そうだけど」
「…そうあっさりと肯定されてもね」
「照れてんのか」
「そりゃね?まさかそう来るとは思わないよね?だってお前も俺と同じ感じじゃん!お前も明らかに好きとか愛してるとか言わない側の人間じゃん!…ん?」

そりゃそうだ。痛み分け狙いの自爆なんだから。柄じゃねぇって自覚あんだよなんだよあんまこっち見んな

「…んだよ」
「いや、そうだよな。お前やっぱりこっち側だよな。」

耳どころか首まで赤くなった土方につい坂田までもらい赤面してしまう。

「…ところで、いつまでそうしてんの?」

話を逸らすように坂田が無意味に斜め上をみながら口を開いた

「あー…半勃ちのところ悪いがもうちょっと休ませてくれ精神的ダメージが…」
「とりあえずそこで休むのやめてくんない!?」
「…力入んねぇんだよ。」
「張り切り過ぎだからねお前そりゃ」
やらなくてはと力んでいた反動だろう。
「動けない土方くんとかなにそれムラムラするんだけど。イタズラしたいんだけど。」
「鼻息荒いぞ変態。俺に何をするつもりだ。にじり寄るな」
「えー。せっかくの初訪問だからばっちりお土産持ってきたのに…」
「は?」
「バイブとローターとローションとゴム」
「死んでくれ」

ごそりと持ち上げられた怪しげな紙袋。虚ろな目で睨むが効果はない。

「大丈夫大丈夫。俺がお前にしたことで、きもちくないこと、あった?」
「そういう問題じゃっ、ちょ…あっ」
「はいはい。プレゼントは大人しくしてろなー」
「やめ、んっ、ぅあ…ッ」



(とりあえず、オムライスは結局翌日の昼ごはんに回されましたとさ。)


おまけ